ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2005年6号
メディア批評
武富士事件に見る大手マスコミの体 『朝日』は他社批判の前に自ら襟を正せ

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高信 経済評論家 53 JUNE 2005 やはり朝日新聞社社長、箱島信一は辞任す べきだろう。
『週刊朝日』が編集協力費として 武富士から五〇〇〇万円を受け取り、そのま まになっていたというのに辞任もしないとい うのでは、朝日の記事は問題企業に「買われ ている」と言われても反論できない。
ここに山岡俊介著『銀バエ 実録武富士盗 聴事件』(創出版)がある。
朝日を含む大手マ スコミが武富士批判を載せない中で、山岡は 敢然と武富士と会長の武井保雄を糾弾しつづ けてきた。
その間、山岡は武富士と新宿警察署との 「爛 ただ れた関係」を知り、 「ヘタをしたらハメられ、デッチ上げ逮捕さ れるかも知れない」 と脅えたりもした。
黒いフィクサーの小早川茂に、 「山岡さん、武井があんたにヒットマンを放 つ準備をしているようや。
このままだと命が 危ないよ。
ワシが武井に詫び状書かせるから、 ここはいったん引いた方がいいんじゃない か?」 と、いかにもの忠告を受けたこともある。
その山岡は『週刊朝日』の一件を知って、 怒り心頭だろう。
明らかに朝日はこの時点で、 山岡を脅す武富士側に立っているからだ。
『サンデー毎日』を除いて、いわゆる大手マ スコミが一斉に武富士批判を書いたのは、山 岡らへの盗聴指示で武井が逮捕されてからだった。
『銀バエ』に、武富士の元課長が持ち込 んで来た?中川(一博)資料〞の中にある 「マスコミ接待リスト」が引いてある。
順不同 で並べるとーー 「朝日新聞」「読売新聞」「日経新聞」「産経 新聞」「東京新聞」『週刊文春』『週刊朝日』 『週刊ダイヤモンド』『週刊東洋経済』『金融ビ ジネス』『夕刊フジ』『日本工業新聞』『日刊工 業新聞』『フライデー』『週刊大衆』『テーミス』、 時事通信社(日銀、消費者金融担当)、それに 新潮社の幹部、編集長、記者。
山岡によれば「なかでも朝日新聞社と東洋 経済新報社の関係者からは、その意図、私が どういう人間か探りを入れる動きさえあった」 とか。
いわば簡単に買収された大手マスコミの実 態を、ある全国紙の社会部デスクが匿名で 『噂の真相』別冊『日本のタブー』(二〇〇四 年一月号)に書いた。
内部告発である。
「実は『プレイボーイ』発売前の(二〇〇三 年)四月ごろ、記者クラブ各社ではすでに (武富士による警察の)買収疑惑の事実をつか んでいた。
(中略)それでも、記者クラブが先 駆けてこのスキャンダルを報じることはなか った。
告白しよう。
報道前、警視庁上層部か ら『あの雑誌はどこまで書くの? お宅、ほ かに中川の持ち出した資料持ってない?』と 警視庁クラブのキャップたちに打診があり、 各社は必死に情報収集に走っていたのである。
記事にするためでなく、当局にご注進したい がためにーー。
これは明らかにジャーナリズムの『自殺』 行為だった。
私もそれを認めることはやぶさ かではない」 そして、中川が新宿署に武富士への一億円 恐喝未遂で逮捕されると、記者クラブ各社は、 中川を「社内資料を盗み出し武富士を脅す恐 喝魔」のように書き、国会での武富士と警察 の癒着追及の集中審議に水を差したという。
二〇〇五年五月四日付の「社説」で『朝日』 はJR西日本に対し、「安全を軽んじてないか」 と問うている。
しかし、私は『朝日』にこそ 言いたい。
「信義を軽んじてないか」と。
箱島の有力後継者と言われる某の、上司へ のゴマスリを眼の当たりにして私は吐き気を 催したことがある。
私が前にいるのも構わず、 某はひたすら同じ部出身の元社長にゴマをす っていた。
うまいカラオケを聞きたいという のである。
最低の人間しか『朝日』では出世 しなくなったのだろうか。
武富士事件に見る大手マスコミの体質 『朝日』は他社批判の前に自ら襟を正せ

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