ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年5号
特集
物流のプロになろう 毎年500人の専門家を輩出している

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MAY 2005 28 物流技術管理士は四五〇〇人を突破 ――本誌のアンケート調査には、社員のロジスティク ス教育に「JILSのプログラムを利用している」と いう声が多数寄せられました。
JILSが物流マンを 育成するための教育プログラムを開始したのはいつ頃 だったのですか? 「いまから三〇年以上も前ですね。
JILSが発足 したのは九二年ですが、その前身である日本物的流通 協会と日本物流管理協議会が発足した七〇年から教 育プログラムはスタートしています。
ちょうど?物的 流通〞とか?物流〞という言葉が産業界で使われ始 めた頃で、そもそも両団体の立ち上げは物流の人材育 成を目的としていました」 「物的流通協会には発足後すぐに物流技術者養成コー スが設けられました。
同コースの第一回目の募集には 定員の二倍近くの応募がありました。
それだけ?物流〞 という言葉が新鮮だったのでしょう。
当時はまだ、企 業には物流部という部門が存在しませんでしたからね。
受講者の多くは業務部や経営企画部といった部門か ら派遣されていました」 ――当時の受講者たちは何を学んで帰っていたのでし ょうか? 「米国が?物的流通〞と称してどのようなことを展 開しているのか。
まずは?物的流通〞の定義みたいな ものを学びました。
並行してIE(インダストリア ル・エンジニアリング)やOR(オペレーションズ・ リサーチ)の専門家を呼んで、物流の具体的な改善手 法について勉強しました。
当時は作ったモノはすべて 売れるような時代で、どうやって運べば効率がいいか とか、そういう発想が日本企業にはまったくなかった。
物流で競争力を高めるという米国流の考え方は、いい 刺激になったのではないでしょうか」 「コースを修了した受講者には『物流士』という称 号を与えました。
これが現在JILSが用意している 『物流技術管理士』資格制度の前身にあたります。
同 じように物流管理協議会にも『物流管理士』という 資格制度が設けられてました。
『物流技術管理士』は JILS発足を機に、『物流士』と『物流管理士』を 統合して新たに作った資格制度です」 ――これまでに、どのくらい「物流技術管理士」を輩 出してきたのですか? 「四五〇〇人強です。
最近は年五〇〇人くらいのペ ースで『物流技術管理士』が誕生しています。
資格認 定講座は年に東京、大阪、名古屋で計五回開催して いますが、このうち年二回の東京の講座はいつも満員 です。
二〇〇五年度の東京講座はすでに申し込み受 付を終了しています。
そのくらい人気がある。
企業経 営において物流やロジスティクスの重要性が高まって いくにつれ、受講希望者の数も増えてきました。
最近 は女性の参加者も多い。
そして女性には優秀な人材が 少なくありません。
先日閉講した第五四期の講座の最 優秀成績者も女性でした」 ――新たな資格制度として三年前には「ロジスティク ス経営士」をスタートしました。
「こちらは主に部長職や部長職候補などを対象にし たコースです。
将来、経営幹部になるために必要なロ ジスティクスのノウハウの習得を目指しています。
毎 年、三〇人くらいが受講しますが、『経営士』の称号 を手にすることができるのは、このうちの七割程度で す。
つまり三割は落第します。
このコースではロジス ティクスに関する知識はもちろんのこと、管理会計な どの知識も要求されます。
論文執筆やケーススタディ ーにも取り組まなければなりません。
合格までのハー 「毎年500人の専門家を輩出している」 日本ロジスティクスシステム協会(JILS) 角田國雄専務理事 JILSは日本で唯一のロジスティクス教育の総合機関とし て、数多くの物流のプロを育ててきた。
教育プログラムの充 実ぶりは物流企業や荷主企業から高い評価を得ている。
過 去30年以上にわたってロジスティクス教育に携わってきた角 田氏は、それでも欧米に比べ日本の教育システムはまだまだ 遅れていると指摘する。
(聞き手・刈屋大輔) Interview 特集 29 MAY 2005 ドルはとても高い位置に設定されている。
過去二年間 で合格者は五〇人弱にとどまっています」 キャリアアップ診断シートを開発 ――JILSには資格制度のほかに、通信教育、大 会・テーマ別セミナー、社内教育などの人材育成プロ グラムを用意しています(図参照)。
「これらのうち、最近とくにニーズが高まっているの は社内教育ですね。
このプログラムは企業が抱えてい る個別の問題に応じて、オーダーメイド型で教育を行 っていくというものです。
教育のメニューづくりから 講師派遣までをすべてJILSが請け負っています。
二〇〇四年度には二四社から依頼がありました。
教 育は一〜二日という短期のものから、六カ月間という 長期にわたるものまで様々です」 ――社内教育を希望する企業とは? 「物流子会社を含めた物流企業からの要請が圧倒的に 多い。
とくに最近、社内教育に熱心なのは物流子会社です。
物流子会社は親会社以上に物流やロジステ ィクスに関する知識がないと、子会社であることの存 在意義がなくなります。
子会社だからといって、いつ までも親会社が面倒を見てくれるとは限らない。
そう した危機感が社内教育の強化につながっているのでは ないでしょうか」 ――そもそも社内でどのような教育を展開していけば いいのかさえもわからない。
つまり自社のウィークポ イントを掴みきれていない企業も少なくありません。
「実は現在、そうした企業にとって、とても有効に なるであろうツールの開発を進めています。
『ロジス ティクス・キャリアップ診断シート』と呼ばれるもの です。
ロジスティクスに関して色々な設問を用意して、 企業がそれに答えていくと、自社のウィークポイント 社内教育 プログラム名 ●ロジスティクス経営士  資格認定講座 経営幹部に必要な、戦略的ロジスティクス計画立案・実践力 を体得し、実用知識・ノウハウを体系的に学ぶ。
本講座を修 了し、所定の試験に合格した方には「ロジスティクス経営士」 の称号が授与される。
●受講要件 「部長職、部長職候補、幹部候補の方」もしく は「物流技術管理士、国際物流管理士の資格取得後、3年 以上実務を経験した方」 ●有資格者優待 「物流技術管理士」(旧資格「物流管理 士」、「物流士」も含む)、「国際物流管理士」資格を持つ方 がこの講座を受講する場合、参加料の優待料金(右記?・?) が適用される。
●国際物流管理士  資格認定講座 国際物流担当者として必要な全領域にわたる専門知識と管 理技術を、統合的かつ体系的に学ぶことができる、我が国唯 一のグローバルロジスティクス担当者の養成講座。
本講座を 修了し、所定の試験に合格した方には「国際物流管理士」 の称号が授与される。
●受講要件 国際物流関連業務に従事し、2年以上の経 験を有する方。
●物流技術管理士  資格認定講座 本講座は、物流管理者および物流技術者として必要な物流 の全領域にわたる専門知識とマネジメント技術を、ロジスティ クスのコンセプトに基づき、統合的かつ体系的に 学ぶことを 目的としている。
また、理論と実践の一体化をはかるため、演 習も豊富に取り入れ、短期間に物流合理化能力を持った人 材を育成する内容となっている。
本講座を修了し、所定の試 験に合格した方には「物流技術管理士」の称号が授与される。
●受講要件 授業の実務経験を2年以上有する方、または「物 流技術管理士補」資格を有する方。
●有資格者優待 「物流技術管理士補」資格を持つ方が この講座を受講する場合、参加料の優待料金(右記?・?) が適用される。
●物流技術    管理士補  スクーリング 「ロジスティクス基礎講座」修了者、または産業能率大学の 通信教育「新・物流管理コース」修了者を対象とした「物流 技術管理士補」資格取得のためのスクーリング。
●受講要件 「ロジスティクス基礎講座」もしくは「新・物流 管理コース」を修了された方。
経 管 6カ月間  14 日程度 05 年 10 月〜 06 年3月 東京 ?420,000円 ?525,000円 ?367,500円 ?472,500円 管 企 情 技 作 7カ月間 20 日程度 05 年 9 月〜 06 年3月 東京 ?420,000円 ?525,000円 ?367,500円 ?472,500円 管 企 情 技 作 7カ月間 21 日程度 05 年 5 月〜 11 月 東京 ?472,500円 ?577,500円 ?420,000円 ?525,000円 管 企 情 技 作 2 日 05 年 8 月 東京 ??とも  72,450円 参 加 料 ※2 開催場所 開催時期 日  数 対  象 ※1 ねらい、特色、内容など ※1  経営トップ、  中間管理職、  企画スタッフ、  情報スタッフ、  技術スタッフ、  作業実務・オペレータ   ※2 ?会員 ?会員外 ?会員(有資格者優待) ?会員外(有資格者優待) 経 管 企 情 技 作 なお、技術スタッフとは、マテハン関連機器、工場機械設備などを対象とした技術分野のスタッフのこと 実施機関 コース名 期間 受講料 (学)産業能率大学 (株)日本能率協会   マネジメントセンター 物流改善基礎コース 4カ月 4カ月 3カ月 新・物流管理コース やさしく学べる ロジスティクス入門コース 27,300円 26,250円 ※特別 18,900円 一般 23,100円 ※10名以上の団体申込みおよび(社)日本能率協会会員、(社)日本ロジスティクスシステム協会 会員は特別受講料が適用される。
通信教育 資格認定講座 ●JILSの能力開発プログラム 2005年度 ●社内教育プログラム 企業の要望、ニーズに合ったオーダーメイドのカリキュラムで 講師派遣による社内教育プログラムを開発、社員ひとりひと りにロジスティクスマインドを浸透させ、経営体質の強化と革 新に貢献する人材の育成と、活性化促進を支援する。
●経営幹部コース ●物流管理実践力強化コース ●新入社員基礎コース ●問題解決・意思決定力コース ●管理・監督者・中堅社員レベルアップコース ●幹部のための先進情報技術紹介コース ●物流新任担当者のための物流管理基礎コース ●ロジスティクスシステム基礎コース ●物流コスト管理の実際コース ●営業力強化コース ●物流改善改革基礎コース ●トラック輸送におけるコスト計算と改善策 ●物流提案書作成実践コース ●国際物流基礎コース ●配送効率化とコストダウンコース ●物流マーケティングコース ●ABC・ABM(物流原単位管理)コース ●在庫削減実践コース ●倉庫管理の基礎コースなど ●貨物自動車ドライバー教育コース ●物流診断要員育成コース(インターナルコンサルタント) 階層別教育コース テーマ別教育コース 実技教育コース 物流インストラクター養成コース ロジスティクス 経営士 国際物流管理士 物流技術管理士 物流技術管理士補 MAY 2005 30 が分かるという仕組みです。
診断結果はレーダーチャ ートで図示されます。
企業は同業他社のデータと比較 しながら、自社の足りない機能を把握し、それを教育 で補っていく。
診断シートは二〇〇五年度中に完成す る予定で、二〇〇六年度から本格的な運用を開始す る計画です」 ――JILSはこれまで日本におけるロジスティクス 教育をリードしてきたわけですが、最近では大学や大 学院も人材育成に力を入れるようになってきました。
「日本は欧米、とくに米国に比べてロジスティクス 教育ツールの開発が遅れています。
教科書、教育用ビ デオ、e ―ラーニングの仕組みなどあらゆる面で米国 の後れをとっています。
それはロジスティクス団体と しての我々の怠慢と言えるかもしれません。
大学や大 学院でロジスティクスを教える学部、学科が増えてき たことは歓迎すべきことです。
しかし残念なのは『私 はロジスティクスの専門家です』と胸を張って教壇に 立っている学者が少ないこと。
これではロジスティク ス教育のレベルは向上していきません」 ――現在、日本の大学では工学系、交通学系、マー ケティング系などから転向してきた学者がロジスティ クスを担当しているケースが少なくありません。
「つまりロジスティクスのプロがいない。
そこに大き な問題があります。
今後はロジスティクスの領域で活 躍している若い学者たちを、ロジスティクス学部など を設置している欧米の大学に積極的に派遣したりして、 ロジスティクス教育の専門家として育成していくこと が不可欠です。
反対に欧米の大学で教壇に立っている 学者をこちらに招聘してきてもいいでしょう。
そうや って教える側の人間を育てていかないと、日本のロジ スティクス教育のレベルはいつまで経っても向上して いきません」 プログラム名 ロジスティクス全国会議 経営マネジメントの視点から、今日的なITや環境、グローバル等の必須テーマのもとにロジ スティクスの取組事例が発表される。
毎年全国からロジスティクス関係者が一同に集い、 活発な交流が行われる。
「中国ビジネスと物流」 実践事例セミナー 経済発展著しい中国でのビジネスと中国内外を含めた物流効率化の取組事例を学ぶこと で、中国ビジネスにおける物流システムの構築の際のポイントを学ぶ。
ロジスティクス改革 リーダーコース(仮称) SCM構築や経営効率化の推進を目的として、ロジスティクス改革を企画立案・遂行ために 必要な能力を、ケーススタディーを中心に実践的に習得する。
また、問題解決方法やプロジェ クトマネジメントについて経験豊富なコンサルタントが習熟度を確認しながら指導する。
サードパーティ ロジスティクスセミナー 荷主獲得から、契約の内容、受託業務範囲の設定など、物流事業者が3PL事業を展開し、 成功させるための不可欠なポイントについて、演習をとおして学ぶ。
リスクマネジメント 基礎セミナー ロジスティクスにおけるさまざまなリスク。
その広範な対象をとりあげ、概観し、リスクのとらえ 方とリスクマネジメントの基礎について学ぶ。
物流アウトソーシングの 進め方と受託のポイント 戦略的視点から物流機能を捉え、アウトソーシングの委託側、受託側双方の立場から、パー トナーとして長期的な関係を保ち、物流アウトソーシングを成功させるための考え方と具体 的な方法を学ぶ。
勝ち残る物流コンペ 攻略セミナー 荷主獲得から、契約の条件・内容、受託業務範囲の設定など、物流事業者がサードパーティー ロジスティクスを展開し、成功させるために不可欠なポイントについて、演習を通して学ぶ。
物流コスト管理 基礎セミナー 複雑な物流コストについて、コスト把握の方法から改善活動への展開や業種別コスト計算、 業務評価方法について演習を通して分かりやすく解説する。
物流ABCマネジメント 基礎セミナー 物流ABCについて、基礎理論、計算メカニズムのほか、マネジメント技法としての実践的な 使い方に至るまでの事例を交えて分かりやすく解説する。
運送原価分析と トラック運賃決定の方法 物流コストに大きなウェイトを占めるトラック運賃について、荷主・事業者双方が納得できる オープン・フェアな運賃決定の方法を、豊富な事例と実務に即した演習を通じて学ぶ。
標準的な運賃の実態や運送原価の構成のほか、標準原価(運送)計算のシミュレーショ ンソフトを活用した貸切運賃の求め方など、事例を交えてわかりやすく解説する。
全日本物流改善 事例大会 物流の現場において合理化の成果を上げている優れた改善の事例を発表していただき、 実務担当者が各々の現場の課題解決の手がかりやノウハウを共有し合うことで、視野を広 げ、今後の物流合理化活動の推進に役立つことをねらいとする。
物流業務改善 リーダーコース 標準運送原価(運賃)の 仕組みと計算ソフトの活用 演習と講義を通して、物流業務の品質や生産性の向上を目的とした改善手法、分析方法、 物流業務改善の展開方法について習得していただき、実践リーダーを育成することをねら いとする。
実践的に学ぶ 物流コスト削減手法セミナー 物流コストを簡易、かつ迅速に算出するための理論と手法、物流コスト削減の手法を、演 習をまじえて実践的に学ぶ。
業務効率化のための WMS(倉庫管理システム) 構築セミナー WMS(倉庫管理システム)をとりあげ、その設計と導入、定着化のプロセスを解説。
2日 05年10月 東京 ?47,250円 ?63,000円 (2日間) 1日 05年10月 名古屋 ?36,750円 ?52,500円 3日 05年5月   〜7月 東京 ?157,500円 ?199,500円 2日 06年3月 東京 ?63,000円 ?84,000円 1日 06年3月 東京 ?36,750円 ?52,500円 2日 05年11月 東京 ?63,000円 ?84,000円 2日 05年10月 大阪 ?63,000円 ?84,000円 ?63,000円 ?84,000円 1日 06年2月 東京 ?36,750円 ?52,500円 ?36,750円 ?52,500円 ?63,000円 ?84,000円 2日 05年6月 東京 経 企 技 管 経 管 企 経 管 企 情 経 企 技 管 経 企 技 管 企 技 作 情 管 技 作 情 管 企 技 経 管 企 管 企 技 管 企 管 企 管 企 ?63,000円 2日 06年2月 東京 ?84,000円 ?21,000円 06年3月 大阪 ?31,500円 1日 05年11月 東京 ?36,750円 ?52,500円 ?105,000円 ?136,500円 ?84,000円 ?115,500円 1日 05年4月 東京 3日 半日 06年2月   〜3月 東京 2日 05年7月 東京 管 企 情 情 作 ねらい、特色、内容など 対象※1 日数 開催時期 開催場所 参加料※2 1. 経営/ロジスティクスをとりまく環境 2. 戦略とマネジメント 3. 情報技術 4. 管理技術 5. 物流技術 ※1  経営トップ、  中間管理職、  企画スタッフ、  情報スタッフ、  技術スタッフ、  作業実務・オペレータ   ※2 ?会員 ?会員外 ?会員(有資格者優待) ?会員外(有資格者優待) 経 管 企 情 技 作 なお、技術スタッフとは、マテハン関連機器、工場機械設備などを対象とした技術分野のスタッフのこと 大会・テーマ別セミナーなど ※2005年度は約60プログラムを用意

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