ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2009年4号
特集
儲かる中国物流 物流コスト削減から競争力強化へ

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

APRIL 2009  22 物流コスト削減から競争力強化へ  中国に統括会社を設立して物流管理を一元化。
効率化を 進めてきた。
コスト削減では一定の成果を収めることがで きた。
しかし昨年から顧客満足の向上に物流管理の軸足を 移すことに。
リコーチャイナの取り組みに日系荷主企業の中 国物流の展開を追った。
          (梶原幸絵) 支払い物流費を四〇%削減  リコーの中国物流がコスト削減から顧客サービス向 上に舵を切った。
理光(中国)投資(リコーチャイ ナ)サプライチェーン・マネジメント部の平井曉SC M&BPMIプロジェクトマネージャーは「現状では クレーム発生後の対処になっている。
これをクレーム が発生する前に問題を発見し解決する体制に持ってい きたい。
そのための仕組みと業務プロセスの構築が当 面のテーマだ」という。
 同社は二〇〇三年に中国全土の生産拠点と国内販 売を管理する統括会社として上海に発足した。
それ まで中国国内向けの販売は基本的に香港の商社を通 していた。
これをリコーチャイナが直接販売するかた ちに切り替えた。
上海、深圳などの各工場からリコー チャイナが製品を仕入れ、各地の代理店やエンドユー ザーに販売する。
 これに伴いロジスティクスを新たに設計する必要に 迫られた。
受注から五日以内に中国全土の代理店・エ ンドユーザーに配送という基準を設定。
まずは上海に 在庫拠点(DC)を設置し、〇四年から〇五年にか けて北京、広州(昨年移転したため現在は深圳)と ハブとなるDCを増やして五日以内に配送できるエリ アを広げていった。
 同時にコスト削減にも取り組んだ。
まず取り組んだ のが現状把握だ。
輸入品も含めた製品の海上輸送、通 関、入出庫、保管、梱包、配送などの費用の実績デ ータを洗いざらい調査した。
各拠点の協力物流会社と の契約形態と相場も確認した。
こうして実態を把握す るだけでもコストダウンの施策は自ずと見えてきた。
 例えば通関費用。
それまでは申告額に対してパーセ ンテージを決め、通関業者に料金を支払っていた。
し かし、それでは取扱規模の拡大がコストダウンに反映 されない。
そこでインボイス(送り状)一件当たりの 料金に改めた。
中国向けの海上輸送では、運賃情報 を基に起用船社の変更も行った。
 中国国内のトラック運送では片道空荷輸送を大幅に 減らした。
各工場が管理している部品の調達物流と リコーチャイナが統括する製品の販売物流を組み合わ せることでそれが可能になった。
例えば上海工場で は、部品のミルクラン調達のため蘇州に向けて毎日午 前中に空荷のトラックを走らせていた。
 そこに上海のDCから蘇州に出荷する製品を載せる ことにした(図1)。
同様に、深圳の工場から上海D C向けの製品輸送の帰り便も、上海DCから深圳D C向けの製品輸送に利用するよう変更した。
 在庫の最適化にも取り組んだ。
在庫が増えればキャ ッシュフローの負担になるだけでなく、製品価値が陳 腐化する。
保管期間が長くなれば湿気などで品質の 劣化も招く。
とはいえ、不足すれば欠品率が上がり、 販売機会を失うことになる。
在庫過多と不足を防ぐ ためのバランスに腐心した。
 これに最も威力を発揮したのが、週次生販の導入 だ。
欧米で行っていた方法を三年前に中国にも水平展 開した。
直近一週間の販売実績と過去の販売トレンド、 代理店の持つ在庫量と販売計画、政府関連の入札時 期・地域などの情報を照らし合わせ、毎週、週次の 販売計画を見直して工場に伝達し、工場側はそれに 基づいて生産計画を変えていく。
 これによって中国特有の販売変動に対応している。
中国は成長市場だけに日本、欧米と比べて販売量の 波動が大きく、一定の枠の中に変動幅が収まらない。
しかも、政府関連の購買の入札時期に合わせて販売 量が膨らむため、ピークは六月と十二月で、次に三月 物流ネットワークで国内需要を開拓第1部 特集 23  APRIL 2009 と九月の山があるといった特殊性がある。
 それでも各地の販売情報の把握に努め、それを週 次の生産計画に反映させる活動を地道に進めていった ことで、輸送中の製品も含めた在庫回転期間を、〇 四年末時点の一・六カ月から〇八年末には一カ月を 切るレベルまで削減することができた。
その分だけ保 管費や輸送費も低減できた。
 昨年は北京オリンピックという難題に直面した。
七 月一日〜九月二〇日のオリンピック期間中、北京市の ナンバープレートを持たない貨物輸送車両の市内への 乗り入れが禁止になった。
そこで北京への製品供給を 続けるために、一カ月の突貫作業で市内に置いていた DCに北京向けの在庫三カ月分を積み上げた。
また 北京DCから配送していた北京以北の地域には、上 海DCから配送することにした。
 期間中、北京周辺のトラック運賃は五倍前後に跳ね 上がり、影響を受けた企業もあったといわれている。
しかし「適切に需要を読めたおかげで非常にうまく いき、物流費は平年並みに収まった」と平井マネージ ャーは胸を張る。
 一連の取り組みにより、リコーの中国市場における 支払い物流費は約四〇%削減された。
売上高物流費 比率は二%台後半から二%台前半に下がった。
当初 の目標はほぼ達成したと言える。
しかし、リコーの中 国事業は既に新たな局面に入っている。
末端配送の品質管理が課題  リコーチャイナの扱う複写機や複合機、プリンター などの中国市場の規模は年率一〇%ペースで拡大を続 けている。
日本市場でトップシェアを争うリコーも当 初は中国市場での出遅れが指摘されていたが、今で は「中国のトップグループの一角に付けている。
さら に〇八年度を初年度とする中期計画でも年率一〇% 以上の伸びを目標としている」と平井マネージャーは いう。
 しかも、各地の代理店を通さないユーザー直販の割 合が増えている。
現在の直販比率は一割に過ぎない が、今後は増加する見通しだ。
その結果、日時指定 などの要望も目立ってきた。
「これまで以上にもっと 顧客満足を向上するための改善を続けていかなけれ ばならない」と平井マネージャー。
 販売拡大を支援する物流サービスレベルの向上が新 たなテーマだ。
そのために物流業者の評価基準を変更 した。
コストの優先順位を下げ、現在は着荷時のク レームの有無、着荷品質(ダメージなし)、納期順守、 コストの順でKPIを設定して評価をしている。
これ に伴い起用する物流業者の顔ぶれも変わってきた。
今 では伊藤忠商事や三菱商事・日本通運系の大手物流 業者が中心になっている。
「品質を重視すると、限ら れた大手物流業者の中から選ぶことになる」(平井マ ネージャー)状況という。
 しかし、日系大手の品質管理も現状では十分とは いえない。
大都市間は混載便で輸送し、末端配送は 再委託、再々委託にならざるを得ない。
地方に行く ほど元請けの目は届きにくくなる。
大幅な納期遅れ が発生した原因を調べたところ、貨物が集まらなかっ たために上海発の混載便が出発していなかったという こともあった。
 「上海発でもそうしたことは起こる。
結局のところ 我々自身が末端まで業者を把握し作業員の教育レベ ル、エンドユーザーまでのルートに目配せをしていか なければならない。
末端のパフォーマンスを管理する 能力まで荷主として身に着けなければならない」と平 井マネージャーは考えている。
リコーチャイナ・サプライ チェーン・マネジメント部 の平井曉SCM & BPMI プ ロジェクトマネージャー 図1 生販の連携により、片道空荷輸送を削減 蘇州地区 サプライヤー 部品を積載 往きは商品を積載 午前中は空荷 帰りは空荷 午後に部品を集荷 上海 工場 DC サプライヤー サプライヤー 代理店 エンドユーザー 蘇州地区 サプライヤー 部品を積載 午前中に商品を積載 午後に部品を集荷 上海 工場 DC サプライヤー サプライヤー 代理店 エンドユーザー 改善前改善後

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