ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2003年10号
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東証一部上場で事業再編に拍車をかける近鉄エクスプレス

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

73 OCTOBER 2003 近鉄エクスプレス(KWE)は 九月一日付けで、東京証券取引所 より上場株券の市場第一部銘柄指 定を受けた。
近鉄エクスプレスは 二〇〇〇年九月にナスダック・ジ ャパンに株式を公開。
二〇〇二年 五月に東証二部に市場を鞍替えし た。
その後、一年四カ月で一部へ の上場を果たした。
近鉄グループ で東証一部に上場するのは同社が 五社目。
九月一七日現在、同社の 株価は一九〇〇円前後で取引され ている。
同社は昨年三月に一〇カ年計画 「二一世紀KWEグランドデザイ ン」をスタートさせ、積極的に事 業の再編を進めている。
業績不振 が続いた南米地区では、九月末日 までに南米法人六社を現地企業へ 売却。
年間四、五億円に上ってい た赤字を解消する。
南米地区の累 積債務、一四億円は特別損失とし て北米の子会社が計上し、一掃す る。
これにより、来年度より米州 地区は年間五億から七億円の黒字 に転換する見通しだ。
欧州地区にもメスを入れる。
従 来は日本からの出向社員が現地法 人の代表を務めていたため、顧客 が日系企業に限定される傾向があ った。
しかし欧州地区の対日ビジ ネスは全ビジネスの五%にしか満 東証一部上場で事業再編に拍車をかける 近鉄エクスプレス 本誌で「物流コンサル道場」を連載 している日通総合研究所の湯浅和夫常 務が、またまた本を出した。
この七月だ けで何と二冊目だ。
いずれも編著者とし て参加しているだけで氏自身の執筆は 一部分に過ぎないが、その精力的な活 動には驚かされる。
もっとも湯浅氏に原稿を依頼する編集者の気持ちはよく理 解できる。
何せ氏の本の売れ行きは堅い らしい。
物流管理のノウハウ本というニ ッチなテーマながら、三万部とか五万部 という単位で売れるという。
実務書とし てはベストセラーといっていい。
ただ湯浅氏本人が言っているように、 「物流についての私の主張は変わらない。
それゆえ、内容は前回と同じようなもの にならざるをえない」(本誌二〇〇二年 四月号で「物流コンサル道場」第一回 の前文より)。
裏を返せば、これほど著 者が同じ主張を繰り返しているにもかか わらず、読者の側の理解が進まないため 物流ABCは在庫管理には使わない ムダの発見に使ってこそ真価を発揮 常に新刊が売れることになる。
確かに湯浅氏の物流管理に関する主 張は奥深い。
その考え方を本当に理解し、 実践するのは簡単なことではあるまい。
その点、本書『物流ABC導入の手順』 は若干、従来の著作とは違う。
これまで の氏の著作には概念的な部分もあったが、 この本は徹底して実践的に作られている。
ややもすれば小難しくなりがちな物流A BCという原価管理手法を、付属のC D ―ROMを使って読者が実際に試せる ようになっている。
そもそもこの本が作られた発端は、中 小企業庁の委託を受けた日通総研のメ ンバーが、物流ABC導入のための簡 易ソフトを開発したことにある。
このと き「物流ABCの活用が進めば、我が 国の物流管理は一変する可能性がある」 と確信した湯浅氏は、まずは物流AB Cに実際に触れてもらう機会を増やそうと考えて本書の製作に協力した。
本書のなかで湯浅氏は、在庫管理に 物流ABCを適用するのはコストパフォ ーマンスの点から妥当ではないと言う。
それよりもムダを発見するツールとして 使うことを薦める。
さらに本書では具体 的な活用方法と手順を、ソフト開発に 携わった日通総研のコンサルタントたち が丁寧に解説している。
日頃、湯浅氏 の主張に共感を覚えながら、実務に活 かせずに悩んでいる人たちにとっては、 待望の本と言えるだろう。
たない。
現地法人の代表を現地の 人材に交代し、現地顧客獲得を目 指す。
既に現時点までにオランダ、 フランス、イギリスの現地法人の 代表を交代した。
このうちオラン ダ、フランスではすでに業績が黒 字に転換している。
来年度の欧州 地区全体の業績は約六億円の黒字 になる見通し。
アジア地区は順調にマーケット が拡大しており、今年度の経常利 益は約三〇億円を見込んでいる。
同社の雲川会長は「一部上場す ることイコール一流企業と認めら れたわけではない。
顧客や株主に とって、なくては困る企業になる ため今後も、直面する問題に対し て正常な解を求めていきたい」と 抱負を語った。
『物流ABC導入の手順』中小企業庁監修、 湯浅和夫編著(かんき出版、税別価格二五 〇〇円、CD ―ROM付き) 市場第一部指定通知書と記念の小槌を 前にする雲川俊夫会長(右)と辻本博 圭社長

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