ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2010年4号
メディア批評
定見のない人間をジャーナリストと呼べるか相手次第で主張がコロコロ変わる田原総一朗

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高 信 経済評論家 APRIL 2010  74  『創』の四、五月合併号に、「『サンプロ』打ち 切りは僕にとっても大変なことだ」という田原 総一朗のインタビューが載っている。
 テレビ朝日が日曜日に放送していた「サンデ ープロジェクト」が打ち切りになることについて、 司会の田原が「視聴率も落ちていないのに何 故?」と不満をぶちまけているのだが、その中に、 突然、私の名前が出てきて驚いた。
まず、その 部分を引く。
 「昔、僕はアナキストだった。
共産党が嫌い だったから、左翼といってもアナーキー。
それ がバブル崩壊の頃から、対案を考えなくてはい けないと思うようになった。
たぶん佐高信さん は、僕のアナーキーなところをよしとしていた から、対案を考えるようになってから『変わっ た』と思ったんだと思います。
 でも僕は基本的な事柄、例えば憲法に対する 考え方は変わっていません。
今も、憲法は変え る必要はないし、変えるべきじゃないと思って います」  私が時評集のタイトルに『田原総一朗よ驕る なかれ』とか『田原総一朗への退場勧告』(共 に毎日新聞社)とつけて田原を批判しているか ら、気にしていたのだろう。
 しかし、田原は憲法については別のところで、 こう明言しているのである。
拙著『田原総一 朗よ驕るなかれ』から、私の批判を引く。
 〈田原は二〇〇五年の春に出した石原慎太郎 との共著『日本の力』(文藝春秋)で、自分が 改憲支持に変わったのは一九九六年に台湾で行 われた総統選挙の時だと言っている。
台湾独立 をめざす李登輝が選出されるに際して、中国は 台湾海峡にミサイルを撃ち込んだりした。
そう した緊張のたかまりに一国平和主義の限界を感 じたというのだが、それよりも、信頼してい た京大教授の高坂正堯が「日本は湾岸戦争へ 自衛隊を参加させるべきだ」と言ったことに影 響されたらしい〉  無意識なのかどうか、田原は相手によって発 言を変える。
つまり、石原慎太郎を前にして は改憲支持を明言したのに、前掲のインタビュ ーでは「今も、憲法は変える必要はないし、変 えるべきじゃない」などと正反対のことを言う のである。
それに続く次の発言を読んだら、た とえば石原慎太郎は怒り出すか、呆れるのでは ないか。
 「なぜなら、憲法があることで日本がマイナ スになったことは一回もないから。
今まで憲法 を変えなくて損をしたことはない。
だから変え なくてもいいと思います。
ただ僕は今の憲法が 完璧なものとは思っていません。
そのあたりが 佐高さんには信用できないのかもしれない」  私も「今の憲法が完璧なものとは思って」い ない。
しかし、変える必要はないという点で田 原とは一致するのだが、私は石原の前では別の ことを言ったり、あるいは、明確な改憲論者 の安倍晋三を首相に推したりはしないのである。
そこが決定的に違うし、私は主張がクルクル変 わる田原のような人間をジャーナリストとは呼 ばない。
 田原は『世界』の二〇〇〇年一月号掲載の 私との対談では、こう言っている。
 「僕はガイドラインの見直しは明らかに憲法違 反だと思います。
ついに憲法も破られた。
ボロ ボロになった憲法を改定したほうがいいのでは ないかという意見と、ボロボロでもいいからい まの憲法を守るという意見に分かれると思いま すが、僕はボロボロでもいいから守るべきだと いう意見です」  明らかに矛盾する発言をする田原に対して、 私は次のように決めつけざるをえなかった。
 「結局、田原は相手によって主張を変えるカ メレオンなのである。
安倍晋三に会えば、安倍 に合わせて口当たりのいいことを言い、姜尚中 に会えば、姜が喜ぶことを言う。
最後は安倍と 同じ改憲なのだが、実体は小心な首振り人形で ある」  こんな田原をまだ信じているファンもいるの だろう。
定見のない人間をジャーナリストと呼べるか 相手次第で主張がコロコロ変わる田原総一朗

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