ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2008年7号
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「卸売が先進企業になる法」宮下正房流通経済研究所理事長が監修

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JULY 2008  74  本書は従来型の卸売業に代わる、卸 売業の近未来のあり方、担うべき新 機能を提言し、日本型の新たな流通 ビジネスモデルを描いている。
 流通経済研究所理事長、東京経 済大学名誉教授の宮下正房氏が監修。
二〇〇五年に解散したライオンのSC Mシステム子会社、シーコムスの代表 取締役を務め、〇六年に新生シーコム スを設立した関口壽一氏、同社取締 役営業部長の三上慎太郎氏、産業能 率大学経営学部講師、流通経済研究 所客員研究員などを務める寺嶋正尚 氏が執筆を担当した。
 現在は流通業受難の時代と言われ る。
少子高齢化に伴うマーケットの縮 小が始まっている。
一方では世界的な 資源高により、商品の値上げ圧力が 強まっている。
ところが、我が国の経 済実態はデフレから脱しきれていない。
「卸売が先進企業になる法」 宮下正房流通経済研究所理事長が監修  卸売業は値上げを求めるメーカーと それを拒否する小売業との板挟みだ。
しかも近年、メーカーと小売業の直接 取引も実現してきている。
卸中抜き 論や卸無用論が現実化しつつある。
 関口氏はそう指摘しながらも、卸 売業を社会的に極めて重要な存在と 位置付ける。
中間流通は今後も卸売 業が担うべきだが、発揮すべき機能 は今までとは異なる、というのが本 書の出発点だ。
 卸売業のあり方として、商品販売 に依存したサービスではなく、機能そ のものが評価される新たなビジネスモ デルを提言する。
 卸売業の固有の機能をメーカーや小 売業の評価に耐え得るまでに強化し先 鋭化できれば、卸売業も魅力ある産 業へと変身できる可能性が高いとし、 商品営業を脱して機能営業に転じるこ とで、卸売業は先進企業に変身でき るチャンスを獲得できるとする。
そし て、IT環境を活用した高機能・高 効率な新流通システムを論証する。
 卸売業界の状況から実態、卸が担 う新流通機能を解説し、機能強化で 成功した企業を先進事例を紹介して いる。
最初から読んでも、興味のあ る章から読んでもよい構成。
卸売業 だけでなく、メーカーや小売業関係 者、流通を学ぼうとする諸氏にとっ ても有意義な一冊だ。
「流通の新たな機能を担え!卸売が先進企 業になる法」監修・宮下正房、著者・関 口壽一、三上慎太郎、寺嶋正尚、発行所・ 日刊工業新聞社、発行・二〇〇八年五月 三〇日、定価二四〇〇円(税別)

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