ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2006年10号
特集
激安物流 低コスト高品質だけが生き残る

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

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その掲示板 には、車両や荷物情報だけを公開して運賃は「応相 談」、相対で激安運賃を呑んでしまう運送会社が少な くない。
それを見越して相場の半値以下という運賃を 堂々とネット上に提示する厚顔な荷主も時に登場する。
トラボックスの吉岡泰一郎社長は「当社のシステム は運賃交渉を当事者同士で行う方式なので、取引実 態をすべて把握しているわけではない。
しかし、なか には空気を運ぶよりはマシだからと、帰りのガソリン 代程度で請け負ってしまう会社もあるようだ。
とりあ えず一度仕事をしておくことで荷主とのパイプを作っ ておきたいという狙いもあるらしい」という。
中ロットの荷物では特別積み合わせ便(旧・路線 便)を、一般業者(旧・区域業者)の積み合わせ便 に切り替える荷主が増えている。
中ロット貨物のうち、配送先が一定のエリア内のものだけを選び、特積みよ り安い価格で区域業者が受託している。
その相場は現 状で昭和六〇年届出運賃の下限程度。
二〇年以上前 の料金だ。
それでも効率の良い荷物だけを選んでいることに加 え、ドライバーの人件費を特積みより低く抑えている のでペイできる。
一方の大手特積みには、採算の合わ ない荷物だけが回ってくる。
「中小零細の区域業者の なかには、労働基準法など気にも留めず、従業員の社 会保険も払わないところがある。
まともに価格競争す れば勝ち目はない」と、担当者も匙を投げる。
しかし、その区域業者もまた足下を脅かされている。
二トン車や四トン車によるルート配送を、割安な軽ト ラックに切り替える動きが本格化している。
納品先か 低コスト高品質だけが生き残る OCTOBER 2006 14 掟破りの価格破壊を検証する 15 OCTOBER 2006 らの時間指定は年々タイトになっている。
今や大部分 が午前中納品だ。
従来のように普通トラックに荷物を 満載して回っていると間に合わない。
そこで軽トラッ クを使ってルートを分散するわけだ。
軽トラックによる貨物運送は、現在日本で唯一、個 人事業主の?一人親方〞が認められている陸上輸送 モードだ。
車両規格自体にコストメリットがあるうえ、 間接費のかからない事業形態をとれるため、区域業者 と比較しても圧倒的に安い。
その価格優位性に目を付け、軽トラをベースとした 割安な運送サービスを武器にするベンチャー企業も現 れている。
代表格が軽貨急配だ。
社内に車両やドライ バーなどのアセットを抱えるのではなく、軽トラの一 人親方をフランチャイズチェーンの加盟者として組織 化。
荷主から受託した仕事を加盟者に仲介するという 独自のビジネスモデルで急成長を遂げた。
創業者の西原克敏社長は九九年に東洋経済新報社 の「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。
同社から出版した著書「トラックを持たない運送会 社」は類書としては異例のヒットとなり、軽貨急配の 名を全国区に押し上げた。
二〇〇〇年には大証二部 上場も果たしている。
軽トラベンチャーの凋落 しかし、同社の隆盛は、フランチャイズチェーンに 加盟した一人親方たちの犠牲の上に成り立っていた。
独立開業者募集に応じてきた人たちの大半は、仕事 にあぶれ、金銭的な余裕のない高齢者だ。
開業に当た って軽貨急配は彼らに自社開発した高額の軽トラック を販売する。
軽トラックの価格は通常新車でも一〇〇万円を切 る。
大量に購入すれば、大幅な値引きも可能だ。
これ に対して軽貨急配が加盟者に販売する価格は諸経費 を含めると三〇〇万円以上。
加盟者のほとんどが現 金では購入できない。
与信力がないため、通常の金融 機関ではローンも組めない。
そこで加盟者は軽貨急配 にローンを保証してもらい、提携先の信販会社から車 両を購入することになる。
本誌の調査によると、金利 を含めた支払い総額は最高三九〇万円にも上ってい る。
それを加盟者は月々の運賃収入から返済していく。
ところが開業しても仕事がない。
あっても運賃が極 端に低い。
品質に弱みがあるため、営業は価格に頼る しかない。
軽貨急配自体は、どんなに安い運賃で仕事 を受託しても一定のマージンを抜いて加盟者に回すだ けなので赤字にはならない。
しかし加盟者には経費を 抜いたら最低賃金にも満たない額しか残らない。
車両 のローンだけが残る。
九月二〇日現在、軽貨急配の株価は五一円に低迷 している。
年初には二〇〇円前後だった株価が半年あ まりで四分の一に暴落した。
加盟者に対するローン保証の焦げ付きから巨額の特別損失を計上。
その穴を 埋めるための強引な資金調達が市場で嫌気されている。
強みとされたビジネスモデルが破綻した。
「宅急便」を開発したヤマト運輸の小倉昌男元会長は 生前、「低コストで低品質、高コストで高品質、ある いは高コストで低品質など、物流サービス商品には 色々ある。
しかし長く生き残ることができるのは、低 コスト高品質だけだ。
ほかはいずれ消えてなくなる」 と喝破していた。
安い、速い、品質もいい。
そんなサ ービスがあるなら誰でも使いたい。
しかし、そこに落 とし穴はないか。
安定供給はコスト削減以上に重要な 使命だ。
下手を打てばクビが飛ぶ。
それでも上手に使 えばライバルに差を付けられる。
物流サービス商品を 見極める目を養っておく必要がある。
( 大矢昌浩) トラボックスの 吉岡泰一郎社長

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