ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年3号
特集
その後の物流ベンチャー 軽トラの定温物流――クールシャトル

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2002 34 ――自社で車両を持たずに、営業に特化するというビジネ スモデルにしたのは何故ですか。
資金力がなくて軽トラを買うことができなかったから、 というのがまず一点。
自分でも何台か軽トラを所有してい たのですが、それでも足りなくなるくらい仕事が集まった。
それともう一つは営業が好きで、それが天職だと思ってい るから。
現業なんてやらないで、上手に運賃をピンハネし て簡単に儲けようという意識はありませんでした。
――料金表を見るかぎり、クールシャトルの運賃は決して 安いものではありません。
いくらサービスの品質に自信が あるからといっても、この水準だと競合に仕事を取られる ケースだってあるでしょう? こういうご時世なので、荷物の取った取られたが頻繁に 起きているのは事実です。
当社が提示する料金の半額の 見積もりを出して荷物を取っていく業者もあります。
しか し、そんな企業は相手にしていません。
いつか潰れますよ。
料金表は適当に算盤を弾いてつくったものではない。
パ ートナーである一人親方たちの生活をきちんと保証できる 水準に設定してあります。
お客さんにはいつも「これが日 本で一番高い軽トラクール便の運賃です」といって料金 表を渡しています。
受け取るべき料金をきちんともらうか ら、いい仕事ができる。
適正価格を崩すつもりはありませ ん。
――そんなに強気な姿勢でも仕事を取ることができるもの なのですか。
コスト構造をきちんと説明すれば、お客さんだって理解 を示してくれます。
実際、ダンピングしなくても順調に取 引先は増えています。
確か、昨年五月にお会いしたときは 取引先の数が五〇〇社くらいでしたよね。
それが現在で は九〇〇社を超えています。
――業績は順調ですか。
二〇〇一年一二月期の売上高は六億円ちょっと。
前年 比で一二%伸びています。
利益のほうも前年比プラスで した。
まだまだこれから。
私のなかには大きな目標がある のですが、それには遠く及ばない。
――手っ取り早く業績を伸ばす方法の一つとして軽トラの 車両販売がありますよ。
この商売を始めて二年目くらいの頃、ある人に「車両 販売を始めたらどう?」ってアドバイスされたこともあり ました。
確かに手っ取り早く儲けるにはいいのかもしれな い。
広告バンバン打って、毎日たくさんの人を面接して、 車両購入のローン組ませて‥‥。
でも、この商売を始め ると、イスに座ってできる仕事で楽だから、本業である営 業が疎かになってしまう。
だから手を出しませんでした。
面接官の仕事よりも営業であちこち飛び回っていたほうが 楽しいですし。
将来、車両販売を始めるとしても、ピンハ ネせずに正規の値段で売るようにします。
――仕事を与えてその代わりに手数料を取る、という代理 店方式に泣かされている一人親方たちも少なくない。
本当 に一人親方たちの生活を保証できているのですか。
当社の仕事を請け負う一人親方たちは月平均で六〇万 円の売り上げを確保しています。
多い人では一〇〇万円 を超える。
軽トラの業界ではダントツの水準じゃないです か? 定温だからこれだけ稼げるわけです。
六〇万円から 燃料代などの費用を引いても三五、六万円の手取りが残 る計算になります。
これだけあれば、十分生活していける はずです。
結局、給料が安いと、いい人材が集まらないからサービ スの品質も落ちてしまうんです。
品質が落ちれば、売り上 げも減る。
悪循環になるわけです。
それを防ぐためにも運 軽トラの定温物流―― クールシャトル 廣田隆二 社長 「ドライバーの月商は60万円 ウチの運賃は日本一高い」 クールシャトル 廣田隆二 社長 ビジネスモデル 軽トラの一人親方たちに仕事を与え、運賃 の二〇%を手数料として徴収する。
自社は営 業に特化しており、車両はほとんど持っていな い。
これまでチルド、冷凍商品の緊急輸送とい うニッチな市場を攻めてきたが、最近では定期 便の開拓にも力を注いでいる。
今年は宅配便 市場にも進出する。
沿 革 廣田隆二社長は一九六一年福岡生まれ。
ガ ス会社の営業マン、コンビニエンスストア店長 を経て九六年に会社を設立した。
軽トラ業で 食べることに困らないように高い運賃を獲得す るにはどうしたらよいかを考えた結果、思いつ いたのが定温品の緊急輸送だった。
もともと営業が得意で、サービス開始当初か 35 MARCH 2002 賃のダンピングはしないつもりです。
クール宅配便の元請けに――クールシャトルはこれまで定温品の緊急輸送というニ ッチな市場を攻めてきた。
事業拡大のためには、このほか にもいくつか収益の柱が必要だと以前からおっしゃってい ました。
実際、新規事業の育成は進んでいますか。
緊急輸送のようなスポットの仕事は不安定ですから、定 期便の仕事を増やす努力をしています。
例えば、最近始 めたのが食品工場〜学校間の給食食材の輸送。
チルド、冷 凍食品を対象にしたルート配送の仕事です。
まだまだスポ ット便の仕事がメーンですが、徐々にこうした定期便の仕 事も増えてきています。
そしてもう一つ、収益の柱として 考えているのが宅配便。
クール便の仕事です。
――大手宅配便業者の下請けとして末端の集配を担当す る、という仕事ですね。
ちょっと違います。
末端の集配部分の仕事プラス元請 けの仕事です。
――元請けですか? ええ。
クール便を利用するメーカー、卸、小売りから直 接仕事をもらって、大手宅配便業者をコントロールする という仕事です。
当社が第三者的な立場で物流を一元管 理するわけです。
すでに何件か具体的な話が進んでいます。
――軽トラ会社が大手宅配便業者をアンダーで使うなんて あまり聞いたことがありません。
当社は営業をする会社です。
モノを運ばせてください、 という営業もしますが、お客さんに対して、物流全体の仕 組みをこうしたらどうですか、という提案もします。
その 結果、「お前のところに全部任せるから、うまくオペレー ションしてくれ」って依頼されることもある。
お客さんに してみれば、複数の宅配会社を管理するよりも、当社一 社にすべて任せたほうが楽なんです。
――同時に、末端の集配部分も請け負うわけですか。
はい。
こちらは逆に大手宅配便会社の下請けとして機 能します。
実はある宅配便会社と業務提携する話が進ん でいます。
軽トラは昔からドライの宅配貨物の集配は担当 していましたが、クール便を手掛けているケースはほとん どない。
チャンスですよ。
現在、秘密兵器としてチルドと冷凍、ドライとチルドと いった組み合わせが可能な二層式の軽トラックを開発中 です。
また、これと並行して、軽トラの現在位置や運行状 況をリアルタイムに把握できる車両運行管理システムの導 入も進めています。
――元請けはともかく、アンダーのほうの仕事は儲からな いでしょう? ドライ宅配貨物の下請け配達料金は一個一〇〇〜一五 〇円くらいでしょう? この水準でクール貨物をやってく れ、と言われたら当然採算は取れないでしょうね。
軽トラ 一台一日当たりに配達できるのは一〇〇個程度。
一個に つき二〇〇円ちょっとの配達料がもらえれば、何とかペイ できるんじゃないか、と見ています。
――一日に一〇〇個も配達できないでしょう?クール便は ドライ貨物と違ってもともと個数が少ないから一台当たり の配達担当エリアが拡がり、生産性が落ちる。
だから二層式の軽トラを開発しているんじゃないですか。
ドライとクールが混載できれば生産性は維持できる。
しか も二層式車両であれば、クールボックスを使って配達して いるヤマトよりも温度管理レベルは高いはずです。
――クール便の下請け業務は全国規模での話ですか。
スタート当初はある特定地域での取り組みとなりますが、 いずれは全国展開できればと考えています。
しかし現在、 車両台数は一〇〇台ちょっと。
全然足りません。
――スポット便や定期便の合間に宅配の仕事をやるのです か。
それは無理です。
宅配向けには別部隊を組織すること を検討しています。
――今後は宅配を軸にした事業構造になるのですか。
宅配便事業の成否が今後を占うことになるのは事実で す。
しかし、あくまでもスポット、定期、宅配の三つでバ ランスをとることを理想としています。
ら仕事はどんどん集まった。
だが、肝心の軽ト ラが不足するという問題に直面する。
自社で車 両を購入する余裕はない。
そこで、採り入れた のが一人親方たちを組織化する委託運送店方 式だった。
現在の登録車両台数は約一〇〇台。
関東一 都六県にネットワークを構築している。
年商は 約六億円。
特集その後の物流ベンチャー ●クールシャトルが開発中の2層式車両 実験導入中の車両運行管理 システム

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