ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2008年5号
物流不動産市場レポート
千葉県 交通利便性良好な湾岸部に施設集中低廉な地価で大型施設の供給相次ぐ

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

物流不動産市場レポート MAY 2008  80 志野市、千葉市を指す。
都内への交通利便性 の高さから、施設に対するニーズが高いエリア だ。
数年前から不動産投資家等による大型施 設の供給が続いており、今後も大型施設の供 給予定が相次いでいる。
近年は、浦安市や市 川市など都内に近接したエリアで大型用地が不 足しており、習志野市から千葉市湾岸部で不 動産投資家が用地を物色する動きがみられる。
 不動産投資家等の開発動向は、昨年、船橋 市で産業ファンド投資法人の「IIF船橋ロジ スティクスセンター(延べ床面積四万二一八〇 平米)」、AMBプロパティジャパンの「AMB 船橋ディストリビューションセンター5(同四万 三五七〇平米)」といった、マルチテナント型 の大型施設が供給された。
来年以降もプロロジ スの「プロロジスパーク市川?・?」、オリック ス不動産の「市川二俣新町ロジスティクスセン ター(仮称)」、野村インベストメント・マネジ メントの「ランドポート浦安」等が竣工する予 定だ。
内陸部 一六号線沿線で開発活発化  内陸部は柏市や野田市など、国道一六号線 沿線を指す。
同線は、首都圏の一般環状道と して機能しており、千葉市内だけではなく埼玉 方面も配送エリアとして考えることができる立 地だ。
沿線には古くから工業団地がみられる。
 広域管轄可能な内陸部の物流拠点として潜 在的なニーズが大きく、不動産投資家等による 動きも活発化している。
近年の開発動向とし 大型施設のニーズは堅調  千葉県では浦安市から千葉市にかけての湾 岸部や、内陸部の柏ICに代表される国道一 六号線沿線、成田空港周辺に物流施設が集積 している。
湾岸部は東京都内へのアクセスが良 好で、古くから物流施設や工場のストックが形 成されている。
近年は神奈川県横須賀市から 千葉市を走る、国道三五七号線の立体化など による交通利便性の向上により、企業進出の 上でも良好な環境にある。
二〇一一年には東 関東自動車道湾岸船橋ICが完成する予定で、 国道三五七号線、京葉道路等の渋滞の緩和に より、千葉市内へのアクセスが向上する。
今後 さらなる企業進出が期待されるエリアだ。
 物流施設のマーケット動向をみると、東京都 湾岸部に比べると都心部への利便性は劣るが、 前述の交通インフラの改善や都内に比べると土 地価格が低廉であることもあり、湾岸部や内 陸部で新規着工が進んでいる。
 物流施設の着工動向は、〇四年以降増加傾 向にある。
直近の〇七年は新規着工件数こそ 減少したものの、面積ベースでは大きく上昇し ている(図1)。
昨年施行された改正建築基準 法の影響で、全国的に着工量が減少に転じる 中、千葉県の新規着工は進んでおり、施設の 大型化も顕著にみられる。
 賃料動向をみると、ここ数年は安定的に推 移している(図2)。
しかし、築年数がたって いる施設や、近年のトレンドに合致しないスペ ックを擁している施設では空室がみられ、賃料 水準も弱含みで推移している。
一方、不動産 投資家等により供給される大型施設のニーズは 底堅く、賃料水準も安定的に推移しており空 室消化も順調に進んでいる。
湾岸部 施設供給増加し用地不足  湾岸部とは、浦安市や市川市、船橋市、習 第11回 千葉県 交通利便性良好な湾岸部に施設集中 低廉な地価で大型施設の供給相次ぐ シービー・リチャードエリス インダストリアル営業本部 友田健 生駒データサービスシステム 鈴木公二    81  MAY 2008 流用地が供給される可能性もあり、注目を集 めている。
成田空港周辺 施設の需給バランスは安定的  成田空港周辺は、一九九六年の規制緩和に よる輸入貨物の仕分け基準撤廃以降、航空貨 物を中心とした専用センターなどの立地がみら れるようになった。
〇二年、同空港の暫定平 行滑走路の供用開始に伴い航空機の発着枠が 一・五倍となり、同空港の取扱貨物量は大幅 に増加した。
これにより、周辺の物流施設に 対する需要は堅調に推移したが、現在は施設 新設が一巡し、需給バランスは安定的に推移し ている。
 不動産投資家等の施設供給動向をみると、〇 三年以降プロロジスやAMBプロパティジャパ ンなどが、マルチテナント型の大型施設を供給 している。
昨年は、AMBプロパティジャパン が「AMB成田エアカーゴセンターC棟(延べ 床面積三万二四〇〇平米)」を竣工した。
プロ ロジスは今年以降、「プロロジスパーク成田(同 七万七五〇〇平米)」の竣工を予定している。
特殊なエリアだけに需給バランスに不透明感は みられるが、現状では賃料動向は安定してい る。
て、〇六年、ラサールインベストメントマネー ジメントが常磐道柏ICに、マルチテナント型 の超大型施設「ロジポート柏(延べ床面積一四 万八四五一平米)」を供給した。
同施設の空室 消化は良好で、物流立地としてのニーズの大き さを証明している。
 日本レップも昨年、松戸市で「松戸ロジステ ィクスセンター(同五万五一七〇平米)」を竣 工した。
東京都市開発は今年、常磐道流山I C付近に「流山ロジスティックセンター(総延 べ床面積約一六万五〇〇〇平米)」の竣工を予 定している。
今後も工場跡地などから大型物  千葉県湾岸部は古くは重厚長大型企業 の集積地として機能していたが、ここ数 年は物流会社の大型施設の立地が急増し ている。
例えば、浦安市千鳥地区はここ 一五年間で様変わりし、物流施設街へと 大きく変貌した。
 同エリアでは物流施設のみならず、住 宅開発も進んでおり、人口が増加してい る。
これにより労働力確保が容易になる かと思われたが、近年、物流企業を中心 にパート・アルバイト集めに苦戦してい るという話をよく耳にする。
というのも、 ディズニーランドがアルバイトの時給を上 げたため、そちらに人が流れているとい った事情もあるようだ。
ディズニーランドの時給と 物流企業の関連性とは 図1 千葉県の新規着工面積と件数 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 1,200 1,000 800 600 400 200 0 (?) (棟) 年年年年年年年年年年年年年年年年年年年 出典:建築着工統計(建物物価調査会) 床面積棟数 図2 千葉県の中・大型物流施設の募集賃料の推移 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 -5.0 -10.0 -15.0 -20.0 -25.0 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007年 上期 2007年 下期 3,670 3,780 3,830 3,750 3,880 3,630 3,730 3,810 3,890 -4.2 3.0 1.3 -2.1 3.5 -6.4 2.8 2.1 2.1 変動率 (%) 平均賃料 (円/坪) (円/坪) (%) ※中・大型:募集面積1000 坪以上

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