ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年10号
news欧州
海外トレンド報告News

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

OCTOBER 2005 72 米APLロジスティクス デルのセンター立ち上げ 同社プレスリリース 8・4 APLロジスティクスは今秋から、 デルの専用物流センターを運営する と発表した。
専用センターは、ノー ス・カロライナ州のウィストン・セー ラムにあり、敷地面積は三一万五〇 〇〇平方フィート(二万八三五〇平 方メートル)となる。
センターは現 在建設中で、二〇〇五年九月の完成 と同時に、APLロジが業務を開始 する。
新センターは、デルの新しい工場 から三マイル(四・八キロ)の位置 にあり、約五〇社のベンダーから送 られてくるモニターやスピーカーなど の部品の在庫管理と工場へのジャス ト・イン・タイムでの配送を担当す る。
デルは全米一二カ所で、同様の センターを稼働している。
APLロジはセンターの一部を使 って業務を開始し、一年後をメドに フル稼働に漕ぎ着けたい考え。
デル の新工場は、最新のデスクトップ型 コンピュータを製造する。
APLロ ジは、三年をかけて五〇人のフルタ イムの従業員を雇う方針。
そのほか に、繁忙期には一〇〇人前後のアル バイトを雇用する計画だという。
独DHL サンの部品物流業務を受注 同社プレスリリース8・4 DHLは、サン・マイクロシステム ズから補修部品のロジスティクス業務 を一社単独で受注したと発表した。
新 規の契約で、期間は三年間。
今回の 契約は、DHLソリューションズが、 アジア太平洋地区でサンの補修部品の ロジスティクス業務を四年間にわたっ て行ってきたことが背景にある。
アジ ア太平洋地区での業務を、世界規模 に拡大することになった。
新規の契約には、三〇〇カ所のロ ジスティクス施設における数千種類 にわたるコンピュータ部品の管理と、 世界一〇〇カ国に点在する一五〇万 社の顧客への配送が含まれる。
これ により、サンが発注した補修部品は、 DHLのネットワークに最も近い拠 点から、二〜四時間内に同社のエン ジニアたちに供給される体制になる。
米UPS オーバーナイト社の買収完了 同社プレスリリース 8・5 UPSは、LTL(路線便)とT L(貸し切り)の大手であるオーバ ーナイトの買収が完了したと発表し た。
買収総額は、一二億五〇〇〇万 ドル(一三七五億円)となった。
オ ーバーナイトの株主は、発表の前日 に買収を了承した。
バージニア州に本社を置くオーバー ナイトは、二〇〇四年の売上高が一 六億五〇〇〇万ドル(一八一五億円) で、純利益が六三三万ドル(六億九 六三〇万円)だった。
同社は、六万 社以上の企業を顧客に持ち、北米全 域にネットワークを持っている。
オーバーナイトの経営陣は、引き続き同 社の経営に当たる。
UPSのマイク・エスキュー会長兼 CEOは、「実力のあるキャリアがU PSの一員となったことで、われわれ の顧客はよりよいサービスが受けられ ることになるだろう」としている。
TNT イギリスの荷主と契約更新 同社プレスリリース 8・ 10 TNTはこのほど、ソーン・ライ ティング社とのイギリスにおける配送 契約を更新した。
年間の契約金額は 二五〇万ポンド(五億円)だ。
ソー ンは、インドアとアウトドアにおける 照明用品の有名ブランドのメーカー で、両社の関係はすでに十三年に及 んでいる。
契約の内容は、TNTがイギリス 北東部のダーラムにあるソーンの中央 配送センターに在庫されている約九 〇〇〇種類の照明器具を、二四時間、 あるいは四八時間のうちに客先に届 けるというもの。
TNTロジスティ クスは、専用車両を使って、一週間 に一〇〇〇パレット分の製品を、六 三七カ所の卸に届ける。
また、TN Tエクスプレスは、一週間に約三〇 〇個の小包を、卸に配送。
契約の更 新に際して、ウェブ上にてリアルタ イムで配送状況を確認できるサービ スと、新しいサプライチェーンの最適 ソフトを使い配送ルートの変更に柔 軟性を持たせるサービスが付け加えら れた。
労組チームスターズ USFと七〇〇万ドル和解金 アイ・フォー・トランスポート 8・ 15 米トラック業界の大手労組・チームスターズ(全米トラック運転手組 合)はLTLの大手USFレッド・ スターの親会社USF Corp . と七〇〇万ドル(七億七〇〇〇万円) で和解に達した。
これは労使紛争に 端を発し、二〇〇四年五月にレッド・ スターが二七カ所営業所を閉鎖した 際に、事前通告なしに解雇された一 六〇〇人の組合員に支払われること になる見通しだ(しかしこれはまだ仮 2005年8月発表分 73 OCTOBER 2005 の和解であり、正式な和解となるに は、裁判所の承認が必要となる)。
営業所の閉鎖の後、労組はフィラ デルフィアの地方裁判所に対して、U SF CorpやUSFレッド・ス ターなどを、アメリカの労働法で定 められている「解雇の六〇日前通知」 を怠ったとして、提訴していた。
労組はまた、USFグループは、 レッド・スターが事前に、営業所を 閉鎖するのか、それともグループ会 社への再雇用を促すのかについて従 業員と話し合いを持たなかった点に 対して、不法労働行為に当たると主 張していた。
さらに同労組はUSF をNLRB(国家労働関係委員会) にも訴えていた。
和解の内容は以下のようになる。
?従業員五〇人以上の営業所で働い たチームスターズの労組メンバー は、一人当たり最低でも三二〇〇 ドルの和解金を手にする。
?従業員五〇人以下の営業所は、現 行の法律では六〇日以前の通知の 対象とならないことから、そうし た営業所で働いていた労組メンバ ーは一人当たり約一〇〇〇ドルを 手にする。
チームスターズの幹部はこう語る。
「これは明るいニュースではあるが、 労働者の被った損害のすべてを弁済 しているわけではない。
われわれはこ れからも元レッド・スターズの従業員 が、USFのグループ内で再就職で きるよう全力を尽くす」 独シェンカー メトロのウクライナでの業務を受注 同社プレスリリース 8・17 シェンカーは、ドイツの大手小売 りであるメトロのウクライナにおける 調達物流業務を受注した。
シェンカ ーは今回の業務受注以上に、社内の 国際部門の協力を与えてウクライナ での配送網を整備してきた。
人口四 八〇〇万人を擁するウクライナは、東 欧のなかでもその成長ぶりが注目され ている国である。
今回のシェンカーとメトロとの契約 の背景には、東欧で先行する二つの 成功事例があった。
一つは、シェン カーが四年半にわたりポーランドでの メトロの業務を請け負ってきたこと、 もう一つは今回の契約の四カ月前に、 シェンカーがメトロのロシアでの業務 を請け負ったことだ。
ウクライナでの業務内容は、調達物 流に関する業務とそれに伴うベンダー とのジャスト・イン・タイムでの情報 のやり取りを含む。
東欧内でのネット ワークに加え、高度なIT(情報技 術)が認められ、メトロからの三つ目 の業務受注となった。
なお、ITにつ いてはドイツ本社がサポートする。
独DHL アメリカ部門が回復基調 トランスポート・インテリジェンス 8・ 25 DHLエクスプレスの役員である ジョン・ミューレン氏は証券アナリス トを対象とした記者会見で、同社の アメリカ部門は回復基調にある、と 発表した。
同氏によると、DHLエ クスプレスの業績は、二〇〇四年一 二月期に大きく落ち込んだ。
DHL ブランドは顧客の信頼を失い、回復 が難しいと思われたほど悪化した。
そ れは、営業部門が、新規の営業先を 開拓するのが難しいほどだった。
エ アボーンの買収による業務統合の弊 害は、問い合わせの電話の半分が満 足な回答を得る前にあきらめてしまっ たコールセンターにおいて顕著だっ た。
しかし現在は、九九%以上の問 い合わせの電話が、満足な回答を得 られるまでに回復した。
DHLはいくつかのKPI(重要 目標達成指標)を導入することで、 フェデックスやUPSと競合できるほ どのサービスレベルを達成できると確 信するまでになった。
また、サービス レベルの向上で、DHLは価格戦略 について言及できるようになった。
同社の価格戦略を市場の動向と歩 調を合わせるようにして、値引きに よるシェアの拡大といった方針を修正 する。
利益を度外視した貨物は取り 扱わない方針だ。
この方針は、二〇 〇五年のアメリカ部門の業績に反映 されることになる。
米シュナイダー・ロジスティクス 南部の港湾業者を買収 同社プレスリリース 8・ 29 シュナイダー・ロジスティクスは、 アメリカン・ポート・サービシーズ (APS)の買収が完了したと発表し た。
APSは、ジョージア州に本社 を置く、港における荷役や混載業者 の大手。
チャールストンやヒュースト ンといった南部や、シアトルやカーソ ンといった西部の合わせて六都市に 三〇カ所の拠点を持っている。
従業 員は一五〇〇人。
シュナイダーは、自社の全米を網 羅するトラック輸送のネットワーク と、APSの港湾荷役作業の能力を 組み合わせることで、港を経由した ドア・ツー・ドアのサービスを提供する。
株式を公開してない同社は、具 体的な買収金額については、公表し ていない。
シュナイダー・ロジの子会社となっ た後も、APSは社名を変更するこ となく、同社のジョージ・パワー社 長が、引き続き会社経営の舵取りを 務める。
物流教育の課題を討議 《欧米編》 OCTOBER 2005 74 南方ネット 8・4 昨日より北京市師範大学珠海分校 で第五回全国大学物流教学研究討論 会が開催され、物流教育の課題が討 議された。
中国国内の物流学科の在籍学生は 現在、十万人を超えている。
国内の 大学一四〇校で物流本科専攻が開設 され、うち五七校が物流工程修士 (博士)コースを備えている。
このほ か五〇〇校以上の職業学校に物流管 理科が開設されている。
しかし、この一年来、物流教育に は様々な問題が出てきている。
第一 に、各学校の物流教育の定義があい まいで、指導内容が就職に結びつき やすい科目だけに集中している点があ げられる。
各校の開設する科目は製 造業の部材管理、物流規則、物流シ ステム管理、国際物流などに偏って いる。
このほかの課題としては、学科カ リキュラムの統一が行われていないた め、各校は独自に指導・養成、コー ス設定、教材選定を行っており、そ れが必ずしも市場の要求するニーズと 合致していない。
学生に物流実務を 教えていないので、就職後に理解と 体験の不足が出てくる。
教員が不足 している、などが挙がった。
物流園区にバブル破綻はない 物流・購買連合会会長が見解 中国交通報 8・9 中国物流・購買連合会の丁俊発会 長の「物流園区にバブル破綻などあ りえない」という発言が注目されて いる。
このところ国内の一部の経済 学者から、このままでは園区はバブ ル破綻をきたすのではないかと懸念す る声があがっている。
しかし丁氏は そうした事態は避けられるとの見解を 示している。
中国の物流園区は大きく以下の三 つに分類できる。
?国際物流園区:目下のところ国務 院の指示の下に税関が「区港連動」 を実施し、保税物流園区を設立・ 運営している。
上海外高橋物流園 区、チンタオ物流園区、アモイ国 際物流園区などがある ?都市物流園区:主な機能は都市へ の物資供給。
工業地域や都市部近 郊にある ?区域物流園区:交通の要所に置く 物流基地 この物流園区のコンセプトは、も ともと国外から導入したもので、日 本やドイツでは既に実績がある。
国 外の事例を見ると、物流園区プロジ ェクトを成功させるには主に四つポイ ントがある。
?設置場所に物流ニー ズ、企業ニーズが集中していること。
?少なくても二つ以上の輸送モード があり、輸送の多様化が図れること。
?園区用地として利用できる一定の 土地が都市近郊もしくは、すこし離 れたところにあること。
?多様な投 資方法があり、関連部門の見解が一 致していること。
このことから丁氏は次のように提案 している。
?国家の?第十一次五カ 年計画〞の「全国物流規則」におい て、重点地域物流と重点地域経済を 一致させる。
また、重点物流地域の なかに、一つないしは二つの物流中心都市を明確に定める。
国家は物流 中心都市の物流園区を明確に把握す ること。
?物流園区の規則は省・ 市・区政府で統一すること。
各自治 体・政府が勝手に規則を作ってはな らない。
?物流園区の設立と建設に 当たっては、できるだけ多くの反対 意見を検討すること。
上海外高橋に非保税倉庫 将来の保税指定を視野に 東方早報 8・ 12 投資会社の上海外高橋保税区総合 発展有限公司(外連発)と高行鎮 (村)は共同で、物流保税園区のある 上海・外高橋功能区に非保税の新倉 庫を建設すると発表した。
建設予定 地は黄浦江に近い浦東北路の西側。
総面積は三三万平米。
外連発はこの他にも高橋鎮、外高 橋功能区管理委員会の三者共同によ るプロジェクト案も提出している。
情 報筋によれば、これらの倉庫は、現 在は非保税でも今後の規則の手直し によって保税倉庫として認められる可 能性があるという。
政府が大規模流通業育成へ 人民日報 8・ 16 国務院はこのほど発表した「流通 業の発展促進に関する若干の意見」の 中で、国際競争力のある大規模な流 通企業グループの育成を進めていく方 針を明らかにした。
高い競争力をもつ 流通会社に対して、資本参加や子会 社化、外部委託、合併、買収、委託 管理、フランチャイズ経営などの形態 による規模拡張を奨励することで、流 通会社の成長をサポートしていく。
国が各関連部門や金融機関に対し て、流通会社の成長を助けるよう指 示。
中央対外貿易発展基金や国債による調達資金の配分、財務会社の設 立、株式や債券の発行、金融サービ スの提供などの面でのバックアップを 行う。
重要育成対象に指定された流 通会社は、輸出入割当額や貿易許可 証、国営貿易経営権、関連資格など の取得を、商務部に直接申請できる ようにする。
国が農村部の流通網拡充支援 75 OCTOBER 2005 食品スーパー二五万店を展開 人民日報 8・ 16 国務院は農村部の流通インフラの 充実に向け、一定の条件を満たした 企業による農村市場の開拓奨励など、 国家的な産業育成政策を進める方針 を明らかにした。
「流通業発展の促進 に関する若干の意見」に基づき、流 通分野の優良企業に対し、農村市場 の開拓、農村消費の促進を奨励する ための様々な優遇策を設ける。
農村部でチェーンストア形式のテ スト事業を実施する企業には、農業 生産機関から購入した農産物を所得 控除の対象として認める。
機関の発 行する普通領収書を根拠に控除を受 けられるようにする。
これらの企業に よる農産物の定温配送システム整備 のための投資についても特別償却を 認める。
商務部は既に財政部と共同で関連 機関に文書を通達し、テスト事業の 指定企業、指定店舗に資金面でのバ ックアップを提供するよう指示してい る。
また一部の県級市ではテスト事 業もスタートしている。
テスト地域で は三年以内にチェーンストア方式のス ーパー二五万店を開く。
全国の行政 村の五〇%以上、郷・鎮の七〇%以 上で、現代型の流通網を構築する。
韓進が中国物流事業を拡大 中国遠洋報 8・ 17 韓国の物流企業、韓進グループが 中国における物流事業の拡大に動い ている。
上海韓進貨運公司は上海海 港総合経済開発区の約十ヘクタール の敷地に初期投資一五〇〇ドルをか けて拠点を建設する。
これは同総合 開発区では初の外資参加のプロジェ クトとなる。
このほかにも韓進グルー プは平均一億元以上の物流プロジェ クトを既に六つ決定している。
山東中郵物流が?AAA〞評価 中新社 8・ 17 山東中郵物流は「中国物流市場に おける、安全、迅速、誠心誠意の?A AA〞企業」として評価された。
全 国規模の民間企業アンケート、また 安全、迅速、誠心誠意の各方面から 査定した成績表により、中国物流行 政協会が昨年六月より一年以上かけ て調査・選定した。
鉄道部が月交州湾物流園区に 鉄道コンテナステーション建設 新華社 8・ 19 鉄道部は月交州市の月交州湾国際 物流センター園区に、三つ目となる鉄 道コンテナセンターステーションを建 設する。
九月から工事を開始し、来年 末に完成する予定。
総投資額は七・ 一億元。
完成後の年間貨物輸送収入 は二〇億元、税収入は一億元とみて いる。
月交州市は山東半島の西南部 に位置する。
園区は青島港から約四 〇キロ、国際飛行場から約三〇キロ の距離にあり、鉄道と高速道路網が 交差する交通の要所となっている。
中遠が海南省海口市に投資 人民日報 8・ 27 中遠グループは、海口保税物流園 区および輸出加工区の二つのプロジ ェクトに参加する。
総投資額は一〇・ 五億元。
完成後にさらに約五〇億元 を投資する。
運営開始後には物流事 業で年間一〇〇億元、輸出加工でも 年間一〇〇億元の売り上げを見込む。
これに加え、園区周辺に集まる輸送 業者の配車プロジェクトも手がければ 投資一〇〇億元に対し、二〇〇億元 の売り上げが見込めるという。
韓国系物流企業の進出ラッシュ 大洋ネット 8・ 29 韓国系物流企業の進出ラッシュが 始まっている。
統計によると、今年 の一月から六月までに韓国の物流企 業が中国市場に投資した件数は六二 件、投資額は九五〇〇万ドルに上っ ている。
今や韓国の物流企業にとっ て中国は最大の投資対象国となって いる。
韓国運輸代理協会の七四四の 会員企業のうち、六二企業が既に中 国に進出し、一八六支社を設立して いる。
これらの支社の多くは上海(三 六支社)、青島(三一支社)、天津 (二〇支社)、香港(一五支社)に集 中している。
例えば韓進海運は一九九五年に中 国に進出し、上海に外資企業として 韓進海運(中国)有限公司を設立。
上海、青島、大連、香港に支社を開 設している。
大韓通運は二〇〇〇年 に山東に事務所を開設、昨年四月に 上海に事務所を開設した。
現代宅配 は二〇〇三年に中国企業との合弁で 上海現代亜輪国際貨運有限公司を設 立している。
外資系物流業優遇を継続 中国証券報 8・ 30 商務部外国投資管理司の胡景岩司長は、「わが国の経済発展には、とく にサプライチェーン経営、物流配送 領域で外国資本に対し開放していく ことが必要であり、外国企業の中国 進出を継続させるためには、外貨投 資政策を保持し、優遇政策を安定か つ連続的に行っていかなければならな い」と述べた。
《中国編》

購読案内広告案内