ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2010年7号
特別レポート
イー・ロジットクラブ通信 第5回 オートバックスセブン東日本ロジスティクスセンター手厚いサービスで店舗運営を支援

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JULY 2010  58 イー・ロジットクラブ通信 専用便配送エリアを拡大  全国に五一九店舗のカー用品販売店をフラ ンチャイズ展開するオートバックスセブンは、 千葉県市川市と兵庫県三木市の東西二カ所 に大型の物流センターを設置している。
ほぼ 同じ機能を備えた?双子のセンター?で、東 日本は一九九六年、西日本は九七年に稼働 した。
 その建設プロジェクトが立ち上がったのは バブル崩壊から間もない九三年のことで、い まだ物流現場の労働力不足が問題視されてい た時期だった。
それを反映して、双子のセン ターのオペレーションは省力化・省人化を徹 底したものとなっている。
マテハン設備とし ては自動倉庫、自動仕分け機、二種類のピ ッキング・システムなどが導入されている。
 うち東日本ロジスティクスセンターは静岡・ 甲信越以北の約二五〇店に商品を供給して いる。
取り扱いアイテム数は約一万四〇〇〇。
一日当たりの出荷行数は平均五万行で、ピ ーク時には十二万行にも達する。
 誤出荷率は五万分の一という精度を達成し ている。
当初五〇〇〇分の一だったものを運 用の工夫によって一〇倍に向上させた。
ソー スマーキングの活用もその一つだ。
現在、セ ンターに納品されるケースの九五%にJAN コードに物流管理用の識別子を加えた「I TFコード」が貼付されている。
当初は約 六〇%だった貼付率を、ベンダーの協力を得 ることで段階的に向上させてきた。
 入荷したケースのITFコードをスキャナ ーで読み取って検品すると、保管すべきロケ ーションコードをプリントした補充ラベルが 自動的に出力される。
ITFコードがマーキ ングされていないケースや複数のアイテムが 一つのケースに同梱されている場合は、開梱 して商品を取り出し、一つひとつJANコー ドをマニュアル検品して入荷用のケースに移 し替えるという作業を行っている。
 一万四〇〇〇アイテムのうち出荷頻度の高 いSクラス、Aクラス、ならびに定番商品は 約八〇〇〇アイテムある。
これらのピースピ ッキングには、投入する商品の保管棚の前に オリコンをコンベヤで自動搬送するバイパス 式のデジタル・ピッキング・システム(DP S)を利用している。
一方、出荷頻度の低いB、 C商品やオリコンに入らない長尺モノなどD PSに馴染まない商品は、端末を搭載したカ ートでピッキングする。
 店舗からの受注の締め時間は毎日二二時。
その受注データが翌日の午前三時にチェーン 本部からセンターへ出荷情報として送信され る。
センターでは午前九時から夕方の一七時 までの間にピッキングから出荷までの作業を 処理する。
 配送は大都市圏では四トン車の専用便で ルート配送を行っている。
店舗発注から出荷 までのリードタイムは三六時間〜四八時間だ。
ただし、特別積合便を使う遠方への配送は着 荷が一日遅れてしまう。
そこで五年ほど前か ら専用便によるルート配送エリアの拡大を図 っている。
 西日本エリアでは佐賀県の鳥栖に積み替え 用のセンターを設置した。
兵庫の西日本ロジ スティクスセンターから大型車で鳥栖まで商  東日本全域に分布する約二五〇店に約一万四〇〇〇アイテムの商品を 供給している。
高い物流精度の実現と並んで、検品レス、カテゴリー別納品、 自動補充などの店舗支援機能の強化に努めている。
庫内オペレーションに は各種の自動化機器を導入し、省力化・省人化を徹底させている。
オートバックスセブン 東日本ロジスティクスセンター 手厚いサービスで店舗運営を支援 《第5回》 59  JULY 2010 品を運び、夜間のうちに積み替えて、車両一 台につき五、六店舗分の商品を積んだ専用便 で納品する。
東日本エリアでもこれと同じ方 式で、北海道の札幌に拠点を置いた。
出荷ラベルまで店舗側に配慮  このルート配送には納品リードタイムの地 域格差を解消しようという狙いの他に、もう ひとつの目的がある。
返品およびオリコンの 回収だ。
ルート配送の納品時に返品商品とオ リコンを回収することで、返品処理のコスト と手間を大幅に削減した。
 店舗の運営支援は、同社のロジスティク スの大きな特徴だ。
店舗からの商品発注に は、担当者が任意で行う「手動発注」のほか、 各アイテムの店舗在庫が基準値を割った場合 にコンピューターが自動的に補充発注するシ ステムを導入している。
センターから出荷す る商品の約九割は、この自動発注システムに よるオーダーだ。
 また店舗のパソコン端末は、開店処理時に その日の入荷情報を自動的に出力する仕組 みになっている。
事前に入荷個数を把握する ことで受入作業の計画を立てやすくしている。
高い納品精度を実現することで店舗納品時の 検品も廃止。
システム上の仕入れ計上や在庫 データの更新も納品日に自動的に処理される。
店舗側で納品書を入力する必要はない。
 さらにセンターでピッキング・梱包作業を 約五〇の商品カテゴリーに分けて行うことで、 店舗における品出し・陳列作業の負担を軽減 している。
出荷ラベルも店員が段ボールやオ リコンを開梱しなくても、キャンペーン、セ ール、客注といった内容物の詳細情報まで一 目で分かるように工夫している。
 センター稼働当初、同センターの取り扱い アイテム数は約八〇〇〇だった。
それが現在、 約一万四〇〇〇まで増えている。
それにも拘 わらず、物流精度とサービスレベルは向上を 続けている。
高度なシステムや設備の活用に 加え、オペレーションの地道な改善を粘り強 く積み重ねてきたことがそれを可能にしてい るといえるだろう。
 物流コンサルティ ングと通販物流のイ ー・ロジットが主催 する研究会「イー・ ロジットクラブ」では、 先進物流センターの 見学会を定期的に行っている。
本コーナーでは その成果を紹介している。
   イー・ロジットクラブは、イー・ロジットの 角井亮一代表(写真)が主宰する物流研究会 で、物流人材の育成や人脈づくりに磨きをか けたい企業七五社が参加し、研修会やセミナー、 現場見学会、ニュースレターの発行、会員同 士の情報交換会など活発な活動を行っている。
 入会金は五万二五〇〇円、月会費は 五二五〇円で、会員企業に対しては角井代表 を始めとしたイー・ロジットのコンサルタント による無料相談会や同社の主催する研修講座の 割引制度などの特典も設けられている。
 同クラブへの入会を検討する企業を対象とし た無料説明会も東京と大阪で随時開催している。
同説明会の参加者には角井代表の?最新セミナ ーテキスト(定価三〇〇〇円)と?最新セミナ ー講演CD(定価一万円)がプレゼントされる。
イー・ロジットクラブ活動報告 ■無料説明会の日程(東京と大阪で同時開催) 七月一五日(木)一六:〇〇〜 八月五日(木)一六:〇〇〜 (上記日程以外の個別説明にも随時対応) ■問い合わせ先電話番号 東京:〇三─五八二五─一七二〇 担当/清水 大阪:〇六─四三〇八─八九七七 担当/宮野 ■URL: http://www.e-logit.com/seminar/ elogitclub.php 店舗ごとの受注内容に基づき、容量 計算が行われて、必要な数のオリコ ンが自動的に用意される。
バイパス式のDPS ライン。
オリコ ンの出荷ラベルのバーコードを読み 取り、指定どおりの商品をピッキン グする。
BCランク商品や長尺物、重量物な ど扱いが標準化し難い商品の仕分け には、カートと無線端末を使用する。
抜き打ちで全出荷物の5%に対し検 品を行う。
検品を充実させるよりも 根本の仕分けミスを改善すべきとい う考え方。

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