ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年11号
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日本の流通業の実力を多様な角度から検証プラネット会長が新著で流通インフラの海外展開提言

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

81  NOVEMBER 2013  一九九〇年代後半から日本企業は、 徹底したコスト削減と事業の合理化を 進めてきた。
同時にこれまで企業間 の取引を仲介してきた日本特有の業態 である商社や卸の存在はコストアップ の要因の一つと見なされ、多様な分野 でその是非が問われている。
いわゆる 「商社・卸不要論」である。
 では、本当に商社や卸は不要なので あろうか?著者の玉生弘昌プラネット 会長はあらゆる角度・領域から検証を 行い、商社や卸が再びその存在と価値 を必要とされる時、すなわち「商社・ 卸有用論」を展開する。
 食品、医薬品、日用雑貨など各卸売 企業の取り組みをリポートして実例を 挙げるとともに、なぜ商社・卸が必要 であるかを数学的に解説・論証してい る。
「中学生程度の数学を用いた」と いう論証は、高度で専門的なデータ解 析よりもシンプルで分かりやすい。
 日本梱包運輸倉庫は一〇月一五日、 恒例の「事業所見学会」を開催した。
四 回目となる今回は、四輪完成車の保管 や輸送を手掛ける神奈川営業所の「藤 沢ラックビル」(二二〇〇台以上を収容 する六階建てモータープール)を中心 に紹介。
いすゞ自動車、ホンダ、ゼネ ラルモーターズ(GM)、ボルボ、ポル シェなど国内外のメーカーの業務を請 け負っている現状をアピールした。
 この催しは、投資家などに日梱の事 業内容を理解してもらうために、株式 アナリストやジャーナリストを現場に招 いて業務を説明するもの。
二〇一〇年 の第一回は二輪車の保管や輸送を手掛 ける「狭山営業所」(埼玉県)、第二 回はシステムバスの生産支援や物流管 理に従事する「佐倉営業所」(千葉県)、 そして昨年の第三回は自動車メーカー の調達物流などを手掛ける「群馬営業 所」を中心に実施した。
 日梱の荷主企業といえばホンダが有 名だ。
住宅関連 や農機具なども 幅広く手掛けて いることはあま り知られていな い。
自動車関連 でも、二輪・四 輪ともほぼ全て のメーカーを顧  そして、話は日本の優れた流通イ ンフラの実力とその活用へと進む。
著 者は日本の流通インフラの強さの源は、 日本人の民族的特性である「集団主 義」に帰結すると指摘する。
 著者による日本の流通の時代考証 によれば、流通業者(小売業、卸売 業、メーカー)は古くから「売り手よ し、買い手よし、世間よし」との理念 の下、本業を通じて社会に貢献すると いう考え方が根付いたという。
日本で はこれが現在の「企業の社会的責任」 (CSR)に受け継がれたと分析。
こ うした精神は先の東日本大震災で見ら れた国民全体による被災地支援「絆」 にもつながるとしている。
 震災による社会不安はあったもの の、総じて庶民生活は安定的に維持さ れてきた。
物品の供給など個々に程度 の差はあるにせよ、大方それらは担保 されている。
著者は商社や卸がその一 端を担ってきたと強調。
高度な日本の 流通インフラを、将来はアジアをはじ めとする世界に広げていくことを提言 する。
 日本人が今一度自らのビジネスマイ ンドや手法を振り返り、その優位性と 有効活用について検証することの必要 性を著者は説いている。
商社や卸の再 検証はその一つと言えるのではないだ ろうか。
          (鳥羽) 客に、調達物流から生産支援、完成車 輸送、中古車輸送に至るまであらゆる 領域で仕事をしている。
 今回、見学対象となった藤沢ラック ビルのある事業所は、以前は隣接する いすゞ自動車藤沢工場の一部門だった。
〇二年に同社が乗用車事業から撤退し た後、日梱が総額六〇億円余りで土地・ 建物を購入。
外資系自動車メーカーの 完成車を首都圏向けに供給する業務な どに活用するようになった。
 特筆すべきは、三年前から手掛ける GMジャパン向けの業務だ。
同社の輸入 車は全て大黒ふ頭(京浜港)に水揚げ される。
これを全量、日梱の神奈川営 業所に横持ちし、日本の保安基準に適 合させるための微調整や整備を施し、陸 運事務所の予備検査を通す。
ディーラー に引き渡す前の納車前整備や、ナビなど を取り付ける付帯業務もここで行った上 で、全国に届けている。
 神奈川営業所は完成車輸送に使うキ ャリアカーを五一台保有しており、中 には二トントラックを積める珍しいタイ プのセミトレーラーもある。
車両の資 産効率を高めるため、完成車をディー ラーに届ける帰り便で、下取りに出さ れた車を持ち帰るといった業務も積極 的に展開している。
こうした工夫を重 ねることで、完成車の保管・輸送事業 の競争力を高めている。
   (岡山) 日本の流通業の実力を多様な角度から検証 プラネット会長が新著で流通インフラの海外展開提言 日本梱包運輸倉庫が恒例の「事業所見学会」を実施 第四回は神奈川営業所で完成車輸送の現場を紹介 『これが世界に誇る日本の流通イン  フラの実力だ』 玉生弘昌 一六〇〇円(税別)国際商業出版 珍しい多層式のモータープール

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