ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2004年1号
特集
物流企業番付 平成16年版 今後3年間で159億円を投資する

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

第1部勝ち組物流子会社のビジョン JANUARY 2004 16 今後3年間で159億円を投資する 2003年度は運賃タリフの見直しで親会社に38億円を還元した。
それでもリストラ効果で年初計画値よりも利益を上乗せできた。
新 中期経営計画がスタートする2004年からは外販の強化に重点を置 く。
3年間で物流拠点を4カ所新設する計画だという。
(聞き手・刈屋大輔) キリン物流 篠岡方長社長 三八億円を親会社に還元 ――昨年のランキングは一位。
そして今年は二位とい う結果でした。
依然として業績は堅調なようですね。
「確かロジビズさんの調査は二〇〇二年度(一〜十 二月)までのデータを対象にしていますよね。
当社の 業績はそこまでは良かった。
二〇〇二年度は売上高が 約七八〇億円で、営業利益が約四六億円。
増収増益 でした。
しかし二〇〇三年度は減収減益になりそう。
上位にランキングされるのは今回が最後になるでしょ うね(笑)」 ――二〇〇三年度の業績は。
「最終的な決算がまとまるのはもう少し先になりま すが、売上高は七七四億円で落ち着きそうです。
もと もと二〇〇三年度は減収を予想していたのですが、年 初の計画値よりもさらに二・六%下回るという厳しい 結果となってしまいました。
清涼飲料関係の荷動きは 比較的堅調でしたが、冷夏などでビールを中心とした 酒類の荷動きが低迷したことが大きく影響しました。
営業利益は二〇〇二年度よりも一七億円少ない二九 億円。
経常利益は二〇億円。
当期利益は一〇億円と なりそうです」 ――大幅な減益ですね。
「前回のインタビュー(二〇〇三年二月号)でも説 明しましたが、当社は二〇〇三年四月、親会社のキ リンビールに対する運賃タリフの一〇%値下げを実施 しました。
約三八億円のコスト還元です。
これは親会 社から強制されたことではなく、自主的に行ったもの です。
今回、大幅な減益となったのはそのためです。
それでも営業利益は年初計画値よりも七・四%、経 常利益は十一・一%上乗せできているんですよ。
賃金 水準の見直しなどリストラの成果です」 ――計画から上乗せした分も戻してくれ、と親会社に 要求されませんか? 「三八億円の還元という約束を果たしたわけですか ら、自分たちの努力で残せた分は当然自分たちのもの ですよ。
親会社にはこう説明しています。
当社が物流 業界の平均利益率を上回ったら再び還元します、と」 「売上高営業利益率の業界平均は三・五%くらいだと 言われています。
二〇〇三年度、当社の売上高営業 利益率は三・七%でした。
少なくも今後三年間は同 程度の水準で推移する見通しです。
親会社に対して 今回のような大きな還元はしばらくできないでしょう ね。
このルールは親会社とも合意済みです」 ――二〇〇四年一月には新三カ年経営計画がスター トします。
「新しい中計のテーマは『体力を内に蓄える三カ年』 です。
親会社へのコスト面での貢献は今回で一山越え た。
これからは物流会社として自立するための体力を 身につけていかなければなりません。
具体的には外販 獲得のための物流ノウハウを蓄積していくことに重点 を置いていきます」 「当社は二〇一〇年に売上高一〇〇〇億円、外販比 率五〇%を達成するという目標を掲げています。
とく に二〇〇六年までの三カ年は外販強化の三カ年と位 置付けています。
二〇〇三年の外販比率は二七%で した。
これをまず二〇〇六年までに三五%に引き上げ るつもりです。
売り上げベースでは年に一七%ずつ外 販収入を増やしていく計算になります。
かなりしんど い数字なはずですが、営業部門は達成できると自信を 持っている。
私も不可能ではないと見ていますよ」 ――先日、福岡の物流センターを見学させてもらいま した。
そのセンターはペットフード卸の物流センター として機能していましたが、現場では入出荷のオペレ Interview 17 JANUARY 2004 特 集 ーションにかなり苦労しているようでした(一八頁ケ ーススタディ参照)。
「これまで当社が得意としてきたのは少品種の商品 を大量一括で処理する典型的なメーカー物流でした。
いま福岡センターでは請け負っているのは当社が経験 したことのないような細かなピッキング作業などを必 要とする業務です。
確かに苦労していますが、経営的 に比較的余裕のあるうちに、こうした経験を積んでお くことが大切だと思っています。
いずれそこで得たノ ウハウが外販で活きてくるはずですから。
いまは色々 なタイプの物流を学ぶことを重視しています」 ――キリングループの仕事に比べ外販の仕事は利幅が 薄いはず。
外販を伸ばしていくと利益率の低下が懸念 されます。
「おっしゃる通りです。
外販の仕事はグループの仕 事よりも条件が厳しい。
しかしそれでも外販に力を入 れていかなければならない。
飲酒人口の減少などを背 景に今後キリングループからの出荷量は頭打ちになる ことが予想されます。
現在、グループ収入が約五五〇 億円ありますが、この金額もステイもしくは減少する のが確実です。
売り上げ一〇〇〇億円を達成するには 外販を伸ばしていくしかないんです」 ――外販では何でも引き受けるのですか? 「メーカー〜卸、卸〜小売り、そして小売り向け専 用センターの運営などあらゆる領域に目を向けていま す。
ただし、当面はターゲットを酒類、飲料、食品の 三分野、しかもドライとチルドに絞るつもりです」 ――具体的にはどのような物流サービスを提供してい くことになるのでしょうか? 「メーンは共同物流(共同配送)になります。
キリ ングループの商品をベースカーゴにして、そこに他社 の荷物を積み合わせて配送する。
それによって荷主さ んは従来よりも安いコストでオペレーションできるよ うになる。
キリンのベースカーゴを持っていることが 当社にとって外販での最大の武器になります」 「共同物流のほかにも、メーカーにとっての調達物 流の部分、工場内でのオペレーションを含めたメーカ ー〜卸間での一括物流、卸の物流センターや小売り 向け専用センターの運営なども外販の対象に含まれま す」 外販向けセンターを四カ所新設 ――キユーソー流通システムや味の素物流といった食 品系物流子会社と完全に事業領域が重なります。
今 後は両社がライバルになりそうですね。
「すでに両社とも親会社への依存度が低い。
自立し た物流子会社だと認識しています。
これに対して当社 は外販では後発組です。
ライバルというよりもいいお 手本です」 ――年に一七%ずつ外販の売り上げを伸ばしていくとなると、今後はそれに見合うだけの投資も必要になっ てきますね。
「二〇〇四年から三年間で一五九億円の設備投資を 予定しています。
内訳は物流センターの建設で九一億 円。
トラックやフォークリフトの購入で四〇億円。
情 報システムなどで二八億円となっています。
トラック は環境対策と通常の代替。
情報システムでの投資は 当社の物流管理システム『KL-PARTNERS 』のバー ジョンアップ費用が中心です」 「物流センターは北海道、東北、関東、関西に計四 カ所新設します。
ドライが三カ所、チルドが一カ所と いう内訳です。
拠点ではキリングループの商品を一部 扱いますが、メーンは外部荷主になります。
四カ所は 外販用拠点という位置づけです」 キリン物流の業績推移 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 25 20 15 10 5 0 99.12 2000.12 2001.12 2002.12 2003.12 (単位: 億円) 決算期 売上高 当期利益

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