ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年6号
メディア批評
NHKに続き『朝日』よ、お前もか!安易な無党派礼賛で問題を先送り

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

79 JUNE 2001 半年も前から、とくにNHKが出演に際し て言ってくることがある。
選挙に立つつもり があるかどうか、あるいは、特定候補の推薦 人になることはないかなどである。
「公平を 期す」ということなのかもしれないが、これ だと、無色無臭の人物しか出演できないこと になる。
政治に関して言えば、それこそ、無 関心な人間しか登場できないことになるだろ う。
これは別に政治をテーマにした番組に限っ た話ではなく、福島瑞穂が参議院議員に立候 補する前、準レギュラー的に出ていた日本史 の番組にゲストとして出たら、その後、彼女 が立候補することになったとして、番組の撮 り直しをやらされたことがあった。
彼女をは ずして、他の出演者は同じで同じテーマを話 し合ったのである。
無党派層の台頭ということがよく言われる が、少なくともNHKは、無党派化を積極的 に推進している。
無党派でなければ出演でき ないからである。
これが何をもたらすか。
たとえば、さきがけから参議院選に立った 石川好は、その後しばらく、党派性故に敬遠 されることになった。
それが解除されるまで、 一年以上はかかったはずである。
花嫁衣装の白無垢は、逆に、どんな色にも 染まりますということである。
無党派層とい うのは、どんな党派にも染まる可能性があり、それを持ち上げるのは賢明なことではな い。
小泉純一郎の支持率は約八〇%だが、この 数字は党派を超えて出てきた。
しかし、小泉 がこれまでの自民党の政策に反対してきたの か。
日の丸、君が代、盗聴法等にも賛成し、 つい直前では森派の会長として、森内閣不信 任案を否決した。
野党の提出した ものだからと言 うが、加藤紘一 の乱をつぶした 片棒もかついで いたわけだし、 無条件に支持していい人ではない。
無党派を礼讃した結果が、こんな「超」党 派の小泉支持現象を起こしたのではないか。
とくにNHKがひどいが、「無党派」を求め るの はNHKだけではない。
二〇〇〇年年頭 の大阪府知事選挙で、私は「朝日新聞よ、お 前もか!」という経験をしたのである。
この選挙では、元通産官僚の太田房江が、 公明党の支持などを受けて当選した。
田嶋陽 子などは、横山ノックの強制わいせつ事件の 後だけに、「女性にやらせてみよう」と選択し た大阪人の心意気を感じるなどとコメントし ていたが、『毎日新聞』に求められて、私は事 前に次のようなそれを出した。
「太田さんは、特定の宗教団体の支援や?強 姦発言〞をした衆議院議員が所属する政党の 推薦を受けて当選した。
そういう意味ではカ ムフラージュとしての女性でしかない。
女装 した知事だ」 この時、自民党大阪府連は別の候補を立て たのだから、太田を応援したのは西村真悟の 属す自由党と公明党(創価学会)、それに民主 党である。
対抗馬は共産党の推す鰺坂真だった。
共産 党に私は一定の批判を持っている。
それは公 表しているし、共産党も知っていながら、終 盤で私に支持を求めてきた。
迷った末に私は 鰺坂支持のメッセージを送ったのだが、それ がビラに載ったために、『朝日』が、やはり、 事前に求めてきていたコメントの掲載を見送 ると通告してきたのである。
「今度の選挙はハレンチ責任選挙」というの が私の出したコメントの視点だった。
『毎日』は前記のそれをそのまま載せたのだ が、『朝日』と『毎日』の違いはどこから出て くるのか。
『朝日』はこれからも、誰にも与しない、蒸 留水のような人のコメントしか載せないのだ ろうか。
「無党派」と「無関心」は違うと言うが、メ ディアはそれについて、事なかれ主義の安易 な姿勢で、問題を先送りしていないか、私は 憂慮している。
佐高信 経済評論家 NHKに続き『朝日』よ、お前もか! 安易な無党派礼賛で問題を先送り

購読案内広告案内