ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2005年11号
メディア批評
右傾化し異端者の発言に神経をとがらす日本 自称ジャーナリストばかりマスコミを賑わす

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高信 経済評論家 55 NOVEMBER 2005 ロンドン大学名誉教授のロナルド・ドーア は数年前に小さな私の事務所を訪れ、対談を 終えた後に、こう書いた。
ドーアは私を、フランス革命の「自由、平 等、友愛」のうち、圧倒的に「自由」に重点 をおいている人だとし、フリーライターとい う職業が性に合っていると評しながら、次の ように皮肉ったのである。
「それだけ自由な生き方が日本の社会で可能 であることは確かにいいんだが、同時に『辛 口の佐高さん』『硬派なジャーナリストの佐高 さん』を相手どって誹謗罪の起訴を起こす人 があまりいないということは、結局彼は『許 された異端者』なのだろうか」 あのころは小泉純一郎が首相ではなかった。
だから、事務所にかかってくる右筋からの電 話も少なかったが、小泉首相になって格段に それが増えた。
つまり、小泉は右翼を元気づ けた首相である。
私は確かに「許された異端者」かもしれな いが、テレビへの登場回数は確実に減ってい る。
たまに出ればまた、言わなければならな いこと(それが一般にはカゲキと映るらしい) を言うので、さらに回数は減ることになる。
そんな事情を、『週刊現代』一〇月一五日号 の「メディア通信簿」で、元『フォーブス』 アジア太平洋支局長のベンジャミン・フルフ ォードが書いている。
「朝まで生テレビ!」は、自由に討論しているように見えるが、とんでもないとし、フル フォードが日本の財務状態を話そうとしたら、 いきなりコマーシャルになった。
そして、C Mの間、スタッフから、 「その話をするな」 と注意されたという。
また、 「日本のマスコミには自由がない」 と言ったら、司会の田原総一朗が、 「それはあなたの妄想だ」 と却下した。
しかし、 「いくらでも例を挙げられる」 と声をあげたフルフォードにカメラが向け られることはなく、隣にいたデーブ・スペク ターに、 「そんな話をすると、テレビに呼ばれなくな るよ」 と言われたとか。
マスコミだけでなく、野党にとっても財務 省はタブーになっており、応援演説を頼まれ て行ったフルフォードに、民主党の候補者は、 「小泉叩きをしてもいいけど、財務省の批判 はやめてくださいよ」 と釘を刺した。
「私はテレビで顔を売るために、国をダメに している権力のポチになるつもりはさらさら ありません」 こうフルフォードは宣言しているが、私も 同じである。
いま一番の?権力のポチ〞は田 原総一朗だろう。
田原は「許された異端者」 どころか、小泉お墨付きの?ジャーナリスト〞 である。
彼はこの肩書にこだわっているが、 その実体を知る者は誰も認めはすまい。
一九九八年三月一五日号の『週刊読売』で は、私は彼と「激突対談」をした。
当時、私 が同誌に連載していた「鵜の目鷹の目佐高の 目」というコラムで、田原が『現代』で長野 厖士証券局長にインタビューし、弁明にもな らない弁明をさせ、彼の?弁護士〞的役割を 果たしたことを捉え、その核心を突かない安 全パイぶりを批判した。
それに田原が怒って 「激突対談」となったのである。
この時は田原もずいぶん興奮していた。
冒 頭から、「安全パイ」とか「弁護士」という言 葉はジャーナリストである僕の全否定だと糾 問調だった。
それでも私も切口上になり、 「当事者を引っ張り出すことを批判している んじゃない。
ただ長野のスキャンダルについ て、前書きで『囁かれている』と書くだけで いいのかということです」 と返した。
右傾化し異端者の発言に神経をとがらす日本 自称ジャーナリストばかりマスコミを賑わす

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