ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2010年4号
特別レポート
第2回 トラスコ中山 プラネット神戸自社物流で機械工具の流通を最適化

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

APRIL 2010  78 イー・ロジットクラブ通信  機械工具商社のトラスコ中山は、約九万ア イテムもの製品在庫をフルラインで保管する 物流拠点を全国一五カ所に設置し、受注当 日ないしは翌日午前中に自社便で納品する手 厚い物流サービスを売り物にしている。
 同社のビジネスコンセプトは、スムーズか つスピーディな商品供給にあり、納品先であ る機械工具製品の販売店に対しては、次のよ うな顧客サービスを推進してきた。
●幅広い品揃えで、どのような注文にも対応 ●十分な保有在庫によって、販売店の在庫 負担を軽減 ●一個単位の小ロット出荷にも対応 ●独自の物流システムで運賃ゼロの即納体制 ●自社カタログ「オレンジブック」を活用し、 販売店・ユーザーからの注文を促進する ●全国一〇〇カ所以上の営業拠点による、 きめ細かな販売店サポート  同社の扱う機械工具や関連部品等の製品 には、何がいつ必要になるのか、予測のでき ないものが多い。
またユーザー側は、必要な ものを必要な時に必要な単位で入手すること を求めている。
 このような商品特性に対応するため、トラ スコ中山は同社の商品カタログ「オレンジブ ック」に掲載されているアイテムの大部分を 常に在庫する物流体制をとっている。
 同時に仕入先となるメーカーに対しては次 のようなサポートを行っている。
●十分な保管機能を有する自社倉庫で商品 の大量一括購入を実現 ●小ロット販売をメーカーに代わってトラス コ中山が対応する ●約十二万アイテムを掲載した「オレンジブ ック」でメーカーの販促を支援 ●販売チャネルを通じ市場ニーズに応じた商 品を的確に供給する  いずれも「出荷動向が読み難い」および 「小ロットでは供給できない」という、メー カーの抱える流通課題の解消を図ったものだ。
 在庫を積み増して品揃えを確保、物流オペレーション も自社運営でサービス重視を徹底する──機械工具を はじめとした工場副資材を卸売販売するトラスコ中山は、 コスト削減一辺倒の世間の風潮とは全く逆を行く物流戦 略をとっている。
トラスコ中山 プラネット神戸 自社物流で機械工具の流通を最適化 入荷検品の様子。
取り寄せ商品は、 センターを通過するだけの扱いとなる が、納品伝票の発注番号をチェックす ることにより、在庫商品か通過商品か がひと目で分かる仕組みになっている ピッキングカートと無線ハンディター ミナルを組み合わせたピッキングシス テム。
倉庫管理システムにより発行さ れるピッキングリストの指示に従いな がら、配送車別、店舗別に商品がピッ キングされる 部品一個単位の受注にでも対応する。
小物商品本体にはバーコードが付け られていないため、ピッキングカート に搭載したモバイルプリンタからバー コードを出力し、小袋に貼り付けて出 荷する 《第2回》 79  APRIL 2010 つまり、トラスコ中山は卸売事業者として川 上と川下を結ぶだけではなく、サプライチェ ーン全体の最適化を先導しようとしているの である。
 取扱アイテム数の拡大に伴い同社の在庫 量は年々、増え続けている。
二〇〇九年三 月期の棚卸資産は一八八億円で、同期の売 上高一一九五億円に比べて決して小さな数 字ではない。
それでも同社は当面、在庫金 額を二〇〇億円まで積み増すことを計画して いる。
 アイテム増への対応はもちろん、十分な在 庫量を確保することにより、欠品防止(=即 納重視)を徹底しようという狙いである。
手厚いサービスを支える 独自の物流情報システム  もちろん、無闇に在庫量を増やすわけには いかない。
そのため〇七年五月には「ザイコ ン」と呼ぶ独自の需要予測システムを稼働さ せている。
過去十二カ月プラスアルファの出 荷実績をベースにしてアイテム別の発注点を 試算する。
 出荷予測が難しいという商品特性から、従 来は現場担当者に委ねられていた発注管理を システム化したことで、在庫管理の精度が上 がり、在庫量と欠品を同時に抑制することが できた。
 物流センター作業にも、「ココナッツ」と 呼ぶ独自の倉庫内管理システムを導入してい る。
その概要は以下の通りだ。
?入荷作業  入荷された商品は、受注データをもとにハ ンディ端末でバーコード検品を行う。
この際 に、商品を保管する棚のロケーションが記載 された「格納ラベル」が出力される。
ラベル に指定されたエリアに商品を搬送し、棚に格 納する時点で、商品とラベル、ロケーション の三つのバーコードを照合し、棚の入れの間 違いを防止する。
?出荷作業  ピッキングにはカートと無線ハンディター ミナルを使う。
受注データがピッキング作業 者の無線ハンディに出荷指示として送信され る。
作業者は端末画面の指示に従い、商品 を棚から取り出し、バーコードをスキャンし てカートに投入する。
 配送車別・店舗別に商品を集め終わったら、 さらに出荷検品を行う。
出荷検品は、自社 便による販売店への直送、トラスコ中山の事 業所を経由して納品する分、路線便で直送す る分など、出荷形態に応じた処理を行う。
 このようにトラスコ中山は、荷主企業とし て自ら豊富な在庫と重装備の物流施設に資 金を投じ、さらにその運営にも工夫をこらし ている。
物流サービスを差別化の武器とする 同社には必要な施策なのだろう。
 物流コンサルティ ングと通販物流のイ ー・ロジットが主催 する研究会「イー・ ロジットクラブ」では、 先進物流センターの 見学会を定期的に行っている。
本コーナーでは その成果を紹介している。
   イー・ロジットクラブは、イー・ロジットの 角井亮一代表(写真)が主宰する物流研究会 で、物流人材の育成や人脈づくりに磨きをか けたい企業七五社が参加し、研修会やセミナー、 現場見学会、ニュースレターの発行、会員同 士の情報交換会など活発な活動を行っている。
 入会金は五万二五〇〇円、月会費は 五二五〇円で、会員企業に対しては角井代表 を始めとしたイー・ロジットのコンサルタント による無料相談会や同社の主催する研修講座の 割引制度などの特典も設けられている。
 同クラブへの入会を検討する企業を対象とし た無料説明会も東京と大阪で随時開催している。
同説明会の参加者には角井代表の?最新セミナ ーテキスト(定価三〇〇〇円)と?最新セミナ ー講演CD(定価一万円)がプレゼントされる。
イー・ロジットクラブ活動報告 ■無料説明会の日程(東京と大阪で同時開催) 四月十三日(火)一五:〇〇〜 (上記日程以外の個別説明にも随時対応) ■問い合わせ先電話番号 東京:〇三─五八二五─一七二〇 担当/清水 大阪:〇六─四三〇八─八九七七 担当/宮野 ■URL: http://www.e-logit.com/seminar/ elogitclub.php

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