ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2009年2号
物流不動産市場レポート
宮城県・福島県仙台が東北全域のハブとして機能福島県の施設供給動向にも注目

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

物流不動産市場レポート FEBRUARY 2009  92 東北圏全体を対象とした物流拠点としての役 割を果たしている。
 今後の開発動向は、AMBプロパティジャ パンが今年三月、多賀城市に「AMB仙台多 賀城ディストリビューションセンター(延べ床 面積四万三一四平米)」を、時期は未定だが プロロジスが富谷町に「プロロジスパーク富谷 ?(同八万一九九三平米」の着工を予定して いる。
仙台空港周辺 東北圏の交通の要衝  宮城県中央部に位置する岩沼市は、前述の 国道四号線と東京都中央区と宮城県を結ぶ国 道六号線の合流地点で、JR東北本線と常磐 線の分岐点でもある。
さらに東北地方の空の 玄関口となる仙台空港が所在するなど、交通 の要衝として機能している。
 仙台空港南部の臨空工業地帯は仙台市中 心部への交通アクセスが良好で、様々な企業 賃料水準は概ね横ばいで推移  宮城県は仙台市周辺に物流施設が集積して おり、東北全域を見据えた物流拠点として機 能している。
仙台港周辺や東北自動車道IC 周辺、仙台空港に隣接した岩沼市周辺に拠点 を構えるケースも多い。
 近年は不動産投資家による大型投資が行わ れるなど、動きが積極化している。
今年以降 は隣県の福島県にも供給される予定だ。
今後、 東北圏の投資実績が大きく積みあがることが 予想される。
 需給動向は安定的に推移している。
ただ、 計画は発表されているものの、着工時期が未 定の施設もいくつかある。
竣工予定施設の規 模を考慮すると、今後の賃貸マーケットは不 透明感が漂う。
 宮城県の倉庫着工面積は、一九八九年をピ ークに年々減少している(図1)。
二〇〇一 年には最盛期の四分の一となる約一〇万平米 まで落ち込んだが、〇五年以降は増加に転じ、 二〇万平米近い水準まで回復した。
だが、〇 七年は改正建築基準法などの影響もあり、七 万平米と再び減少してしまった。
 賃料動向に近年大きな変化は見られず、概 ね横ばいで推移している(図2)。
大型施設 は物流拠点の統廃合の動きが沈静化してきた ことも影響し、賃料は弱含みで推移している。
仙台市周辺 県内最大の拠点集積地  仙台市宮城野区の扇町、御町は宮城県内で 最も施設が集積しているエリアだ。
東京都中 央区を起点に青森県に至る、日本一長い国道 として知られる国道四号線の苦竹バイパスが、 宮城県と青森県を結ぶ国道四五号線と東北自 動車道に接続している。
仙台港や仙台空港も 近接していて、遠隔地へのアクセスも可能だ。
交通利便性に優れている魅力的な立地条件で、 第20回 宮城県・福島県 仙台が東北全域のハブとして機能 福島県の施設供給動向にも注目 シービー・リチャードエリス 仙台支店インダストリアル営業部 橋詰仁郎 シービー・リチャードエリス総合研究所 鈴木公二    93  FEBRUARY 2009 T・IC(いずれも東北自動車道)、会津若 松市の会津若松IC(磐越自動車道)周辺に 物流施設が集中している。
東北全域をカバー する拠点立地としては仙台に劣るものの、東 北自動車道が福島市、郡山市と接続している ため、仙台および首都圏へのアクセスも十分 可能だ。
 首都圏近郊エリアとして、製造拠点が多数 進出している郡山市の新規物流施設に対する 需要は底堅く推移している。
拠点集約や建物 の老朽化による移転、増設など潜在的な需要 はあると思われるが、建物の取得を主とした ものが多く、賃貸施設に対するニーズはまだ まだ少ない。
 賃貸マーケットとしては未成熟だが、近年 は不動産投資家等が大型施設を供給しており、 今後のマーケット動向に注目が集まる。
 近年の開発動向は、プロロジスが昨年八月、 郡山市に「プロロジスパーク郡山?(延べ床面 積二万五三五一平米)」を竣工させた。
同社は 来年、「プロロジスパーク郡山?(同二万五〇 〇〇平米)」の竣工を予定している。
が進出している。
工業系施設が立地しており、 近年は不動産投資家等による施設供給も進ん でいる。
 近年の開発動向は、プロロジスが昨年一〇 月、岩沼市に「プロロジスパーク岩沼?(延 べ床面積四万三八三六平米)」を竣工させた。
同社は来年、「プロロジスパーク岩沼?(同二 万二五〇〇平米)」の竣工を予定している。
福島県 今後の開発動向に注目  福島市の福島西IC、郡山市の郡山IC  仙台市扇町、御町周辺は道幅が広く 物流拠点として適しており、多数の物 流企業が進出している。
この周辺の道 幅が広い理由を紐解くと、五〇年以上 前の戦後の時代まで遡ることになる。
 現在、扇町、御町に位置する陸上自 衛隊仙台駐屯地は元々軍需工場で、戦 後GHQの拠点として利用されていた。
両町をつなぐ道路は航空機の滑走路と して使用するため、道幅が広めに造成 された。
 その後国道四号線開通に合わせ、仙 台市の東西を結ぶ道路として整備された。
交通利便性の良さから周辺に拠点が集 まり、今日の物流拠点集積地として発 展していった。
滑走路を道路に整備! 扇町周辺の道幅が広いワケ (?) 図1 宮城県の新規着工面積と棟数の推移(棟) 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 450,000 400,000 350,000 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 800 700 600 500 400 300 200 100 0 年年年年年年年年年年年年年年年年年年年 床面積棟数 図2 宮城県の平均募集賃料 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 -5.0 -10.0 00 年01年02 年03 年04 年05 年06 年07年08 年 上期 08 年 下期 3,320 3,880 3,780 3,680 3,450 3,270 3,490 3,400 3,230 3,130 -6.7 16.9 -2.6 -2.6 -6.3 -5.2 6.7 -2.6 -5.0 -3.1 変動率 (%) 平均賃料 (円/坪) (円/坪) (%)

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