ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2012年8号
メディア批評
海外メディアも呆れる政府方針そのままの報道「原発のウソ」を訴える小出裕章のマスコミ批判

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高 信 経済評論家 AUGUST 2012  68  『創』の八月号で、「原発のウソ」を暴きつ づけてきた小出裕章がマスメディアを批判し ている。
 まず、「大飯も含めて原子力発電所を一切 動かさなくても電気は足りる」ことは政府の 公表データが示しているのに、マスコミはま ったく無批判に「原発が動かないと停電する ぞ」「停電したら困るだろう」と宣伝を流し つづけた。
 その結果、電気が足りないなら再稼働も やむを得ないとなってしまう。
マスコミに乗 って登場した大阪市長の橋下徹がその典型で、 「電気が足りない」と言われたら、再稼働反 対をあっさりひっくり返した。
 小出は、もともと、橋下の「脱原発」発 言をパフォーマンスと見て信用していなかっ たという。
 「私は、橋下氏の基本的な姿勢が大嫌いな んです。
強ければいいという発想で、選挙で 勝ったから、言うことを聞かなければクビに するし、出世もさせないと平然と言う。
私の 生きるスタンスと全く正反対です」  小出の姿勢は明確である。
そうでなければ 反対派に対する徹底的な排除の中を生き抜い てはこられなかった。
 「これまでマスコミは国や原子力産業とグ ルになって原子力推進の旗をずっと振ってき ました。
私は昔からそういう報道を信じてい ませんでした。
マスコミは本当にでたらめだ とずっと思ってきたし、今もそう思っています」  さらに司法も加わって、原発訴訟では、ほ とんど住民側が敗訴している。
 「日本は三権分立と言われていますが、そ んなものはありません。
反対する人はとにか く無視するという状況が続いてきました。
私 は自分の発言を続けてきたつもりですが、ほ とんどのマスコミは取り上げてくれませんで した」  唯一の例外が毎日放送( M B S ) が 二〇〇八年一〇月一九日に放送した「京大 原子炉実験所・?異端?の研究者たち」とい う番組で、小出たちを取り上げたこの番組が オンエアされると、翌日、関西電力の幹部が 毎日放送に「とんでもないことをする」と 言って殴り込み、当時流していたスポット広告、 一九〇〇万円を解除したという。
それどこ ろか、関電は講師を派遣して毎日放送の社員 に原子力教育をした。
オウム真理教ならぬ原 発真理教の?洗脳?である。
 「原発推進派の言ってきたことは基本的に もう崩壊したんです。
それでも日本は原子力 を諦めない。
原発の再稼働を裏で支えている のは学者で、マスコミは国の方針を流し続け ることによって支えている。
これからも同じ ように、国、官僚、経済界、学会、マスコミ、 裁判所、労働組合の七者が一体となって、原 子力を進めようと動くのだろうと思います」  労働組合も入っての七者である。
さらに小 出はこう告発する。
 「どんな悪事を働いても、これまで原子力 で処罰された人は誰一人いない。
国が悪かっ たというなら、国の連中を刑務所に入れたら いい。
東電の会長、社長はもちろん、福島 の安全審査をしてお墨付きを与えた学者も刑 務所に入れるべきです」  そもそも、特に原発に関して中立という立 場はありえないのである。
朝日新聞はそれを 装ってきたが、小出から見れば「朝日はいま だに原子力推進だし、あたかも社会の常識を 体現しているというポーズを続けているだけ」 である。
 小出のもとに海外のマスメディアがたくさ ん取材に来た。
 「外国の記者は、日本の報道に関して一様 に呆れています。
なぜ日本のマスコミは政府 の言っていることだけを流すのかと」  戦争中の大本営発表から体質は変わって いないのかもしれない。
しかし、それでは ?官報?である。
海外メディアも呆れる政府方針そのままの報道 「原発のウソ」を訴える小出裕章のマスコミ批判

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