ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2006年3号
SOLE
SOLE日本支部フォーラムの報告

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2006 94 生産計画立案が早過ぎる、生産リードタイムが長過ぎる、輸送期間 が長い――などである。
「部品調達リードタイムの改善」は、従来の3カ 月前の注文書発行を、部品別/調達リードタイム別注文書発行方式と し2カ月間の需要変動を吸収できるようにした。
の資材調達システムは需要予測情報を部品メーカーと共有し、3段 階発注方式とした。
すなわち第1段階ではフォーキャスト(需要予測デ ータ)として部品所要量計画を提供(月次または週次情報)する。
第2 段階では予約発注として納期から必要な調達リードタイムを遡った時点 で予約注文(週次ローリング)[引取責任発生]を行う。
第3段階では翌 週に納期に達する部品を、当該週の月曜日に納期指定をする。
仕組みとしてはEDIでの部品調達情報を共有化する。
ジャストインタ イム(JIT)で納入される部品をバーコード検収でスピード化し、納入 即出庫システムにより生産拠点への迅速な出庫を可能するなどしてリー ドタイムを改善した。
部品在庫・リードタイム「0」化には、?VMI (Vendor Management Inventory)、?JIT、?長納期部品についても 前半工程共通化・後半工程カスタム化を推進し変動耐力を生み出す。
の生産計画決定リードタイム短縮は、?1週間前生産決定システム (販売部門所要量に基づく生産日程決定→部品発注→部品検収・支給の プロセスを週次で回す)の導入、?基準在庫による生産自動決定の活用、 ?実売情報収集システムにて情報を共有化することにより計画のリアル タイム化などを推進している。
の生産リードタイム短縮は、?日本生産による一貫生産モデル(デ バイス・モジュール生産→商品組立)、?消費地拠点組立モデル(デバイ ス・モジュール生産[日本・中国]→商品組立[米国・欧州などの消費 地])、?生産ライン切替時間短縮についてはライン切替自動化、混流生 産、屋台生産方式などの施策をとっている。
5.SCMの効果と今後の課題 SCMの効果としては、部品在庫の大幅な削減、国内商品の在庫削減 約500億円(6年で40%減)、キャッシュフロー年1500〜2200億円の確保 といった効果があった。
今後の課題としては、?システムの改善(多品 種少量生産対応、部材のVMI、JIT化の徹底、リアルタイム実売情報の 収録向上など)、?人間系の改善(push mindからpull mind への徹底)、 ?日次運用(すべてのプロセスでのリアルタイムで正確な入力の徹底)、 ?欠品原因の統計・分析の強化などがある。
6.携帯情報通信端末の開発と将来展望 シャープの携帯情報端末の発展・進化の源は、1973年世界初の液晶表 示電卓で開発した「液晶」である。
86年3インチカラー液晶TV、93年ザ ウルス、99年電子辞書、00年カメラ付携帯電話、05年通信融合型PDA の実現へと至っている。
シャープの携帯電話は高精細液晶、カラー化、 初のカメラ内蔵化など新しいトレンドを創出。
液晶・カメラ・ソフトの 進化から、いつもポケットにある「電子の眼」などへ発展している。
ユビキタス時代への将来展望として、携帯電話統合(ポケットに入っ ているものを携帯電話に)、PDA統合(ポケットに入らなかったものポ ケットに入れる)、外部インフラ統合(外部サービスをネットワーク経由 で活用)の3方向への発展が見込める。
経営の原則としては、(1)ユーザ ー指向、(2)現場主義、(3)オンリーワン経営(通信システム事業本部で は「半歩先作戦」)に基づく開発・運営などが重要である。
新しいフォーラムシリーズ第5回目は、2006年3月24日に「グローバル SCM構築とその秘訣―SCMの構築に終わりがあるか―」と題して、レ クソルの宮口孝治代表取締役にお話いただく。
このフォーラムは年間計画に基づいて運営しているが、単月のみの参 加も可能。
1回の参加費は6,000円。
ご希望の方は事務局までお問い合わ せください。
(SOLE Japan 事務局:sole-j-office@cpost.plala.or.jp) SOLE報告 The International Society of Logistics 次回フォーラムのお知らせ SOLE日本支部フォーラムの報告 SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティクス 技術やロジスティクス・マネジメントに関する活発な意見交換、議論 を行い、会員相互の啓発に努めている。
今回は、シリーズ第3回として開催した、シャープ顧問の坂井陽一 氏(前常務取締役IT戦略企画室長[CIO])による講演「シャープ事 業戦略とSCM」・「携帯情報通信端末の開発と将来展望」を紹介する。
1.シャープの経営理念・概要 「エレクトロニクス技術を通じて“21世紀生活”を創造する“オンリ ーワン企業”」として世界25カ国56社、全社員数55,100人のグローバル 企業として活動している。
2004年度の売上高は2兆7000億円(実績) で、2006年度には3兆円を目指している。
製品別の売上構成はAV製 品38%、電化製品8%、情報機器16%、デバイス関係21%ほか。
国内 売上比が53%、海外が47%となっている。
2.事業環境の変化と事業戦略 事業環境は、?企業間競争の激化、?コスト圧力(価格下落率>原 価・経費下落率)、?商品ライフサイクル短縮化と激変しつつあり、変 化に追従できる企業のみが生き残ることができる。
シャープの経営戦 略は、2007年度連結売上目標3.3兆円をめざし、?スパイラル作戦(特 徴のあるデバイスで特徴のある商品)、?選択と集中(液晶テレビに 集中していくことを98年に発表)、?多品種工場化(変動耐力増加)、 ?一貫生産によるスピード経営、?環境負荷ゼロ企業(製品稼動によ るCO2削減−生産時CO2排出=ゼロ)などである。
3.サプライチェーン・マネジメント(SCM)導入の目標と経緯 グローバルマニファクチャリング企業には、?新しい取引形態(On Time Deliveryなど)、?グローバル連結経営と情報ディスクロジャー、 ?キャッシュフローの重視の経営、などが求められている。
このため 情報システムを装備してEDI、CPFR、VMI、JITをサポートしていな い企業は取引できなくなってきている。
そこでシャープは、IT戦略として、?経営情報可視化、?SCMの 導入、?システム統合、?オープン化、?アウトソーシングを定めた。
SCMへの期待効果は、サプライチェーンをIT化することにより?製品、 部品在庫の削減、?生産リードタイムの削減、?業務改革による間接 人員の削減、?物流コストの削減、?販売機会ロスの削減、?精度の 高い納期回答、?取引先への対応(Webによる受発注)、?調達コス ト削減(EDI、グローバル調達)、を達成する。
SCMの目的は、?.グローバルPSI(販売・生産・在庫)のシームレ ス化、?.プル型商品供給、?.週次生産手配を主とし、意思決定を伴 わない情報連携はシステムで業務を自動化することで間接業務の生産 性向上・リードタイム短縮を狙っている。
SCMシステムの構成は「計画系」と「実行系」から成る。
「計画系」 の機能は、戦略取引先とのCPFR(需要予測・供給計画)、APOによ る需要予測、販売管理、連結PSI管理・所要手配・納期管理、消費 地/仲介生産拠点での生産・倉入日程計画など。
「実行系」はERPシ ステム(SAP)を導入している。
SCM導入の経緯は、1994年海外生産拠点に第1号のERPを導入、98 年生産リードタイム短縮プロジェクト発足、2000年国内SCM本格稼動 開始(週次計画)、03年グローバル商品事業SCMへの展開、04年デバ イス事業SCM導入開始、05年グローバルPSIの展開となっている。
ERP システムの導入はアジア・大洋州32拠点、米州77拠点、欧州13拠点、 計52拠点で、売上比率93.6%となっている。
4.SCMの課題と対策(高速回転経営に向けて) 現状のサプライチェーンの課題は、調達リードタイムが長い、

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