ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年1号
特集
温度管理 名糖運輸 ──三℃〜七℃のチルドラインを死守する

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

33  JANUARY 2013 る。
仮に実温度が上 昇した場合はアラー ムが鳴る仕組みにな っている。
画面上 だけでなく、一日四 回スタッフが巡回し て現場の温度を確認する。
各階を一〇以上のエリア に区切り、細かく温度を管理している。
 庫内や商品の温度が最も上がりやすいのは、ド ッグシェルターにトラックを接車し、荷下ろしや積 込作業をする時だ。
特に夏場は扉を開けている時 間が少しでも長くなれば、すぐに温度が上昇して しまう。
スピーディーで正確な作業が求められる。
 シェルターとトラックの間にできる隙間も、温度 管理の天敵だ。
毛布やビニール類を詰めて温度の上 昇を防いでいる。
他にも、車両やドッグシェルター にエアカーテンやビニールカーテンを導入するなど、 細かな工夫を凝らしている。
 配送中の温度は、全てのトラックに導入してい るデジタルタコグラフの温度計を基に管理するのが 基本だ。
ただし、同センターの主要荷主は商品温 度の変遷が分かる?クールメモリー?を独自で導入 している。
 入荷の際にこれを読み込むと、製造拠点から日 高物流センターまで商品が何℃で運ばれてきたか が分かる。
その温度に異常が無ければ、商品を受 け入れる。
出荷の際にもこのクールメモリーを用い て納品先までの温度を把握している。
 土屋取締役は「求めるサービスレベルは荷主によ って様々だが、当社はチルド食品を扱う以上、品 質だけは疎かにできない。
今後もあらゆる改善を 模索していく」と意気込みを語る。
 (石鍋 圭)  名糖運輸では作業のミス率を?一万分の一?に抑 えることを目標に、日々のオペレーションを回して いる。
例え荷主との間にミス率に関する明確な契約 が結ばれていなくても、その達成を目指す。
この ミスの中には、誤出荷や商品の汚破損、遅配、欠 品などあらゆる要素が含まれる。
 もし荷主や納品先からクレームが発生すれば、直 ちに返品処理などの措置を講じる。
同時に、社内 で品質管理を担当する内部統制推進部が中心にな り、原因の分析と防止策を練る。
中でも「温度」 と「日付」に関する内容は?シリアスクレーム? として位置付け、最重要視している。
 名糖運輸が取り扱う物量の約九割は、牛乳やヨ ーグルトなどのチルド商品だ。
チルド帯の荷物の取 り扱いには、高いレベルの温度管理と日付管理が 必要となる。
荷主である食品メーカーやコンビニチ ェーンは、自身に厳しい基準を課すと同時に、物 流を担う名糖運輸にも同等のレベルを求めてくる。
 名糖運輸の土屋茂取締役営業本部営業企画部 長は「当社は質の高いチルドラインを武器に成長を 遂げてきた。
その信頼が崩れれば、ビジネスが根 底から揺らぐことになる。
温度や日付に関するク レームは?ゼロ?であることが大前提。
実際、こ の数年はほとんど発生していない」と説明する。
 日付に関しては、システム上での管理が進んで いる。
入荷の際に商品の賞味期限や出荷期限をマ スタに登録。
その上で、データ上の日付と実際の 商品の日付に差異が無いかを、毎日、人の目で確 認している。
この日付に基づき、先入れ先出しに よる出荷を徹底。
荷主から固く禁じられている日 付逆転の発生を防いでいる。
 一方の温度管理については、各現場で細かな施 策が実施されている。
名糖運輸が荷主に約束して いるチルド帯の温度は、通常、三℃〜七℃。
庫内 作業から配送に至るまで、一貫してこの温度内で 収める努力を継続している。
 同社の日高物流センターでは、某乳製品メーカー を主要荷主とするほか、複数の飲料メーカーのチ ルド商品を取り扱っている。
庫内の室温は常時五・ 五℃程度に設定。
倉庫に併設された事務所では、こ の設定温度と実温度をパソコンの画面上で確認でき ──三℃〜七℃のチルドラインを死守する 名糖運輸 庫内の温度は厳しくチェック トラックとドッグシェルターの隙間に は毛布を詰めて対応温 度 管 理 土屋茂取締役営業本部 営業企画部長 特集

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