ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年4号
特集
第1部 ブロック別・この春の運賃市況 《東北》復興需要本格化で大幅値上げ

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

APRIL 2013  20 《東北》復興需要本格化で大幅値上げ  やっと復興フェーズがやってくる──。
政権交代を受け、東北では 復興需要加速の期待感が高まっている。
特に宮城・岩手の被災地周 辺を中心としたエリアでは、車両・ドライバー数の絶対的な不足を受 けて運賃も上昇傾向にある。
一方で被災地から離れた内陸部などで は、農産物への風評被害などもあって物量がかえって伸び悩んでい る側面もある。
そういった地域では、荷役作業が少ないダンプなどへ ドライバーが流出しているようだ。
●取扱いは食品三割、残りは建築資材など様々で、 特定顧客の荷物が多い。
一五%〜二〇%の運賃 値上げを要望している。
上げるというより、こ れまでが安過ぎたという感覚だ。
燃料が高騰し ていることもあり、これを機会に交渉していく。
周囲にもそういう機運はある。
(宮城・一般運送) ●車不足を背景に建築関係はかなり強気で、運賃 相場も一〜二割上がっている。
震災需要につい ては去年は停滞していたが、政権交代の影響も あり、「今年から復興が本格化する」という期待 感が様々な業者にある。
食品関係や一般物は一 〇トン車で青森〜東京間が約九万と、現状ではあ まり上昇していない。
当社では全社的に燃料費 の上昇も含めて、運賃交渉を開始している。
ド ライバーはいくら募集をかけてもなかなか思うよ うには集まってくれない。
特にうちの主力の長 距離に関しては、東京〜青森だと一度出ると三 日は帰ってこられないという事情もある。
(青森・一般運送) ●福島から、津波の被害を受けた宮城・岩手の浜 エリアへの運送は需要がかなりある。
ところが、 特に平ボディ車が全く足りず、いくら値段を上げ ても車が見付からない状況だ。
被災地では地元 でも車が足りていない状態なので、わざわざ福 島まで来る車は少ない。
   (福島・一般運送) ●山形は直接震災の被害を受けなかったため、土 木関係の荷動きは鈍い。
逆に農産物は風評被害 的なところもあり、伸び悩んでしまっている。
米 に関しても青森や北海道のブランド米が強くなっ てきている。
物が動いていないのだから当然運 賃も悪い。
稼げないから人の集まりも悪い。
ド ライバーはトラック・トレーラーからダンプに大 量に流出している。
    (山形・一般運送) ●重機や鋼材など建材を運んでいる。
今は基礎工 事が中心だが、それが三〜四年で一段落した後 も建築需要は続くだろう。
今は車・ドライバーの 数が全く足りない。
近くにあった多くの運送会 社が廃業した。
車が流されるなど震災・津波の 被害に遭って、なかなかそこから立ち直れてい ない。
ドライバー自体も荷下ろしがないダンプな どの仕事に流れてしまっている。
うちでもトレー ラーが遊んでしまっている。
物量は震災以前よ りも増えている。
一カ月前ほどはうちで扱える 量の二〜三割増し、今は五割増しで仕事の話が ある。
昔は当日・前日オーダーに対応できていた が今は難しく、傭車さんがタイミング良く空いて いればラッキーだが、断らざるを得ないこともあ る。
重要な仕事は二〜三週間前から車を押さえ ておかないといけなくなってきた。
荷主と運送 業者の力関係は今や完全に逆転している。
それ が二〜三カ月前から次第に、運賃にも跳ね返っ てきており、全体で二〜三割はアップしている。
今は運賃交渉の真っ最中なので、見積もりも強 気に出している。
このチャンスにトラックドライ バーの労働条件改善を実現したい。
(宮城・建材運送) ●建材を扱っている。
浜の方は運賃が上がる傾向に あるが内陸はそうでもない。
内陸では春の改訂 にも見直しの動きはない。
ドライバーは全体的に 不足している。
加えて日単位での波動がきつく なっていて、不足時の調整が非常に難しい。
不 足時には傭車対応や着日の延期のほか、マイナ ス収支を覚悟して大型で運ぶ荷物を複数の六ト ン車や四トン車に割り振ることもある。
(宮城・建材運送) 市場の声 解 説 ブロック別・この春の運賃市況 特集 21  APRIL 2013 80 60 40 20 0 -20 -40 500 450 400 350 300 250 200 80 60 40 20 0 -20 -40 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 特別積合せ貨物の荷動き宅配貨物の荷動き (千トン) (%) (千個) (%) 20,000 15,000 10,000 5,000 0 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 2011 年度 取扱個数 2012 年度 取扱個数 2011 年度 前年同月比 2011 年度 前年同月比 2011 年度 輸送トン数2012 年度 輸送トン数 2012 年度 前年同月比2012 年度 前年同月比 出所)国土交通省出所)国土交通省 2011 年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2012 年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 115.2 102.8 112.0 106.8 99.6 103.6 108.8 98.8 101.3 85.4 108.4 110.7 91.4 101.8 104.7 105.1 98.8 100.9 109.4 97.2 99.4 87.0 98.7 99.5 97.2 101.9 100.2 102.6 101.1 101.4 101.9 105.9 146.6 131.4 131.0 111.1 109.5 110.1 106.1 107.6 106.4 99.8 前月比 (%) 前年同月比 (%) 一般貨物の荷動き景況感一覧 宅配貨物 宅配以外 一般貨物 11 年 1〜3月 11 年 4〜6月 11 年 7〜9月 11 年 10〜12月 12 年 1〜3月 12 年 4〜6月 12 年 7〜9月 12 年 10〜12月 13 年 1〜3月(見通し) 特積貨物雇用関連総合計 出所)全日本トラック協会 出所)経済産業省 出所)国土交通省 判断指標 矢印 … -100 … -60 … -20 … +20 … +60 … +100 … 貨物車両推移(両) 63,585 63,157 62,801 62,695 62,771 62,924 63,050 63,275 63,444 63,518 63,593 63,862 63,914 64,018 64,150 64,144 64,172 64,287 64,267 64,419 64,458 4,159 4,127 4,104 4,088 4,090 4,127 4,104 4,084 4,053 4,044 4,037 4,056 4,061 4,055 4,069 4,075 4,071 4,109 4,115 4,108 4,111 6,163 6,106 6,022 5,994 5,994 5,994 5,986 6,013 6,022 6,058 6,126 6,129 6,163 6,171 6,184 6,219 6,247 6,263 6,267 6,278 6,291 普通貨物小型 四輪貨物被けん引車 ※すべて営業用 出所)国土交通省 2012 年1〜3月 4〜6月 7〜9月 10〜12月 2013 年1〜3月見通し 24 27 21 19 17 28 24 30 31 33 48 49 49 50 50 89 96 92 103 103 △4 3 △9 △12 △16 国内向け出荷量の実績と見通し 出所)日通総合研究所「日通総研短観」より抜粋 時期荷動き 指数回答社数 構成比(%) 増加横ばい減少 鉱工業生産指数推移(2005 年=100) 96.0 94.0 92.0 90.0 88.0 86.0 84.0 82.0 80.0 12年 1 月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 13 年1月

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