ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2008年11号
特集
物量減少 ポスト日雇い派遣の新ソリューション

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

NOVEMBER 2008  22 ロケーションバリュー 近場のヒマな人を集める  昨年、日本郵政の一〇〇%子会社で人材派遣会社 の日本郵政スタッフは、年末年始の繁忙期に東京郵便 局で働くアルバイトを募集するために「おてつだいネ ットワークス」を使用した。
その結果、一八〇人もの アルバイトを集めることに成功した。
チラシや広告な ど、あらゆる手を尽くしても集まらなかったアルバイ トを一週間で手配することができた。
 「おてつだいネットワークス」とは、携帯電話の位置 情報機能を活用した求人情報サイト。
ワーカーと呼ば れる会員が携帯電話で専用サイトにアクセスし、空き 時間などに専用サイトの「今ヒマ」ボタンを押す。
す ると、携帯電話に搭載されているGPSの位置情報 をもとに、近場の仕事情報がメールで送信される。
ワ ーカーはその仕事に興味があれば、応募することがで きる。
 一方、依頼者側企業は、専用サイトを通じて求人 情報を出し、応募があったワーカーの中から適任者を 選んで採用する(図1)。
求人募集に対する平均応募 人数は現在五・五人。
求人情報をアップしてから最初 の応募者が手を挙げるまでのリードタイムは平均九分。
募集から一時間足らずでアルバイトを現場に送り込め ることもある。
 作業終了後、雇用者側の企業とワーカーはそれぞれ お互いを評価する。
それがお互いのIDの履歴に残 る。
この評価が次回の募集や応募時の参考資料とな る。
高評価の仕事にはたくさんの応募が集まる。
そ うでない仕事への応募数は明確に下がる。
ワーカー側 もそれは同じだ。
 利用料金は、ワーカーは完全無料。
雇用者側も登録 は無料。
採用が決まった時点で情報料が発生する。
情 報料は定額制と従量制の二種類。
定額制は月三万円 で最大月間五〇人まで採用できる。
作業量の変動が 大きくワーカーを多数雇用する場合に適している。
従 量制は一人採用が決まるごとに、その日の作業代金 の五〇%が情報量になる。
 「通常の求人媒体では出稿すればあとは放ったらか しになってしまう。
成功報酬ベースを採っている以上、 当社と依頼者は一蓮托生。
通常の求人媒体と違い、ワ ーカーが集まらない依頼者にはアドバイスも行ってい る」と、同サイトを運営するロケーションバリューの 砂川大社長は説明する。
 同社は二〇〇五年三月設立のベンチャー企業。
〇六 年四月に同サイトの運営を開始した。
サービス開始当 初は夫婦で出かける際の子守りなど、C to Cの利用 を狙っていた。
ところが蓋を開けてみると飲食店やコ ンビニなど法人需要のほうが大きかった。
会員数も二 年半で一〇万人を突破するほど急成長している。
 今後は物流業界への浸透を期待している。
グッド ウィル、フルキャストの抜けた穴を取り込もうという 狙いだ。
物流現場の利用は現状では全体の一〇〜二 〇%を占めるに過ぎない。
しかし、中長期的には半 数を超える可能性もあると見込んでいる。
来春に予 定しているシステムのバージョンアップでは、物流企 業からの発注などを念頭に置き、使い勝手を改良す る計画だ。
 もともとこのビジネスモデルは、創業者の砂川社長 が米国のハーバード・ビジネス・スクールに留学中の 〇二年に考案したもの。
携帯電話に搭載されている GPSの位置情報を活用すれば、ちょっとした空き 時間を労働時間として有効活用できるのではないか ──。
そんなアイデアが閃き、事業化に踏み切った。
ポスト日雇い派遣の新ソリューション  物流現場の労働力を変動費化する日雇い派遣が事実 上、使えなくなった。
グッドウィル、フルキャストが作 った2000億円市場にぽっかり穴が空いた。
そこを狙っ て新たなビジネスモデルを引っさげたベンチャー企業が 本格的な参入を開始している。
     (柴山高宏) 固定費を変動費に変える 23  NOVEMBER 2008 特 集  会社設立に先立って同年には日本で特許申請を行 った。
現在、米国、欧州、中国、韓国に国際特許を 申請している。
「日本で成功し、ビジネスモデルとし ての事業性を証明できれば、世界中どこでも展開で きる」と砂川社長は自信を覗かせる。
パワープロジェクトジャパン パート専門に紹介予定派遣  岡山県に本社を置き、人材紹介や派遣を行う「パ ワープロジェクトジャパン」は、〇五年にアルバイト の紹介予定派遣「マンスリージョブ」を開始した。
顧 客から求める人材に関する要望を聞いた上で、雑誌や ホームページで求人を代行。
コーディネーターは求職 者に仕事内容から社風、労働環境などを詳しく説明、 複数の応募者と面接を行い、同社が推薦する人材を 顧客に紹介する。
 採用決定後、二週間の派遣期間を経て、顧客と求 職者が合意すれば、直接雇用のパートとなる。
直接雇 用が成立した際には、一六万円を紹介料として受け 取っている。
現状では派遣契約のうち七割が、直接 雇用に結びついているという。
 マンスリージョブを開始する以前には飲食業を中心 に一般派遣を行っていた。
飲食店はどこも慢性的な労 働力不足に悩んでいる。
背に腹は代えられない。
直 接雇用の約一・四倍と割高な人件費にもかかわらず 発注はきた。
だが、実際に請求額を見ると、驚いて しまうところが多かった。
貸し倒れにも見舞われた。
 この経験から「企業の成長、発展を助けるのは派 遣ではない」と確信した木庭寛樹社長は、一般派遣 からアルバイトの紹介予定派遣に業態を転換した。
現 在、日本でアルバイトの紹介予定派遣をメーンに業務 展開しているのは同社だけ。
以前からニーズはあった が、各社目をつむってきた。
派遣会社は顧客から得 る派遣料金と、労働者への支払賃金で利ざやを得る。
一度雇用した人間を手放すことは、利益をみすみす 逃がすことになってしまうからだ。
 業界の常識とは真逆のビジネスモデルが見事に当た ロケーションバリューの 砂川大社長 パワープロジェクトジャ パンの木庭寛樹社長 図2 パートOBを組織化するロケーションバリューの「パートナーシップと認証システム」 おてつだい ネットワークス パートナー企業 パートナーシップ 認証料 作業料認証ワーカー OB 認証 作業依頼 情報料 依頼者 契 約 作業料の半額 ex.3000 円 情報料の半額が パートナー企業に支払われる 応 募 (ex.6000 円) ロケーションバリューとパートナーシップを結んだ企業は、パートOBを認証ワーカー として認定。
依頼者側企業が認証ワーカーを採用すると、情報料の半額が認証料と してパートナー企業に支払われる 図1 「おてつだいネットワークス」依頼者側企業の利用の流れ ?会員登録?募集?募集メール配信?応募メール受信?採用連絡 アルバイトの募集 は、ログイン後、 依頼者トップ画面 「新規依頼」から 行う 作業場所の近くに いて、「今ヒマ」状 態のワーカーに求 人情報をメールで 自動配信 会員登録料は無料採用後、応募者の 連絡先が通知され る。
依頼者は直接 連絡をとる ワーカーからの応 募があり次第、メー ルで通知 今ヒマモード のワーカー 依頼者 おてつだい 登 録 った。
かつては一般派遣が売り上げの柱だったが、現 在はマンスリージョブがメーンになっている。
開始当 初は飲食業などを中心に展開していたが、昨年から 製造・物流系も扱い始めた。
関西地方を中心に、セ ンター長の口コミで広がっているという。
 「物流会社は皆自社雇用比率を高めたいと思ってい る。
最低限の固定費でパートを直接雇って、物量の波 動に対して派遣を利用するなど変動費化していきた いという思いはどこも共通。
だが人が集まらないため、 固定の部分でも派遣に頼っていた。
これでは費用がか かってしまう。
マンスリージョブなら、固定の部分に 対応できる。
今後はマンスリージョブのノウハウ自体 を派遣会社に売っていきたい。
日雇い派遣を禁止す る方向に向かっている中、派遣会社は何をしたらいい か分からず迷走している。
ニーズがあるのは分かって いる」と木庭社長は今後の展開を語る。
ウィンコーポレーション トラックドライバーの特定派遣  「ドライバーのような危険な仕事を日雇い労働者に やらせるなんてありえない」。
ドライバーの特定派遣 を行っているウィンコーポレーションの中村真一郎社 長はこう強調する。
同社は派遣ドライバーを自社の社 員として常用雇用している。
日雇い派遣と違い、ド ライバーは毎月の給料が保証される。
入社後は研修を 行い、プロドライバーとしてしっかりと教育もほどこ している。
 中村社長を含め、同社の経営陣は皆トラックドライ バー経験者だ。
現場の危険性は誰よりも理解している。
依頼された仕事はしっかり吟味した上で現場を見学を し、問題がないと判断してから派遣している。
「日雇 いのようにドライバーが毎日変わっては、品質を維持 できない。
実際、日雇いドライバーが交通事故を多発 させているのはよく知っている」という。
 中村社長は佐川急便などでトラックドライバーを経 験後、軽貨急配で個人事業主のドライバー、いわゆる ?一人親方?の開業者を集める営業活動を行ってきた。
営業成績はトップだったが、一人親方を食い物にする 軽貨急配の経営方針には次第に疑問を覚えていった。
もともと独立志向を持っていたこともあり、二六歳 の若さで独立。
一九九三年に同社を設立した。
 設立当初は運送会社の営業代行を行っていた。
二〇 〇〇年頃、グッドウィルなど日雇い派遣会社が台頭し たことで、派遣にシフトした。
当初は軽作業派遣や清 掃の請負がメーンで、ドライバー派遣は行っていなか った。
しかし〇三年にドライバー派遣を開始し、翌〇 四年にはドライバー派遣に特化することとなった。
そ れだけ顧客のニーズが大きかったからだ。
 世間の人材難をよそにドライバーの採用には特に困 っていないという。
特別なことをやっているわけでは ない。
求人媒体も旧来通り、求人誌など紙媒体を利 用している。
トラックドライバーの採用に苦しむ運送 会社に対して中村社長は、「使用者はどこかでドライ バーのことを見下している。
ドライバー不足で困って いるはずなのに、労働時間、給料、残業代など、ドラ イバーにウソをついて利ざやを稼ごうとしている。
悪 意はドライバーにすぐに見抜かれてしまう。
それでは 人が集まらない」と指摘する。
 ドライバーが集まらなければ、労働環境を改善する しかない。
これは運送業界全体の共有課題だ。
「荷主 に対して運賃交渉力がないことも問題。
安い運賃の まま仕事を受け、ドライバーから搾取するという考え 方を変える必要がある。
運送会社にはまだまだ努力 が足りない」と中村社長は見ている。
NOVEMBER 2008  24 ウィンコーポレーションの 中村真一郎社長 パワープロジェクトジャパンは「お仕事カフェ」をショップ展開している。
コーディネーターは求職者と面談を行い、仕事をマッチングさせる。
ビー・スタイル 主婦のパートタイム派遣に特化  ビー・スタイルは主婦に特化したパートタイム型人 材派遣を展開している。
登録スタッフの八割以上を占 める主婦層をパートタイマーとして顧客のニーズに応 じてシフトを組んで派遣している。
従来はオフィスワ ーク向けがメーンだったが、今年二月、「軽作業派遣 サービス」を開始した。
千葉県の湾岸部や神奈川県の 川崎、平和島の物流業や製造業向けに、主婦をパー トタイマーとして派遣している。
 「物流はイメージ的な問題もあり、始めは手を挙げ る主婦が全然いなかった。
だが、午前中だけの仕事 など、主婦にとって働きやすい時間帯ならニーズはあ る」と同社の三原邦彦社長はいう。
軽作業派遣サー ビスの月次売上高は九月で約一六〇〇万円と、事業 開始の二月から八倍近く増加した。
来年六月までに 月次売上高で六〇〇〇万円を見込んでいる(図3)。
 企業にとって、同社のパートタイム派遣を使うメリ ットは大きい。
パートタイムを希望する主婦を、業務 の繁閑に合わせて配置するため、人件費が削減できる。
「フリーターは生活収入を得る必要があるため、フル タイムの勤務を希望する傾向にある。
業務の繁閑に合 わせて出勤日数や労働時間を無理矢理、調整しよう としても反発が強い。
家庭と仕事を両立したい主婦 ならその点をクリアできる。
もともと主婦層は夫の収 入という生活費のベースがある。
また配偶者控除が受 けられる年収に抑えたいという希望もある」と三原 社長。
 しかも毎日スタッフが変わる日雇い派遣と違い、長 期間にわたり職場に定着するため、その都度教育に 時間を割かれることもなくなる。
生産性は確実に向 上する。
口コミでそのメリットを知った顧客からの問 い合わせが殺到している。
 〇二年七月に、オフィスワークを中心とした「パー トタイム派遣サービス」を開始した。
「それまで女性 は一般職で就職して、結婚して退職するというのが 常識的なパターンとされて、結婚後働くことに抵抗感 を感じる女性が少なくなかった。
しかし二〇〇〇年頃 から、結婚前の女性のキャリアが男性と変わらなくな ったことに気が付いた。
そうしたキャリアを持った女 性には、結婚後も空いた時間を使って働きたいという ニーズがある」と三原社長は考えた。
 しかし、主婦には就労を妨げる制約が多い。
社会 保険や扶養枠による収入面での制約、家事や育児の 時間的制約もある。
企業のマネジメントの仕組みその ものが、主婦が働くようには作られていない。
主婦 をホワイトカラーとして使うという感覚自体が希薄だ。
まずはビー・スタイルのコンセプトを理解してもらう など、主婦労働力を活用することに対する啓蒙活動 から始める必要があった。
 そのツールとして〇四年に「COMPASS」を自 社で開発した。
顧客の業務の実態を調査し、業務に 応じた労働者の適正配置を行うことで、主婦パートで 代替できるポジションを見つけ出すシステムだ。
フル タイム派遣では一日八時間単位で業務を区分する必要 がある。
実際にはそれができないために、本来であ れば不要な時間まで拘束し人件費を支払っている。
そ こで業務の棚卸しをして、短時間派遣を利用できる 余地を見つけ出す。
実際、同社のパートタイム派遣を 新たに導入した企業の多くが年間の人材派遣コストを 二〇%〜三〇%削減できているという。
同社はこの COMPASSで「人材配置に関する診断システム」 のビジネスモデル特許を取得している。
25  NOVEMBER 2008 特 集 ビー・スタイルの 三原邦彦社長 図3 ビー・スタイルの軽作業派遣サービス部門の売上推移 18,000 16,000 14,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000, 2月3月4月5月6月7月8月9月 (単位:千円)

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