ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年1号
デジロジ
B2Bのビジネスモデル

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JANUARY 2002 64 ロジスティクスは価値を生まない 物流業者にとってのロジスティクスは、荷 主企業にとってのロジスティクスと、どう違 うのだろうか。
一般に企業の目的は利益の 極大化である。
利益の源泉はその企業が生 み出す付加価値である。
しかし、荷主企業 にとってロジスティクスそのものは何の付加 価値も生み出さない。
製造や流通、e- Business などの「後方支援」を行うのがロジ スティクスの役割である。
ただし、利益を増大するためには付加価 値を高める一方、コストを削減し相乗効果 を得る必要がある。
そのためには一般に販売 管理費の四〇〜六〇%程度を占めるといわ れる物流費の低減と、同時に棚卸資産の低 減、つまり在庫の圧縮と在庫回転率の向上 を同時に行うことが重要になる。
利益の極 大化を全体最適の観点から見れば、ロジス ティクスの役割はオペレーションコストを低 減し、キャッシュフローを改善することにあ るといえる。
しかも、すべてのビジネスは物流基盤の上 に設立している。
つまり、あらゆるビジネス のリアリティとして物流がある。
ロジスティ クスは企業のクリティカルな業務を支援し、 コントロールする重責を担っている。
単に物流実務を請け負うだけのビジネス は、遅かれ早かれ競争激化にともなう価格 競争に陥る。
結果としてなにも残らないかマ イナスにしかならない。
一方、「後方支援」 田中純夫フレームワークス社長 B2Bのビジネスモデル 第10 回  ロジスティクス・ビジネスのキーワードは「先回り」だ。
顧客より一足先にビジネスモデルの方向性を見極めることが 成功の条件となる。
同時にサービスの階層化とモジュール化 によって、多様なビジネスモデルに適応できる体制が整う。
といっても英語では「Logistics 」。
モロに戦 略的な意味だ。
ここを良く考えてみよう。
企画戦略の傍らには常に物流参謀が存在 する。
参謀には事前情報の入手・分析はも とより、戦況の変化に応じた戦略・戦術に リアルに追随する支援が必要だ。
ロジスティ クス・ビジネスの成否もまたSCMという言 葉に象徴される戦略性と情報システム(I T)の活用が握っているといっていい。
それ がロジスティクス・ビジネスの本質である。
合理化効果は氷山の一角 もっとも、SCMは導入しようと思っても 「これ、下さい」と簡単に購入できるもので はない。
あるべき論から入り、理想の姿を追 うことも重要であるが、まずは事実ベースか ら積み上げるのが現実的だ。
「はじめてのS CM」としてWMSを導入することが有効 な方法のひとつであることは、いままで連載 で述べた通りである。
ちなみにロジスティクス・ビジネスにおけ るシステムの導入目的には大きく二つの考え 方がある。
一つは、社内の合理化のため。
も う一つは企業経営の戦略兵器としての活用 である。
3PL流行りの昨今ではあるが、残 念ながら3PLを標榜している企業の大半 でさえ、ことシステムに関しては前者の認識 にとどまっているのが現状である。
合理化ツールの導入によって得られる「ハ ード的なメリット」は限定的だ。
一方、戦略 的なシステム活用からは、使い方次第でいか 65 JANUARY 2002 ものが、これらの動きを見過ごしておくわけ にはいかない。
荷主とその先のマーケットの 鳥瞰から得られるビジネスモデルに柔軟に対 応し、拡張性のある基盤として物流サービ スを提供するところにこそ、ロジスティク ス・ビジネスの価値は存在するはずだ。
さて、B2Cといわれる消費者を対象と したビジネスモデルは実に多彩であり、取り 上げれば枚挙に暇がないほどである。
そこで、 ロジスティクス・ビジネスの対象となり、相 乗効果や付加価値を見いだすことができそ うなB2Bのビジネスモデルのタイプを例示 し、解説してみることにしよう。
ロジスティクス支援を必要とするB2B ビジネスモデルは次のようにに四分類できる。
E ―プロキュアメント E ―マーケットプレース E ―チャネル E ―トレーダー ? E ―プロキュアメント 直接材、間接材、生産材などの電子調達 により、購買力を高め、コスト削減を図る。
文具類の調達モデルがイメージしやすい。
外 食産業の食材調達なども順調に滑り出した ようだ。
? E ―マーケットプレース 多くのバイヤーと多くのサプライヤーに共 同のプラットフォームを提供することにより、 多様かつ多面的な取引が実現できる。
グロ て車は姿勢を変える。
転蛇すると車は揺り 戻し等により意図した軌道より若干ずれた 動きをする。
そこで、その先の軌道のズレを読み、ほんの少し先回りし、いわゆるカウン ターステア(アテ蛇)を打つ、といったとこ ろだ。
人馬一体とはこのようなプロセスなの だろう。
同様に、人の意志(ビジネス)に従いつつ、 行く方向の少し先をみながら自立制御(イ ンテリジェンス)し、あるときは危険を回避 (リスク管理)しつつ、的確にサポートする 賢い馬がロジスティクスの役割とも言えよう。
遅い(スピード)、大飯くらい(コスト)、反 射神経の鈍い(レスポンス)馬はいらないと 言われてしまえば、つぶすほかに価値はない。
ロジスティクスの価値創造のためのアプロ ーチとは、「先回り」がキーワードである。
こ れは需要予測システムなどではなく、3PL の場合、直接顧客の少し先にある、ビジネ スの主戦場となる「マーケットを知ることか ら始める」ということに他ならない(図1)。
グローバル化がアメリカン・スタンダード 化かどうかは別にして、日本企業にとって海 外取引は避けて通れぬ課題である。
同時に、 ネットベンチャーの破綻がいかに続こうが、 製造業のEMS化、XMLインフラでのネ ット取引など、従来のビジネスが急速にe ― コマース化、e―ビジネス化しているのも事 実である。
さらに今後はアジア地域と日本と の結びつきが一層強まるのは必至だ。
日本でロジスティクス・ビジネスに関わる ようにもメリットを引き出せる。
いわば、氷 山の海面下のような「ソフト的なメリット」 が存在するのである。
しかもソフト的なメリットを享受するのに、 飛び抜けて高価なハイテクを購入する必要 はない。
「ありもの」を組み合わせて使う技 術こそが、戦略的なソフト活用なのである。
ビジネスモデルを先回りする またリアルタイムに状況を追随するといっ ても、数々の制約があり、現実には不可能 な場合も少なくない。
そこで「先読み」を行 うことにより、常にカウンターを当てながら 軌道修正する必要が出てくる。
このハンドル さばきが、ロジスティクスの腕の見せ所であ る。
ハンドルを右に切った後、ワンテンポ遅れ 社内の合理化ツール 戦略システムとしての活用 ロジスティクスビジネス + IT 在庫圧縮・回転率向上 オペレーションコスト低減 企業の目的 利益極大化、キャッシュフローの改善 図1 JANUARY 2002 66 付加価値を新たに生み出すのは大変である が、既存のものを組み合わせて価値を生むこ とは比較的容易である。
ロジスティクス・ビ ジネスもサービスモジュールのコーディネー トの時代である。
者などはより効率よく、低コストでビジネス チャンスの獲得や適切な在庫管理を図ることができるはず、であるが、安易な求車求貨 やスペーストレーディングのようにモデルは 良くても頓挫するものも多い。
水屋的な商 売の勘どころなしに、テクノロジーやシステ ムに依存するとこうなる、という例である。
とはいえ、有望で市場性のあるモデルである。
モジュラーアプローチ 少し時間は掛かるであろうが、現行のビジ ネスの大半はこのようなモデルの方向に向か うことになるだろう。
そして、これらのマー ケットや荷主の動向をつかみ、変化に応じた 適切なサービスを提供し続けられる者が物流 業界の勝者になるだろう。
電子取引は一般のビジネスばかりでなく、 ロジスティクス・ビジネスにおける既存事業 の付加価値を向上させると共に、新規の事 業構築を進めることも可能にする。
ただし、 注目すべきは荷主のコア・ビジネスより、む しろその周辺である。
そこにはロジスティク ス・サービス・プロバイダーならではのビジ ネスチャンスが多数存在する。
多様化するビジネスモデルに柔軟かつ拡張 性のあるサービスを提供するためには、サー ビスの階層化とモジュール化が必要である。
次の図はキーとなるシステムをモジュール表 現したものである(図3)。
同様にロジスティクスのサービスを階層化 し、モジュール化してみてはどうだろうか。
ーバル化の進んだ電機電子のロゼッタネット、 自動車のコビシントなどが先行するも、太田 市場の「花き」取引などの動きも注目。
ロ ゼッタネットに関しては最近家電量販大手 のヨドバシカメラが参加するなど、家電戦争 が激化する最中、大きな潮流が動き始めた。
? E ―チャネル 販売チャネルを拡大、チャネルパートナー のリピートオーダー率や注文量を増して輸送 コストを削減する。
FC本部型のモデルで成 功例が見えはじめた。
? E ―トレーダー 取引プラットフォームを通じて仲介を担う 企業、例えば貿易業者、チャネルや物流業 供給サイド 供給サイド 供給サイド 製品開発 部品購入 製造 マーケ ティング 販売 保守 サービス E-マーケットプレース E-トレーダー E-プロキュアメント CPC SCM/Logistics EAI/Middle Ware XML Link E-Service SI/System Integration Solution Integration E-マーケットプレース トレードネットワーク E-ビジネス・ソリューション HR/OA/Accounting ERP/MRP CTI E-チャネル CRM サプライヤー・エンド バイヤー・エンド 図3 図2 デジタルロジスティクスが支援するビジネスモデルの例 1) E-プロキュアメント型 2) E-マーケットプレース型 3) E-チャネル型 4) E-トレーダー型 M:N M:1 M:1:N 1:N S S B S S S S T S B B B B S S S S T S S B B B B S B B B S S サプライヤー バイヤー 一九八三年、埼玉大学工学部卒。
物流企業系シス テムハウスを経て、九一年に独立。
エクゼを設立 し、社長に就任。
製造・販売・物流を統合するサ プライチェーンシステムのインテグレーターとし て活動。
九七年には物流管理ソフト「Nexus 」を 開発し、現在は「Nexus ?」にバージョンアップし てシリーズ展開している。
日本企業の物流事情に精通 したシステムインテグレー ターとして評価が高い。
今 年一〇月に社名変更。
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