ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2004年3号
ARC
サプライチェーン・エクセキューション市場の動向 ERPサプライヤーが市場シェアを拡大

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2004 70 ARCアドバイザリーグループは最新の市場調 査レポート(二〇〇四年一月発行)で、サプライ チェーン・エクセキューション(SCE:サプライ チェーン実行ソフト)の市場は全体として上向き 傾向にあり、手控えられていたIT投資も回復基 調にあると報告した。
このレポートの概要は以下 の通り。
全世界のSCE市場は今後五年間、年率平均九・ 七%で成長すると推測される。
二〇〇三年に三十 三億ドルだった同市場は、二〇〇八年には五二億 ドルに達する見込みだ。
ただし、SCE市場にはロ ジスティクス及び生産管理関連のさまざまなアプリ ケーションが含まれている。
これらのアプリケーシ ョンが全領域で均等に成長しているわけではないし、 サプライヤーによって成長速度に差があることは言 うまでもないだろう。
ARC Supply Chain Execution Worldwide Outlook (サプライチェーン・エクセキューション 世界市場調査レポート)の主幹で、ARCのサプ ライチェーン・マネージメント担当サービスダイレ クターのDr. Steve Banker は、「SCE市場ではE RP(Enterprise Resource Planning)サプライ ヤーが着実にマーケットシェアを伸ばしている」と いう。
同時に「しかし、これはSCEアプリケーション の全領域に対して言えるわけではない。
加工製造に おける製造管理アプリケーションなどの領域では、 必ずしもERPサプライヤーが市場シェアを勝ち取 っているわけではない」と分析している。
WMS市場でもERPサプライヤーが攻勢 倉庫管理システム(WMS)の市場でも、ER Pサプライヤーが着実にマーケットシェアを伸ばし ている。
この傾向は今後も続くだろう。
一方、輸送管理システム(TMS)市場では、こ うした傾向は見られないが、ERPサプライヤーの 中には二〇〇四年中にTMSに関わる機能を大幅 に強化する計画を立てている企業もある。
他のE サプライチェーン・エクセキューション市場の動向 ERPサプライヤーが市場シェアを拡大 本コーナーでは米国の大手調査会社、AR Cアドバイザリーグループの市場調査報告書 について紹介している。
今回はサプライチェー ン・エクセキューション・ソフト市場の今後 の動向に関するレポートを取り上げる。
(単位:百万ドル) (ソフトウエア&サービスを含む) 2003 2004 2005 2006 2007 2008 サプライチェーン・エクセキューション市場予測 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2004 ARC Advisory 71 MARCH 2004 RPサプライヤーも続々とTMSを発表するとみら れる。
もっともTMSはいくつかの異なるタイプの輸送 アプリケーションの総称となっている。
このためE RPサプライヤーによるTMSの開発が、すべての TMSサプライヤーの活動にインパクトをもたらす とは限らない。
製造管理システムサプライヤーの実力 加工産業向け製造管理システムのサプライヤー は比較的、他社による新規参入の影響を受けにく いポジションにいると言える。
この分野のSCEで コアとなる加工製造には、それぞれの業種に特有の 機能が欠かせない。
化学、紙、オイル、ガス業界が その典型だ。
こうした加工産業向け製造管理システムのリー ダー企業の多くは、同産業におけるオートメーショ ン化や制御システムにおいてもリーダー的な立場に ある。
加工現場を最適に運営するハードウエアに関 する彼らの専門知識が、ソフトウエアのみを売り、 トータル・ソリューションを提供できないサプライ ヤーの侵入を妨げている。
加工産業向け製造管理のリーダーたちは、大手 SCEサプライヤーと呼べるだけのマーケットシェ アを獲得している。
にもかかわらず、現状では大手 ERPサプライヤーやロジスティクス・マネジメン ト・サプライヤーの方が知名度が高い。
製造がサプライチェーンの要の一つとして認識さ れる一方で、それに関わる製造管理のリーダーサプ ライヤーたちの提供する能力や重要性は、いまだに 過少評価されているということだろう。
(二〇〇四年一月)

購読案内広告案内