ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年5号
SOLE
SOLE報告

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MAY 2005 86 革(ロケーション改善、作業標準化、工程改善、要員管理システム など)を行い、コスト低減を図った。
また、食品メーカーの物流費・在庫削減のケースでは、まず物の 流れを可視化し、フローの中で問題・課題を明らかにした。
そして 工場在庫の集約化、出荷作業の簡素化、車両回転率の向上、契約単 価の引き下げ、在庫の適正化、事務の効率化など総合的な改善改革 を推進し、物流費、在庫の削減を果たした。
4 将来ビジョン策定の事例 中国の自動車メーカーのサービスパーツ供給の将来構想を検討し、 提案した。
物の流れはサプライヤー→センターデポ→地区センター →ディーラーという流れであるが、地区センターをどのように展開 するかが問題で、何通りかの案を立案した。
その場合の各拠点の在庫基準の設定、購買から倉庫管理、包装・ 梱包、輸送管理のあり方、情報システムを立案し、提案した。
中国 ではアメリカナイズされた経営・管理者が多く、ビジョン作りを重 視しているのが特徴である。
宝飾品小売業の将来ビジョン作りを手伝ったが、小売店舗をどの ように展開し、物と情報の流れをどのようにするか、サプライヤー の供給のあり方を検討し、そのイメージを可視化し、提案した。
企業の描くイメージ、経営者の思いをどのように可視化するかが ポイントである。
さらにその描いた構想をどのように実現していく か、将来ビジョンの具体化計画を提案しようとしている。
5 TOCによる事業計画立案の事例 TOCは制約理論(Theory Of Constraints)の略であるが、ロジ スティクス改革コンサルティングに極めて有効な考え方であり、技 法と言える。
まず、化学メーカーにおいて実施した事業計画立案の事例から紹 介する。
手順としては、まず経営事業分析を行い、問題を明確化し、 将来方向を設定し、マスタープランを作成した。
ここで重要な役割 を果たしたのが、「思考プロセス」(ワークショップでチームを作り 検討させる)である。
1チームでベテラン5〜6人に集まってもらい、事業ごとに社会・ 経営環境から業界、事業の展開など、いろいろな変化を見通し、戦 略、課題をブレークダウンした。
そして問題構造ツリーを作成し、 改革テーマを明らかにし、事業計画に展開していった。
食品スーパーにおける改善事例もTOCによるものだ。
思考プロセ スにおいて、関係する人々が集まり、問題点、なすべき事柄を洗い 出し、課題の共有化を図った。
具体的には現状問題構造ツリーと未 来問題構造ツリーを作成したが、ここで関係者の共通認識がうまれ た効果は大きかった。
こうして抽出された課題は、「バックヤードの在庫削減」と「人時 生産性の向上」だったが、問題が明確になったことで自然に手が打 たれるようになった。
フォーラムシリーズ第6回目は4月13日にロジスティクス施設の見 学ということで、海上自衛隊・厚木の整備工場を見学した。
第7回 目は5月18日にロジスティクス施設の見学を予定している。
このフォーラムは年間計画に基づいておりますが、単月のみの参 加も可能。
一回の参加費は6,000円となるため、ご希望の方は下記の 事務局まで(sole_consult@jmac.co.jp)。
SOLE報告 The International Society of Logistics 次回フォーラムのお知らせ SOLE東京支部フォーラムの報告 SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティク ス技術やロジスティクス・マネジメントに関する活発な意見交換、 議論を行い、会員相互の啓発に努めている。
今回はシリーズ第5回と して行われた日本能率協会コンサルティング(JMAC)の小林俊一 氏による講演、「ロジスティクス改革コンサルティング事例」につい て紹介する。
*       *       * 1 はじめに 日本能率協会コンサルティング(JMAC)には約200人のコンサル タントがおり、当学会の東京支部長でもある松本氏のもとには約20 人の生産・ロジスティクスを専門とするコンサルタントがいる。
生 産・ロジスティクスという大変広い分野を対象としており、取り扱 うテーマも多岐にわたっている。
今日は自分が最近手がけたコンサ ルティングの中から3種の事例について紹介したい。
2 最近のコンサルティングの対象業種・業態・テーマ ロジスティクス改革のコンサルティングは、製造業をはじめ流通 業、小売業の物の流れは当然として、物流業をも対象としている。
テーマとする領域については、中長期のビジョン策定、サービス 向上、リードタイム短縮、(調達・製造・物流)コスト低減、キャッ シュフロー改善(在庫・仕掛削減)、教育訓練と幅広いテーマになっ ている。
最近の際立った特徴としては、海外がらみの案件、たとえば長期 を見据えたビジョン作りというテーマが多い。
中国関係も多く、中 国の物流業者に対する教育訓練を依頼されるケースが増えているが、 ここでは中国の物流インフラ整備に伴うトラック運転手に対する教 育訓練が目につく。
以下、「物流コスト低減」、「ビジョン策定」、「TOC」をテーマと する3種の事例について紹介し、解説する。
3 物流コスト低減の事例 これは繊維メーカーの輸送改善の例だが、海外拠点との関係で物 の流れが変わってきており、輸送費にメスを入れる必要がある。
ま ず、物がどこからどこへ流れているか、その流れの実態を可視化 (フロム/ツー分析)することから始める。
拠点を変更することによ りリードタイムを短縮し、拠点間の輸送手段を変更することにより、 輸送コストを低減する。
物量をきちんと見えるようにしてアイデア を出し合い、各々の代替案ごとにコスト計算して比較していくとい うものだ。
他に、建材メーカーの物流費ならびに在庫の削減事例がある。
こ のケースでは全て注文生産であり、宅配便で現場に届けると言うこ とをしていたが、当然、物流費と在庫が問題となっていた。
ここで は後述するTOCを適用した。
まず関係者が集まって各種の制約条件 を洗い出して問題を抽出し、改革テーマをまとめていった。
これへ の対策としては、工場からの直送化、物量変動に対応した車両・要 員の手配、工事進捗状況の把握、現場への資材搬入・据付のための マテハン機器の開発を行い、物流費の削減を果たした。
次にアパレルメーカーの物流費削減事例について。
アパレルは、 商品の種類が多く、値札つけなど細かい手作業があり、しかもそれ がシーズン性を持つ。
そのため、人の使い方、主にパート従業員の 使い方が問題となる。
物流拠点を集約し、拠点のオペレーション改

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