ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年7号
特集
小売り物流のカラクリ 価格競争の原資は物流で捻出する

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JULY 2001 24 物流こそ小売りの生命線 ――コンビニというと高価格販売でアイテムも少ない というイメージですが、セイコーマートは違う。
店の 形態はコンビニですが、価格や品揃えはスーパーです。
珍しい業態ですね。
「当社の業態を消費者ニーズといかに適応させてい くかを考えていった結果、今のような形になりました。
チェーンストアの業態をスーパーかコンビニのどちら かに分類しようという発想はおかしいと思います。
ス ーパーがあって、コンビニがあるなら、その間の業態 があったっていい。
一〇〇坪あるコンビニがあっても いいんです。
小売り業にとって、業態とはそういうも のです。
当社のような一地方の小売りチェーンが、ナ ショナルチェーンと戦っていくには、同じことをやっ てもしょうがありません」 ――流通外資の日本上陸が続いています。
今後、日本 の小売業者には何が必要になるでしょうか。
「小売業者が世界的な競争をするのであれば、物流、 ロジスティクスがしっかりしていないと勝負になりま せん。
小売業者にとっての商品力は物流センターにあ ります。
物流センターこそ商品力の根幹なんです。
実 際、ウォルマートをはじめ欧米の大手小売りチェーン は、まず物流センターを作ってから、その周りに店を 作るというアプローチをとっている。
物流センターの ないまま、店舗だけ増やしていくというのは日本のチ ェーンストアだけのやり方です」 ――日本の場合、小売り物流の穴は卸やメーカーなど のベンダーが埋めてきました。
小売りは売ることに特 化して、ロジスティクスは外注に回すというやり方は、 今日のコア・コンピタンス経営の先取りだとは言えま せんか。
「私はそうは思いません。
ロジスティクスは小売り チェーンにとって、まさしくコア・コンピタンスです。
ロジスティクスというのは、マネジメントそのもので す。
世界の小売業は皆、それで大きくなった。
巨大な 物流センターを自分で作って、徹底してコストを下げ ることで世界企業になっていった。
当社がナショナル チェーンを向こうに回して、何とか生きのびてこられ たのも、そのことをきっちり学んできたからです」 ――確かにセイコーマートは物流センターを自社で所 有し、自社で運営していますね。
「小売りが自分でセンターを持ち、メーカーから直 接、商品をひきとる形にすることで、物流がシンプル になります。
本来、メーカーの工場と店舗の間には一 カ所だけ物流拠点があればいい。
流通の各段階で人が 商品にタッチするごとに数十円のコストがかかってし まう」 「既に当社では牛乳、米、パン、卵、菓子、雑貨、日 配品など全部、メーカーから直接調達するフローにな っています。
そのために菓子は自前の卸を持つように した。
チルド関係も全てメーカー直。
酒類も兄弟会社 が卸をやっている。
日用雑貨品も半分近くのメーカー に直接、買い付けています」 ――日本の卸の機能をどう評価されていますか。
「最近は卸も利益が出なくなって、そうとうに苦し んでいますから、改革も進んでいるのだと思います。
しかし、当社のような規模では、なかなか全国卸には 言うことを聞いてもらえない。
当社の思い通りにはさ せてもらえません。
今後、当社が自分でノウハウを作 り上げたうえでなら、物流を外注に回すこともあるか も知れませんが、?考える部分〞は一〇〇%社内でや りたい」 「基本的に流通業者は倉庫と在庫を持たないとダメ Interview 「価格競争の原資は物流で捻出する」 セイコーマートは北海道地区で最大の店舗数を誇る地 方のコンビニチェーンだ。
武器は物流。
自社所有の物流 センターを道内各地に構え、現場のオペレーションまで 自ら運営することで、全国チェーンと互角以上の戦いを 見せている。
71年に一号店をオープンさせて以来、その チェーンオペレーションを指揮してきた赤尾昭彦副社長 は日本のコンビニ業界の草分けの一人とされる。
セイコーマート赤尾昭彦副社長 25 JULY 2001 だと私は考えています。
メーカーや問屋の在庫が切れ たので、商品を用意できませんでしたなどということ を、小売りが客に対して言ってはいけない。
それは責 任転嫁です。
店舗にだけしか在庫がない小売りという のは表面だけ、上っ面の部分だけの商売で中身がない。
物流センターという心臓部を作って、強力な血管を張 り、根っこをもってチェーンを展開しようというのが 当社の戦略です」 ――卸の経営は苦しいと言われましたが、大手卸に限 れば業績は悪くありません。
「卸の業績が良いか悪いかという判断は評価基準に よって変わってきます。
卸の場合は今なら一%の利益 が出れば順調だと言われます。
しかし、果たして一% の利益で必要な設備投資をして、技術革新をして、競 争力を身につけることが本当にできるのでしょうか。
実際、卸や物流業者に物流を任せれば、むしろ高くつ いてしまう」 「小売業者の物流コストの世界標準は二〜三%です。
これに対して日本では、チルド商品が一〇〜一四%、 ドライグロッサリーで六%から七%。
ならすと九〜一 〇%ぐらいだと思います。
環境の違いを考慮にいれた としても、話にならないほど高い。
これに対して当社 の物流コストは、ずっと低く済んでいる。
最終的には 出荷額の三%〜三・五%まで、物流コストを抑えら れると見込んでいます」 コンテナ単位で直接取引 ――物流投資のリスクをどう判断していますか。
「自分でコストダウンできないなら、物流センター などに投資はしません。
物流の改善を進めることで、 配送センターのコストは毎年億円単位で下がっていま す。
今度、新たに四〇億円を投じた大型センターを作 ったことで、さらに年間五億円程度下がると見ていま す。
これがそのまま当社の価格競争力になる。
投資は いずれ償却できる。
その時は、有利な条件で価格戦略 をしかけられる」 「当社が現在、必死になって物流センターを整備し ているのは、今後はコンビニも価格競争に入るのが必 至だと見ているからです。
その時に、本気になって競 争をしかけるには、自前の物流センターを持っていな かったらダメです。
安い物流センターを探そうとして もありっこないですよ。
ハードはあるでしょうけれど、 ノウハウがない。
だから自分でやっているんです。
ス ーパーに負けない価格を提供するための原資を、当社 は物流で稼ごうと考えています」 ――自社物流は儲かる? 「売上高を確保したうえで、物流を合理化すれば確 実に儲かります。
当社はコンビニの直営店も持ってい ますが、その経営以上に儲かるのが物流です。
もちろ ん、悪名高いセンターフィーをとっているわけではありません。
自分の在庫を自分で管理しているだけです。
そのために自分で理論を学んで、それが正しいと思っ たから自分で作った。
それこそ世界中の配送センター を見て回りました」 ――そこまでセイコーマートが物流をコアとして、そ のノウハウに自信を持っているのなら、むしろ小売り ではなく卸に転換したほうがいいのでは。
「転換しないとは言っていません。
今後はセイコー マートだけでなく、業態が合うところであれば第三者 にもロジスティクス・サービスを供給していくつもり です。
スーパーは問屋から、パレット単位で買うのが せいぜいです。
ところが当社は大型の物流センターを 持っているので、メーカーからコンテナ単位でどんど ん商品を購入できる。
当社の調達コストはスーパーよ りはるかに安い。
十分勝算はあります」 今年4月には道内5拠点目となる大型物流セ ンターを稼働させた。
投資総額約40億円。
延べ床面積1万900m2の規模を誇る 特集 小売り物流のカラクリ

購読案内広告案内