ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2009年4号
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佐川急便がワールド・ロジと業務提携納品代行のワールドサプライを買収

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

APRIL 2009  52  佐川急便は二月一六日、ワールド・ ロジと業務提携契約を締結した。
この 一環として、ワールド・ロジの子会社 で納品代行事業を主力とするワールド サプライを子会社化し、百貨店向け納 品代行や食品物流に本格参入する。
佐 川急便の配送ネットワークとワールド・ ロジの3PLの企画力・運営力を組み 合わせ、高付加価値サービスの提供と 事業領域の拡大を目指す。
 業務提携により、ワールド・ロジと は相互に物流ノウハウと流通インフラ を活用する。
「業務提携委員会」を設 置し、?自社サービスの相互提供、? 自社顧客の相互紹介、?協業による新 規顧客開拓および新業態の開発、?協 業による新規事業の立ち上げ、の四項 目について、共同で取り組む。
また二 月二〇日、佐川急便と佐川グローバル ロジスティクス、佐川林業がワールド・ ロジが保有するワールドサプライの全  低温物流大手の名糖運輸(本社: 東京都武蔵野市)はこのほど、大阪 府高槻市に新関西物流センターをオー プンした。
土地代も含めた総投資額は 三八億円。
従業員数二七〇人、車両 台数八〇台で、同社最大規模の物流 センターとなる。
これまで摂津市内に 大阪DCと関西DCの二拠点を擁し ていたが、これを統合集約して西日本 エリアの業務拡大のためのハブセンタ ーとして活用する。
 敷地面積一万七〇〇〇?、総延床 面積一万三〇〇〇?、そのうち主力 のチルド倉庫が六四〇〇?、フローズ ン一七七〇?、ドライ六四〇?、事務 所等が八八〇?となっており、三温 度帯すべてに対応できる。
三〇台分 あるトラックバースには、搬入時に進 入する外気を入り口近辺で冷却除湿す る「ドックシェルター廻り外気除湿シ ステム」を採用し、庫内全体の室内温 度安定化を図っている。
また、食品 を扱うことからセキュリティを特に重 視し、入退室管理システムを完備。
部 外者の侵入を防止するとともに、倉庫 内各出入口で監視カメラを配備して二 四時間体制で管理する。
 これまでは一〇キロ圏内に二拠点が 並立するという体制のため、配送効 率が悪かった。
また同社の取扱品はチ ルドが中心で、商品の特性上保管する 佐川急便がワールド・ロジと業務提携 納品代行のワールドサプライを買収 新関西物流センターが始動 二拠点を集約──名糖運輸 株式(九七・三%)の譲渡を受けた。
譲渡金額は計二九億八六〇〇万円。
 佐川急便はワールドサプライを子会 社化することで、百貨店向け直接納品 と納品代行から消費者への配送、メー カー・サプライヤーへの返品、店舗間 の商品移動に伴う配送までを一貫体制 で行う。
こうした百貨店向け配送の市 場規模は一〇〇〇億円という。
 食品分野ではワールドサプライの百 貨店・量販店向けチャネルを活用し、 一貫物流体制を構築。
三温度帯管理 と共同配送による一括納品を行う。
首 都圏の小売店向けに全国の農水特産品 を即日配送するサービスも計画してい る。
さらに、ワールドサプライと築地 市場の仲卸との取引を足がかりに小売 店向け生鮮品の調達物流を拡大し、生 鮮品のデリバリーを強化する方針。
 二月一六日、両社が都内で開催した 記者会見で、佐川急便の平間正一副 社長は「ワールドサプライの買収によ り、新たな事業領域への参入が可能に なる。
ワールド・ロジと経営資源やノ ウハウを共有し、相互にメリットを生 みだしていく」、ワールド・ロジの上 井健次会長は「納品代行はインフラ型 の事業のため、投資負担などが重荷に なっていた。
インフラ事業を佐川急便 に委ね、ノンアセット型3PLに経営 資源を集中する」と語った。
期間が短かったが、近年はロングライ フの乳製品などが増えて在庫日数が長 くなる傾向がある。
不況の中でも底堅 い食品需要の伸びと相まって保管や仕 分けなどのスペースが限界に達し、複 数の外部倉庫や駐車場を賃借せざるを えなかったため、経費が嵩み収益性を 圧迫していた。
 これを両拠点の敷地面積合計の一・ 五倍以上ある新関西物流センターに集 約することで、配送効率改善や経費 を圧縮して収益を改善し、併せて西日 本エリアの業務拡大につなげたい考え だ。
 収支予測としては初年度となる二 〇〇九年度から一一年度の売上がそ れぞれ三五億三〇〇〇万円、三八億 六〇〇〇万円、四一億六〇〇〇万円 で、三年目からの黒字を見込んでい る。
同社では「オープン当初の倉庫稼 働率は約七割だが、これを三年で九 割に引き上げて黒字化をするのが当面 の目標だ」としている。
左から、佐川急便の近藤宣晃常務、 平間正一副社長、ワールド・ロジの 上井健次会長、森田賀典社長 自動ラック倉庫:同社の施設としては 初めて自動ラックを導入、格納効率と 作業効率を高めた

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