ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2004年9号
SOLE
SOLE報告

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

67 SEPTEMBER 2004 式、揚水式の水力発電を行っている。
それらの組合せ調整はコンピ ュータによって行われているが、変化の大きい部分については運転 員が補完的な指令を行っている。
5、北米北東部の広域停電 昨年8月14日の夕方、北米北東部(大湖周辺州およびニューヨーク 州)で広域停電が発生し、交通機関(鉄道、空港)、水道、携帯電話、 工場操業などに大きな影響をあたえ、影響を受けた人員は5000万人 に及んだ。
停電が完全に復旧するには40時間以上を要し、被害額は 40億ドル〜60億ドルとなった。
直接的な原因としては、樹木管理の不備、電力会社の事故対応能 力の欠如、信頼度コーディネータ側の不備が挙げられている。
直接 的な要因については、日本では起こりにくいと考えている。
また、 広域停電に進展していくプロセスで明らかになってきた、送電線の 連鎖的遮断や系統動揺についても、日本の電力会社では、米国に比 べ、これら現象の抑制により配慮した設備形成や運用を行ってきて おり、発生の可能性は低いと考えている。
6、新エネルギー、分散型電源の普及 地球温暖化問題などから、太陽光や風力発電などの新エネルギー や燃料電池などの分散型電源が関心を集めている。
電力会社の発電 を代替するほどの量は期待できないが、クリーンなエネルギーであ ることから電力会社でもその普及促進のため、余剰電力の購入やグ リーン電力基金などを実施している。
分散型電源の一つである燃料電池は、発電時に発生する熱がうま く利用できれば、エネルギー利用効率やCO2 排出量の面などから優 れた電源となる場合もあるが、経済性や利用上の課題もまだ多いと 考えられる。
7、電力自由化 電力小売自由化は、国内外における規制緩和の流れのなかで、電 気事業についても競争原理を導入することにより、一層の効率化を 図ることを目的に開始された。
自由化の範囲は順次拡大している。
現在、一般電気事業者である東京電力は、発電設備を持ち、発電 し、かつ送電網ネットワークを持って需要家に配電サービスを行っ ている。
だが自由化後は、電力小売事業を行う特定規模電気事業者 が新規参入し、一般電気事業者の有する送電網ネットワークを利用 して電力の小売を始めている。
まだその比率は小さいが、新規参入者による供給は着実に増加し ている。
このような中で、今後も安定供給を維持していくためには、 設備形成(長期)・系統運用(短期)の両面にわたり、発電・流通 部門の緊密な連携が必要と考えている。
8月は米国で国際ロジスティクスシンポジウム「SOLE2004」が開 催されるため、S O L E 東京支部のフォーラムは休み。
この 「SOLE2004」の模様は9月のフォーラムで報告することを予定して いる。
このフォーラムは基本的に年間計画に基づいているが、単月のみ の参加も可能。
その場合、1回の費用は6,000円。
参加希望の方や S O L E 東京支部の活動内容に関するお問い合わせは SOLE_consult@jmac.co.jpまで。
SOLE報告 The International Society of Logistics 次回フォーラムのお知らせ SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティクス 技術、ロジスティクスマネジメントに関する活発な意見交換、議論 を行い、会員相互の啓発に努めている。
前回のフォーラムは7月23日に開催され、東京電力の花村信氏 (防災グループマネジャー)による「電力のロジスティクス」と題し た講演を聴いた。
以下、講演の概要を紹介する。
*       *       * 1、はじめに 東京電力は関東1都8県を対象に電力を供給しており、その需要規 模は過去最大電力6430万kw、販売電力量281.9億kwhで、ちょうど全 国の3分の1に相当する。
今日は電力システムの持つ特性と、それにまつわる課題、停電の リスクと防災対策、需給バランス、昨年発生した北米の広域停電、 新エネルギー、電力の自由化などについてお話しする。
2、電気の商品特性と日本固有の事情 電気には次のような特性がある。
貯蔵が利かず、瞬時瞬時の需要 と供給のバランスをとる必要がある。
発電設備・送電設備とも建設 に時間がかかり、足りないからといってすぐに供給力を追加できな い(供給の弾力性が低い)。
生活・経済活動の必需品であるが代替性 に乏しい(需要の弾力性が低い)。
日本はエネルギー資源の大半を輸 入に頼っており、エネルギーセキュリティ確保の観点から多様な電 源が必要である。
季節、平日と休日、昼間と夜間の需要変動が大き く、これに対応するためには多様な電源をうまく組み合わせて発電 する必要がある――などである。
こういった特性により、電力システムを構成する設備、電源に関 わる部分(発電)と流通に関わる部分(送配電ネットワーク)、電力 消費部分には、それぞれ、さまざまな設備形成や運用上の課題とリ スクがある。
3、電力会社のリスクと防災対策 停電発生のリスクとしては、地震や雷、台風などの自然災害、設 備の経年劣化などの内部要因、クレーンが送電線に接触するなどの 外的要因等により、電力設備が損傷し、停電が発生することなどが あげられる。
このうち広範囲・長時間停電となり社会・経済システムに重大な 機能障害をもたらすような場合、電力設備の損傷等により人身災害 発生や周囲環境に多大な影響を及ぼす場合などを非常災害と位置づ け、その発生防止と万が一発生した場合の災害規模の軽減、健全な 状態への早期復旧を防災対策の基本方針としている。
具体的には、被災しない設備の構築(耐災設計・補強、的確な保 守など)、被災時の影響軽減(設備構成の多重化、バックアップ機能 など)、早期復旧(応急復旧用資機材の確保、復旧活動円滑化のため の諸準備など)である。
4、需給バランス・需給調整 多様な電源を経済性・負荷追従性(出力変化のし易さ)・点検時 期などの観点から組み合わせ、瞬時瞬時の需給バランスが取れるよ う運転している。
すなわち、ベース供給力として原子力、一般水力 (流込式)、石炭火力、ミドル供給力としてLNG、LPGその他のガス による火力発電、ピーク供給力として石油火力、調整池式、貯水池 SOLE東京支部フォーラムの報告

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