ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年4号
キーマン
物流キーマン「私の仕事、私の情報源」

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

53 APRIL 2001 ――GLS推進部の主要テーマは 何ですか。
在庫ですね。
スローガンとして 掲げたのは、無在庫経営とリード タイムの短縮です。
しかし、当社 の連結グループ全体を在庫という 視点でみるには、各国の事業部ご とに商品コードがバラバラになっ ているという課題がありました。
これを統一することがGLSの最 初の仕事です。
実は当社は数年前にも一度、コ ードの統一に取り組んだことがあ るのですが、うまくいきませんで した。
新たなコード体系を導入し ようとしても、すでに独自のコー ドで実務を動かしていた各部門の抵抗が強かった。
次善の策として コード自体を長くして対応しよう という案も出ましたが、入力の負 担などを考えると現実的ではなか った。
この経験を踏まえて、GL Sではトップダウンの全社的な課 題としてコードの統一に取り組む ことになったんです。
――そうまでして取り組んだ理由 は。
何より売る側からの要請が大き かった。
グループ内のコードが統 一されていないと、POSシステ ムで商品を管理している量販店に も迷惑がかかる。
本来は工場でソ ースマーキングしたコードで、受 発注から販売管理までを管理でき るというのが理想です。
すでに世 の中では当たり前といってもいい。
しかし、キャノンの一部の業務は、 部分最適の積み上げで大きくなっ たところがあります。
結果として生産のコード、輸出 業務で使うコード、販売のための コードといった具合に商品コード が分かれてしまった。
そうすると、 販売店が出す請求コードと製品コ ードが違うなどという物理的な問 題があちこちで出てきてしまいま す。
SCMでは市場と生産の同期 化が欠かせません。
商品コードの 不統一がボトルネックになってし まうんです。
――コード統一の次の課題は。
次はカメラや複写機などの各事 業部ごとに、生産と販売の仕組み を最適化していく必要があります。
これは事業部主導でやるんですが、 ここでまた生産と販売が勝手にや ると部分最適に陥りかねません。
その調整をするのがGLSの役割 です。
いま取り組んでいる商品コ ードの統一は、いわばインフラ整 備です。
第一ステップと言っても いい。
これを使ってサプライチェ ーンをどう変えるかは第二ステッ プですが、ようやくその段階に入 りつつあるところです。
「コードの統一がSCMの第一ステップ」 キヤノン 高橋良夫業務本部GLS推進部 部長 ――現在のマテハン市場をどうと らえていますか。
従来は同じマテハンメーカー同 士で競争していました。
ところが 現在はゼネコンや情報システムな どの異業種が次々に参入してきて 他業界との競争がある上、質的な 変化が起きています。
ソフトやコ ンサルティングなど、ハードを販 売する以外の部分の比重が増えて いる。
ハードにしても、かつては 売り上げの八割が生産向けのもの でしたが、最近では流通の川下向 けと逆転しています。
――マテハンメーカーの役割も変 わりますね。
顧客はハードのスペックよりも、 システム全体でどれだけのコスト ダウンを実現できるのかに期待し ています。
「ウチの仕分け機の処 理能力は一時間に一万ケースです」、 「いやウチは一万二〇〇〇ケース です」といったマテハン機器メー カー同士の技術の売り込みや価格 競争では、もはや満足してもらえ ません。
ハードと運用のバランスある提 案が必要です。
また、ユーザー側 でもこれからは機器を買うのでは なくリースし、保守・運用サービ スを重視するところが増えていく でしょう。
こうした動きに柔軟に 対応できるかどうかで勝敗が決ま る。
物流センターの建設であれば、 土地の選定や建物の仕様決定とい った専門領域以外の仕事もお手伝 いできるような能力、つまり、ト ータルソリューション力が求めら れています。
――ソフト志向が強まるわけです ね。
実際、当社ではハードを売るだ けではなく、導入後の運用まで含 めたサービスを提供するという形 のビジネスが増えています。
当社 のスタッフが導入後も現場に張り 付き、顧客と一緒にシステムを運 用しながら、改善を図っていくわ けです。
――マテハンメーカーの仕事のや りがいとは。
マテハン機器の価格は数千万円 から数億円。
もともと一人の営業 マンが年間に何本もの受注契約を とれるような仕事ではありません。
中には何年も掛かって、ようやく 契約に漕ぎ着けたという仕事もあ りました。
それだけに、顧客との 「マテハンメーカーの新たなモデルを探る」 ダイフク 大西忠 副社長 契約が成立した時、つまり判子を もらった時は跳び上がりたくなる ほどうれしかった。
しかも、売って終わりというこ とはなく、顧客とは長期にわたる お付き合いになります。
これから は、さらに売り切り型の仕事が減 っていくわけですから、顧客との つながりがより深くなっていく。
「ダイフクの機械を入れたおかげで、 センター運営が順調だよ」とクラ イアントさんに声を掛けられるこ とが、契約書の判子よりも重みを 持つ時代になるでしょう。
物流キーマン 「私の仕事、私の情報源」

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