ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2013年4号
特集
第1部 ブロック別・この春の運賃市況 《四国》高値安定の高知にも価格競争の波

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

APRIL 2013  32 《四国》高値安定の高知にも価格競争の波  工業地帯が集積する愛媛や香川の運賃動向は、相変わらず低位横 ばいの厳しい状況が続いている。
長距離輸送から撤退するという声 も複数聞かれた。
一方、太平洋側の高知は地理的に他県からの進出 が少なく、運送会社の数が限られている。
そのため、他の四国3県に 比べて運賃は高値で安定している。
しかし、そこに目を付けた水屋 や運送会社の流入が目立ち始め、運賃競争が激化。
高知の運賃相場 は急激に崩れつつある。
撤退した。
大型トラック四台のうち三台を減車し、 一部の採算の取れる仕事だけを残した。
反対に、 四トントラックを中心にルート配送の仕事を増や している。
それでも経営が厳しいことに変わり はない。
共同配送をすればかなりのコストダウン 効果を見込めるが、地方では荷主同士のライバル 意識が強くて理解を得ることができない。
(愛媛・食品物流) ●四国の中でも高知の運賃は高い。
増トン車の相場 は高知から東京までで一七万円ほどだが、これ は他の三県に比べて五万円ほど高い水準だ。
高 知は面積が広い上に運送会社も少ないのが要因だ ろう。
ただし、この数年は愛媛や香川から同業 他社が進出してきて競争が激しくなってきている。
さらに、本州での商売が頭打ちになった水屋が 高知にも来てマッチングビジネスを積極的に行っ ている。
彼らのせいで高知の運賃相場は急激に 崩れている。
昨年と比べて軽油価格はリッター当 たり一五円ほど上がっている。
荷主は値上げ要求 には聞く耳を持たない状況なので、経営状態は 徐々に悪化している。
  当社は長距離輸送の割合を減らしている。
以前 は全体の三〇%ほどは長距離輸送だったが、こ の数年で一〇〜一五%に減らしてきた。
自社便 を走らせるのは四国から中京圏以西までに限り、 中京圏以東への荷物は傭車に委託している。
(高知・青果物運送) ●バスやタクシーの運転手からトラックドライバーに 転職する人も散見されるが、ほとんどが早期退 職の対象になった五〇代。
若い人が入らない。
こ のまま行くと荷物の運び手は本当にいなくなって しまう。
一番のネックは免許の取得費用。
国が補 助金を出すなどの手を打って欲しい。
(高知・一般運送) ●景気がやや上向いたためか、鈍っていた荷動きが 最近戻り始めている。
当社の場合、四国から関 東、関西、九州方面に向けての長距離輸送の依 頼が、この二カ月ほどで急増している。
ただし、 運賃は低位横ばいが続いている。
荷主に交渉し ても取り合ってもらえない。
軽油価格が上昇し ているため、全体の収支は好転していない。
(香川・一般運送) ●愛媛から東京まで四トン車で九万〜一〇万円、大 型車で十三万〜一四万円、名古屋まで四トン車 で六万円、大型車で八万円、大阪まで四トン車 で四万〜五万円、大型車で六〜七・五万円とい うのがおおよその相場。
ただし新規参入が多く、 法外なダンピングが繰り返されている。
懸命にコ スト削減しても、それ以上の値引きを求められ る。
当社は不採算の仕事を全て断るようにして いる。
業容を縮小することになっても、?走って も走っても赤字? という事態は避けなければいけ ない。
新規荷主の開拓や既存荷主の受注拡大で カバーしていく。
     (愛媛・化学品物流) ●燃料代の高騰が頭痛の種。
三〜四カ月ほど前と比 べると、月に二〇万円ほどのコストアップになっ ている。
当社のような中小運送会社にとっては 大打撃だ。
運賃もここにきて下げ止まってきては いるが、現状維持がやっと。
荷主に対して値上 げ交渉などできる雰囲気ではない。
最近、物価 高騰を伝えるニュースで、「燃油価格が高騰して 物流費が上昇しているから、商品価格も上がっ ている」という言葉をよく聞くが、実際にもら える運賃が高くなっているという話など聞いたこ とがない。
        (徳島・一般運送) ●当社は昨年、特に収支の厳しい長距離運送から 市場の声 解 説 ブロック別・この春の運賃市況 特集 33  APRIL 2013 500 400 300 200 100 0 20 10 0 -10 -20 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 15 10 5 0 20 10 0 -10 -20 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 特別積合せ貨物の荷動き宅配貨物の荷動き (千トン) (%) (百万個) (%) 2011年度 取扱個数 2012年度 取扱個数 2011年度 前年同月比 2011年度 前年同月比 2012 年度 前年同月比 2012年度 前年同月比 2011年度 輸送トン数 2012 年度 輸送トン数 出所)国土交通省出所)国土交通省 2011 年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2012 年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 99.4 92.5 101.7 98.8 100.2 100.0 101.5 102.3 107.8 86.7 106.6 108.2 94.4 95.8 99.1 101.2 98.0 99.0 105.3 103.1 106.7 109.5 106.1 101.9 101.6 103.6 101.2 101.8 98.3 97.9 100.2 101.0 99.9 100.1 102.7 98.2 101.5 99.0 97.1 100.6 100.3 99.1 前月比 (%) 前年同月比 (%) 一般貨物の荷動き景況感一覧 宅配貨物 宅配以外 一般貨物 11 年 1〜3月 11 年 4〜6月 11 年 7〜9月 11 年 10〜12月 12 年 1〜3月 12 年 4〜6月 12 年 7〜9月 12 年 10〜12月 13 年 1〜3月(見通し) 特積貨物雇用関連総合計 出所)全日本トラック協会 出所)経済産業省 出所)国土交通省 判断指標 矢印 … -100 … -60 … -20 … +20 … +60 … +100 … 貨物車両数推移(両) 27,425 27,417 27,386 27,367 27,361 27,363 27,345 27,359 27,334 27,306 27,278 27,195 27,173 27,116 27,067 26,998 26,989 26,971 26,973 26,987 26,998 1,965 1,962 1,957 1,958 1,963 1,959 1,965 1,952 1,949 1,949 1,955 1,949 1,950 1,946 1,940 1,944 1,952 1,946 1,939 1,950 1,952 4,786 4,789 4,780 4,798 4,784 4,772 4,764 4,750 4,749 4,768 4,768 4,799 4,782 4,771 4,764 4,758 4,758 4,768 4,766 4,768 4,770 普通貨物小型 四輪貨物被けん引車 ※すべて営業用 出所)国土交通省 2012 年1〜3月 4〜6月 7〜9月 10〜12月 2013 年1〜3月見通し 17 15 14 19 5 33 38 27 37 44 50 47 59 44 51 63 60 59 57 57 △16 △23 △13 △18 △39 国内向け出荷量の実績と見通し 出所)日通総合研究所「日通総研短観」より抜粋 時期荷動き 指数回答社数 構成比(%) 増加横ばい減少 鉱工業生産指数推移(2005年=100) 106.0 104.0 102.0 100.0 98.0 96.0 94.0 92.0 12年 1 月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 13 年1月

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