ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2007年11号
メディア批評
地元紙が報じる沖縄の集団自決書き換え問題総理大臣辞任だけではない安倍晋三のご乱行

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高 信 経済評論家 65  NOVEMBER 2007  沖縄の二つの新聞『琉球新報』と『沖縄タ イムス』を読むと、日本がまったく違って見 える。
いわゆる四大紙はもちろん、テレビな ども、ノーテンキの極みとしか思えなくなる のである。
 沖縄の集団自決について「軍の関与はなか った」と教科書を書き換えたことに抗議する 集会に十一万人も集まった。
それを、どのく らい重く私たちは受けとめているだろうか。
 『世界』の十一月号で、「起訴休職外務事務 官」の佐藤優が次のように発言している。
 「九月五日、村上正邦さん(元労働大臣) が主宰する『一滴の会』の勉強会で、沖縄の 集団自決に関する教科書検定に対して、いま 沖縄が保守を含めて大変な状態になっている と私が話したら、村上さんは『どうして歴史 の真実をねじ曲げようとするのか。
一般の住 民が手榴弾を持つはずがないじゃないか。
な ぜ手榴弾を持つんだ。
何かあった時には自決 しろという意味だろう。
手榴弾を手渡したと いう事例さえあれば、その瞬間軍の強制性が 証明される。
なぜつまらない議論をするんだ』 と言う」  村上の指摘の通りだろう。
安倍晋三もこの 村上も右派というか保守とひとくくりにされ るが、安倍たちの底の浅さは救い難い。
 まだ、安倍が政権を放り出す前、この問題 で『沖縄タイムス』のインタビューを受け、八 月四日付けの同紙で、私はこう発言した。
 〈証拠がなければ強制ではない、という話に はならない。
沖縄戦の「集団自決(強制集団 死)」の問題も、証拠があるかないかという話 だけになると「新しい歴史教科書をつくる会」 のペースになってしまう。
じゃあ、その時に 拒否できたのか。
拒否できない空気をつくっ たことこそが問題なのだ。
証拠のあるなしは、 その次の話ではないかと思う。
 検定問題で今、一番問われているのは、検 定に反対と言っている沖縄の自民・公明がど れだけ本気なのか。
ただのポーズではないのか、 ということ。
安倍晋三首相は急先鋒、「新し い歴史教科書をつくる会」の思想に近いほう でやってきた。
この検定も安倍首相がやらせ たようなもの。
これまでの発言を見れば、近 い思想であることはすぐわかるはずだ。
 (中略)  県議会の抗議決議に対して文部科学省の反 応が冷たいというが、決議を持った沖縄の議 員たちは、文科省ではなく、安倍首相に会い に行くべきだ。
文科省はいわば道具なんだから、 要請に行っても仕方ない。
要請自体が儀式化 している。
与党の議員が、本気で怒っている なら安倍首相自身に突っ込むべきだろう。
 この問題で、自民党に居られないという ぐらいの議員が出れば、全国的にも話題にな るかもしれないが、突っ込み方がぬるいから、 本土でも話題にならないし、問題が拡がらない。
与党の議員たちが、沖縄では沖縄向けの顔を していて、東京では東京向けの顔をしてきた んじゃないだろうか。
その二面性を県民の支 持者も許してきたんじゃないのか。
本当に怒 っているのかな、と疑問に思う。
議員も県民 も同罪じゃないだろうか〉  いささかならず沖縄県民に対して厳しい言 い方になっているが、もちろん、この問題を 沖縄だけの問題にしてはならない。
 『世界』の同じ号でジャーナリストの安田浩 一が「誰が教科書記述を修正させたのか」を 追っている。
そして、「つくる会」の会長で、 自由主義史観研究会代表の藤岡信勝らが、皇 軍という名の旧日本軍の名誉を回復させると いう運動をスタートさせ、その結果、書き換 えとなったと指摘する。
民主党の川内博史は、 「つくる会」一派の村瀬信一が調査官となって、 これを推進したことに驚く。
そして、  「集団自決に関する“軍命の削除”は、(検 定調査)審議会ではなく、文科省によって決 められていたことが明確となった」  と語る。
これもいわば安倍の御乱行である。
地元紙が報じる沖縄の集団自決書き換え問題 総理大臣辞任だけではない安倍晋三のご乱行

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