ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2004年2号
特集
在庫削減の上手な会社 組織がロジスティクスの成否を分ける

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

FEBRUARY 2004 18 「組織がロジスティクスの成否を分ける」 昨年11月までの1年間、本誌で「CLO実践録」を連載しても らった川島氏は、米国流のロジスティクスを10年以上前にAG Fに導入。
結果として在庫を6割以上減らした。
その際のポイ ントは組織運営にあった。
(聞き手・岡山宏之) 川島孝夫 味の素ゼネラルフーヅ常勤監査役  ――ロジスティクスの担当責任者に経営の視点を持て と主張していますね。
「私が一九八〇年代に米ゼネラルフーヅ(現クラフ トフーヅ)のロジスティクス研修に参加して、まず徹 底的に叩きこまれたのが経営指標の見方です。
ロジス ティクスという観点で財務諸表をみて、その中からど う課題を摘出し解決するか。
経営の結果として出てく るのが財務諸表ですから、どれほど物流費を減らして も利益につながらないようでは何の意味もない。
だか ら、まずは『経常利益率』に注目します」 ――次に注目するのは? 「『棚卸資産率』です。
B/Sのなかにある棚卸資産 を全資産で割ると出てくる指標です。
この指標を競合 他社と比較すれば、自分たちの在庫水準がどうなのか がはっきりと分かる。
そして在庫が多い企業は、恐ら く利益率が悪いはずです。
少なくとも米国では、当時 の味の素ゼネラルフーヅ(AGF)が満足に利益を出 せない原因は棚卸資産、つまり在庫にあるという見方 をしていました」 「あと彼らは、棚卸資産率が悪化すると必ず借入金 も増えるはずだと強調していました。
資金を在庫とし て寝かせているわけだからね。
こういう企業が在庫の 少ない企業と同様の投資活動をしていくためには、ど こかから借りてくるしかない。
この借入金の状況を見 るため、彼らは『借入金資産率』という指標を見てい ました。
日本ではあまり注目されない指標ですが、米 国ではこの指標が二割を越すと金融機関が金を貸して くれないのだという。
借金経営だから危ないと言って ね。
この辺の指標は、みんな連動していますよ」 ――最近では、強い企業ほど在庫にきちっと取り組ん でいるという認識が広がってきました。
しかし一方で は認識不足の企業も少なくない。
なぜなのでしょう。
「一つはトップが在庫を重要な経営指標と認識して いないためでしょうね。
利益が出ない原因を考えたと きに、販管費を使い過ぎているとか、販促リベートを 出し過ぎだとか、すぐそっちに行ってしまう。
確かに この認識も間違ってはいません。
一番、大きなお金を 使っているのは、こういうところですからね」 「ただし実は利益源というのは、メーカーが自分自 身でコントロールしている業務のなかにこそ隠されて いるんです。
原価低減というのは、どこのメーカーも 取り組んでいます。
でも財務諸表で製造コストについ て見ても在庫は埋もれてしまっていて表面に出てこな い。
そもそも私は、ここが間違っていると思う」 ――日本企業の管理概念の問題ですね。
「日本では製造原価のなかから、在庫を切り離して 見ていません。
経営の管理概念として物流費を分けて いない。
これに対して欧米では、取引条件の一つとし て物流費をみています。
そこは欧米の有力企業と日本 企業では全然、違います」最大のポイントは組織の統合 ――いざ在庫の重要性に気づいても、今度はどうやっ て減らせばいいかのが分からない。
「在庫を経営指標として意識するようになれば、次 は『在庫を統合的に一元管理する組織』を作らなけれ ば管理のしようがありません。
日本企業の多くは、原 料は資材部で、半製品の在庫は工場の生産部門が、さ らに製品については営業がといった具合にバラバラに 管理しています。
これでは在庫を減らしようがない。
在庫を一元的に管理する組織を作ることがロジスティ クスの重要なステップです」 ――「CLO実践録」で教えていただいたロジスティ クスの導入手順(本誌二〇〇三年三月号)では、在 Interview 19 FEBRUARY 2004 特集 庫を一元的に統合管理できる情報システムの整備が、 第一歩になると言っていました。
「それは私がロジスティクスの導入に取り組んだ九 〇年代前半の話です。
今ではやる気さえあれば、情報 の統合は難しい話ではありません」 最後に物流ネットワークを統合する ――となると最大の難関は、組織の統合ですね。
「そういうことです。
過去に在庫管理をしていた各 セクションにしてみたら、既得権のようなものがある からね。
だからロジスティクスを導入しようとしたら、 社内は猛烈に反発するはずです。
このため理屈では分 かっていても、やり切れてない経営者が多い」 ――そのときのコツは何でしょう。
「組織を作るステップもまた何段階かに分かれます。
何もかも一気にやろうとしても難しい。
我々の場合は、 まず最初に営業サイドの在庫関連セクションを統合化 して、そこが機能しだしてから本社や工場で手掛けて いる業務をそこに吸収させていきました」 「ようするにロジスティクスというのは、工場の原 価管理でもあるけれど、それ以上に得意先管理なんで す。
売り方を変えられなければ、作り方も変えようが ない。
だからこそ我々は営業サイドから着手して、そ こに本社や工場の機能を統合していきました」 「まあ、我々は米国で上手くいったやり方をそのま ま踏襲しただけで、他には試していません。
だから他 にも有効な手法があるのかもしれない。
ただ私が日本 企業を見ていて感じるのは、多くが我々とは逆のアプ ローチをしています。
原価管理から入って失敗してい る。
工場出身者がロジスティクス部長をやっていて、 壁に当たっているケースは少なくないようです」 ――既存の物流部門にしてみたら、物流部の業務範囲 を拡大していこうとするパターンが少なくありません。
「物流部門には難しいでしょうね。
メーカーという のは、やはり作って売ることが本業です。
だからロジ スティクスを導入するにしても、どちらかの権限を持 っている人間がやらなければ難しい。
極端なことを言 えば、作らないと決めれば在庫はゼロになるわけです から。
作る権限も、売る権限も持っていない人間がや ろうとしても調整しかできません」 ――では、生産なり営業でどのような業務を担当して いた人材が適任なのでしょう。
「どこのメーカーでも、支店などで販売計画や供給 調整を担当している部門があるはずです。
AGFの場 合は、全国の四割近い売り上げを持っていた東京支 店のそういう機能を、人材ごと本社にもってきてロジ スティクス部門に統合してしまった。
そうやって最初 は東京だけでやってから、次に大阪、名古屋とシェア の大きい順に機能と人材の統合を進めていきました。
ここまでやるとかなりのシェアになりますから、あとはヨーイドンで一気にやってしまった」 ――ロジスティクス部門の本社での位置づけは? 「経営会議の直轄です。
最初から、段階的に組織を 全国規模に拡大していって、二年後にはどんな組織に するという前提でやってましたからね。
半年後にこの 機能を集め、一年後にはこうして、二年後には工場の 生産計画をどうするというところまでね。
しかし、こ んなことを最初に言ってしまうと社内が混乱する。
も ちろん経営陣と人事部では詰めていましたがね」 ――ロジスティクスの組織を段階的に作っていた二年 間は、物流管理は誰ががやっていたのですか。
「既存の物流部がやってました。
物流を統合したの は一番、最後です。
これは一気にできる。
そして我々 はこのときに物流網も抜本的に見直しました」 Logisticsの目的と定義 Supplier Maker Customer D/C Store 在庫 Inventory 在庫 Inventory 在庫 Inventory 在庫 Inventory 目的  1. 競合優位性(得意先サービスレベル)  2. 在庫削減  3. 企業間関係強化(CRM) 定義  在庫の一元統合管理機能 Key Word  統合 Integration ロジスティクス導入の3段階 (1)情報システムの統合 ・在庫管理情報の一元化 ・簡便な情報検索 (2)需給調整機能の統合 ・ロジスティクスに関する主要計 画および販売計画の変更・調整 機能の統合 (3)物流管理機能の統合 ・調達/工場構内/販売物流の統 合化

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