ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2004年6号
ARC
RFIDはWMS市場を救済するか

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JUNE 2004 80 二〇〇三年は世界の倉庫管理システム(W MS)市場にとって苦しい年だった。
売り上 げが対前年比(二〇〇三年の二〇〇二年対比) で縮小し、売り上げ合計も二・七パーセント 低下した。
ARCアドバイザリーグループの SCMサービスディレクターであるSteve Banker によれば、「ソフトウェアの売り上げ は将来の成長予測の鍵となるのだが、それが 六・九%縮小したことが特に心配だ。
他の分 野のソフトウェア市場で調査したところ、こ れは数年にわたる売り上げ縮小に対する先行 指標だった」 Banker はARCの「倉庫管理システム ( W M S ) の 世 界 市 場 調 査 レ ポ ー ト 」 ( Warehouse Management Systems Worldwide Outlook: Market Analysis and Forecast through 2008 )の共著者である。
Banker によれば現在、WMS専門家の多 くが自問している問題は、「RFID(無線 ICタグ)はWMS市場を救済できるか?」 である。
WMS市場救済の役割を果たすかど うか意見はさまざまだが、いまRFIDがホ ットであることは間違いない。
新技術として、受動型RFIDが出現した。
これは結局、ハンドフリーで遠隔操作タイプ のバーコードリーダーである。
大企業はサプ ライヤーに、従来通りのバーコードに加え、 ケースとパレット全てにRFIDタグを付け るよう要求している。
ウォルマート(Wal ― Mart )がこの動きの先陣を切った。
米国防 総 省 ( Do D ) や 、 米 国 の タ ー ゲ ッ ト ( Target )・アルバートソン(Albertsons )・ テスコ(Tesco )、ドイツのメトロ(Metro )、 などの企業がその後を追っており、近々RF IDに関する発表を行うだろう。
短期的にWMSサプライヤーは、納入業者 が巨大小売業者の課す条件に適合できるよう、 WMSの新しい追加モジュールをクライアン トに提供し、倉庫内のケースにRFIDタグ が配置されるようにする。
長期的には、RF ID機能は多くのWMSサプライヤーの基本 ソリューションの一部になるだろう。
製造企 業者の一部は直ちに適合する状況にはなく、 サプライヤーが基本パッケージにRFID機 能を持たせてから、WMSの更新をしてRF IDに適合することを選択するだろう。
ARCが予測する RFIDによる活性化モデル ARCでは、RFIDが市場をどのように 活性化するかについて、詳しいモデルを完成 した。
内容は次のようなものである。
●配送センターでは、WMSソリューション を利用してRFIDが利用可能になる。
●RFID用の追加モジュール、RFID使 用可能なWMS、およびRFID用アッ プグレードの平均価格はどうなるか。
ソフトウェアのメンテナンス料を支払っている 場合、アップグレードは一般的に「無料」 だが、WMSサプライヤーは他のサプライ ヤーからRFIDミドルウェアをOEM しており、無料である可能性は少ない。
●RFID WMSソリューションのタイプ 毎のソフトウェアの売り上げが、WMS市 場を押し上げる。
新技術により促進される売り上げ予測は、 歴史的な追跡記録がなければ極めて難しい。
その理由から、RFID離陸モデルの背景と なる主要な前提を詳しく記述してある。
(二〇〇四年四月) RFIDはWMS市場を救済するか 本コーナーでは米国の大手調査会社、AR Cアドバイザリーグループの市場調査報告書 について紹介している。
今回はWMSとER Pに関するレポートを取り上げる。
81 JUNE 2004 傾向は続いている。
ARCの「ERPソフト ウエアおよびサービスの世界市場調査」レポ ートの主著者で、ARCのアナリストでもあ る Steve Clouther によれば、「EUは世界で 最大の経済共同体であり、そしてその結びつ きは単一通貨ユーロによりいっそう強固にな っている。
EUは二〇〇四年にさらに拡大す るが、それは成長を続けるERP市場にとり、 きわめて重要な意味を持つ」という。
EU、巨大な経済力 二〇〇四年、新たに十カ国がEUのメンバ ーに加盟する。
この四〇〇億ユーロの市場拡 大により、ヨーロッパの境界はロシアや中東 にまで及ぶ。
その結果、東ヨーロッパ市場が 成立し、これらの国々の製造業者たちの多く がERPソリューションを必要とするように なるだろう。
EUは、アルゼンチン、ブラジル、パラグ アイ、およびウルグアイからなる経済共同体 であるメルコスル(Mercosur )との貿易協 定を実現している。
メルコスルは世界で四番 目に大きな経済統合体である。
二億人以上の 消費者と、合計一兆ドル以上のGDPを誇る。
「メルコスルは今世界で最も成長率の高い 市場のひとつであり、そしてEUとの貿易関 係は、両共同体にまちがいなくウイン ―ウイ ンの状況をもたらすだろう」 プロセス産業: 期待されるERP市場の発展 プロセス産業では、個々のプロセス環境に 特化したERPソリューションが不足してい るものの、ERPの採用は比較的好調である。
ソリューションがいっそう確かなものになり、 そしてベンダーが、主要なプロセス産業向け のバーティカルなソリューションを開発し支 援することによって、今後五年間は年率五パ ーセントを越える高い成長を実現するだろう。
特に成長の高い分野は食品・飲料と医薬産業 と思われる。
一般消費財や食品・飲料産業は、 グローバル市場を相手とするため、製品がど こで生産されるかにかかわらず、ブランドマ ネジメントの強化を目的とするERPソリュ ーションを採用するだろう。
サービス:ERPソリューションの要 ERP関連のサービス(コンサルティング、 導入、トレーニング、メンテナンス)の売り 上げは、二〇〇三年にERP売り上げ全体の 七〇パーセントを占め、ERP市場の成長を 牽引し続けるだろう。
サービス関連売り上げ のうち、大きな割合を占めているのがメンテ ナンス/サポートサービスであるが、より付 加価値を高めたソリューションが次の五年間 に始動するであろう。
プロセス産業における 成長のポテンシャルに関し、同産業に対する バーティカルなソリューションと早期導入の 鍵となるのが付加価値サービスである。
(二〇〇四年四月) 欧州連合(EU)は、以前は欧州共同体と して知られており、十一の公用語をもつ一五 カ国、三億七〇〇〇万の人々から構成されて いる。
EU各国は組織と政策を共有し、EM EA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)地域は ERPソリューション導入の先進地域となっ た。
最新のARCアドバイザリーグループの調 査レポートによれば、ERPの世界市場は二 〇〇三年で九一億ドルだが、今後五年間平均 年率(CAGR)五・七パーセントで成長し、 二〇〇八年には一二〇億ドルを超えると予測 される。
EUは第二次世界大戦後、ヨーロッパの 国々が結束するために作られたが、二〇〇二 年にはERPをリードする地域として経済的 に北米を追い越し、そして二〇〇三年もその ERP市場はEUの拡大で好転 2003 2004 2005 2006 2007 2008( 年) 14.00 12.00 10.00 8.00 6.00 4.00 2.00 0.00 ERPの世界市場(10億ドル) C 2004 ARC Advisory Group

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