ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2012年4号
特集
第4部 ブロック別運送市場レポート 《四国》瀬戸内海側と太平洋側で明暗

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

《四国》瀬戸内海側と太平洋側で明暗  機械関連や化学品工場が集積する愛媛や香川で運賃の下落が顕著 になっている。
中国地方や関西圏の運送会社の進出も多く、価格競 争が熾烈になっている。
一方、高知の運賃は他の3県に比べて高位安 定が続いている。
運送業者数が少なく、地理的にも進出の波にさら されにくい。
ただし、最近では背に腹は変えられなくなった業者の 流入も目立ち始め、運賃下落の懸念材料になりつつある。
燃料高や ドライバー不足という悩みも他の3県と共通している。
●愛媛から東京まで四トン車で九〜一〇万円、大型 車で十三〜一四万円、名古屋まで四トン車で六万 円、大型車で八万円、大阪まで四トン車で四〜五 万円、大型車で六〜七・五万円というのがおおよ その相場だが、そこまで収受できている運送会社 は少ない。
当社の荷主は化学品メーカーだが、この 一年で運賃が一〇%近く下がった。
受注量も落ち ている。
新規参入も多く、ダンピングに巻き込まれ ている。
特に長距離輸送が厳しい。
懸命にコスト削 減しても、それ以上の値引きを求められる。
軽油 が上昇していることもあり、走れば走るほど採算 が悪化していく。
当社は長距離運送からの撤退を 決めた。
          (愛媛・一般運送) ●工業品をメーンに扱っているが、震災直後から運 賃が下がり続け、ようやく底を打ったのが昨年の 九月。
以降、横ばいが続いている。
現在の運賃は 震災前に比べて一〜二割ほど低い水準だ。
全体の 荷動きはほぼ例年通りだったが、電機製品は落ち 込んでいる。
エコポイントが終了した矢先に、震災 が追い打ちを掛けた格好だ。
関東向け、関西向け、 九州向けなど全ての出荷量が減っている。
荷主も 厳しい状況なので、値上げ要求などできる環境で はない。
景気が回復するまで我慢できるかどうか が勝負だ。
         (香川・一般運送) ●高知の運賃水準は四国の中でも安定している。
水 準も高い。
例えば東京まで荷物を運ぶ場合、他の 三県と比べ三〜五万円ほど多く収受できる。
運送 会社の数が比較的少ないので、構造的にダンピング が起きにくい。
実際、当社は増トン車で東京まで 荷物を運ぶ場合には約一八万円の運賃をもらって いる。
ただ、この二、三年で変化も見られ始めて いる。
中国地方や関西地方でメシを食えなくなった APRIL 2012  32 特別積合せ貨物の荷動き(四国運輸局) 宅配貨物の荷動き(四国運輸局) 500 400 300 200 100 0 15 10 5 0 -5 -10 -15 (千トン) (%) 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 平成22 年度 平成23年度 輸送トン数 輸送トン数 平成23 年度 前年同月比 15000 10000 5000 0 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 (千個) (%) 4月5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 平成23 年度 前年同月比 平成23 年度 取扱個数 平成22 年度 前年同月比 平成22 年度 前年同月比 平成22 年度 取扱個数 市場の声 解 説 4 ブロック別運送市場レポート 運送業者や水屋が愛媛・香川に進出してきて、値 崩れを誘引している。
それに押し出されるような 形で、愛媛や香川の業者が高知に流入し始めてい る。
空荷で、しかも高速代をかけて高知まで集荷 しに来ても、運賃が高いため十分ペイできるという 狙いだ。
しかも従来の高知の相場よりは低い値段 を提示するため、値崩れの要因にもなりかねない。
迷惑な話だ。
        (高知・一般運送) ●運賃は横ばいから若干の下落傾向だが、荷動きは かなり鈍っている。
特に四国から本州向けの荷物が 少なくなっている。
当社の場合、昨年一年間で三 〇%くらい落ちた。
景気低迷による消費の冷え込 みが原因だろう。
当社は年間契約を結んでいるの で運賃がすぐに変動するということはないが、改 定時期の春先からは切り下げ要請が来るかもしれ ない。
           (香川・一般運送) ●食品の低温物流を強みとしている。
運賃は何年も 横ばい状態だ。
食品は景気の影響を受けにくいし、 なかでも十分な品質を提供できる低温物流業者は そう多くない。
中国地方から進出してくる業者がダ ンピング攻勢をかけてくる動きも散見されるが、結 局コストが合わなくなって長続きしない。
運賃は今 後も急激に上がってくることは無いだろうが、ド ライバー不足などが今よりも顕著になれば、上向い ていく可能性もある。
懸念材料としては、足下の 軽油高だ。
当社の昨年度の燃料費は例年よりも三 〇〇〇万円ほど上がってしまった。
荷主に転嫁す ることも難しい。
     (愛媛・食品3PL) ●景気や震災の影響は特に感じない。
運賃も横ばい が続いている。
四国は他のエリアに比べて、良くも 悪くも?無風状態?だ。
ただ、ドライバー不足は深 刻。
募集をかけてもなかなか集まらない。
既存の ドライバーも、バスやタクシーに流れてしまってい る。
            (香川・一般運送) 33  APRIL 2012 平成22 年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平成23 年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 96.3 98.5 104.2 101.2 96.8 102.1 102.8 106.1 104.8 86.2 104.1 102.7 99.4 92.5 101.7 98.8 100.2 100.0 101.5 102.3 107.8 101.9 104.6 103.2 104.4 105.5 104.4 100.0 104.4 103.5 103.6 109.2 108.7 109.5 106.1 101.9 101.6 103.6 101.2 101.8 98.3 97.9 前月比 (%) 前年同月比 (%) 一般貨物の荷動き営業用貨物車両台数の推移 27,774 27,703 27,690 27,619 27,583 27,554 27,527 27,503 27,542 27,495 27,484 27,450 27,425 27,417 27,386 27,367 27,361 27,363 27,345 27,359 1,945 1,939 1,938 1,945 1,952 1,951 1,965 1,969 1,965 1,964 1,970 1,968 1,965 1,962 1,957 1,958 1,963 1,959 1,965 1,952 4,767 4,780 4,784 4,780 4,787 4,788 4,789 4,779 4,774 4,771 4,764 4,783 4,786 4,789 4,780 4,798 4,784 4,772 4,764 4,750 普通貨物小型 四輪貨物被けん引車 出所)国土交通省 景況感一覧 宅配貨物 宅配以外 一般貨物 10 年 1〜3月 10 年 4〜6月 10 年 7〜9月 10 年 10〜12月 11 年 1〜3月 11 年 4〜6月 11 年 7〜9月 11 年 10〜12月 12 年 1〜3月(見通し) 特積貨物雇用関連総合計 出所)全日本トラック協会 判断指標 矢印 … -100 … -60 … -20 … +20 … +60 … +100 … 徳島 香川 愛媛 高知 計 特積 事業者数 一般 事業者数 6(±0) 5(±0) 6(±0) 3(±0) 20(±0) 378(-5) 570(+2) 739(-8) 440(+10) 2127(-1) 平均年齢 労働者数(十人) (歳) 平均勤続 年数(年) 平均現金給与額(千円) 平均年間賞与その他 特別給与額(千円) 459 809 1730 350 (85.0%) (78.6%) (113.6%) (68.9%) 46.9(+3.0) 44.3(-1.9) 45.7(+0.2) 46.1(-1.1) 12.5(+0.2) 13.3(+1.9) 12.0(±0) 15.2(+3.6) 265.7 285.1 302.9 283.6 (97.5%) (100.6%) (107.4%) (107.8%) 361.1 620.6 561.2 489.5 (71.7%) (139.9%) (124.6%) (165.1%) 運送事業社数〈2011 年3月時点〉運輸・郵便業の賃金水準〈2011 年6月時点〉 (括弧内は対前年増減) (括弧内は対前年増減もしくは比率) ※男性一般労働者出所)厚生労働省 出所)国土交通省 特集

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