ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2002年11号
FOCUS
佐川急便が埼玉県に新センター稼働スタンド併設し低公害車を本格導入

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

NOVEMBER 2002 68 佐川急便にとって全国で三三五カ 所目となる営業拠点「さいたま店」 (埼玉県さいたま市宮前町)は、首都 高速の与野ICから五キロの地点に 位置している。
昨年五月の浦和、大 宮、与野の三市合併で誕生した一〇 〇万都市、さいたま市をカバーする 基幹拠点として新設された。
従来こ のエリアを担当していた南埼玉支店 (埼玉県白岡町)の集配車両三三〇 台のうち、二〇〇台を新拠点に移し た(写真1)。
さいたま店には、同社としては全 国で三カ所目となる天然ガス充填設 備(CNGスタンド)も設置した。
民 間の自家用施設としては国内最大級 の施設で、一時間あたり二四台のC NG車(二トン車クラス)の燃料を 充填できる(写真2、3)。
すでに一〇台のCNG車を配備済 みだが、将来的にはさいたま市をカ バーする集配車一四一台すべてを、低 公害車に切り替えていく。
佐川は九一年にCNG車を初導入し、現在で は八四二台(九月二〇日時点)を保 有している。
これを二〇〇五年度末 までに二四五〇台まで増やす予定だ。
日本は九七年のCOP3で採択さ れた京都議定書で、二〇一〇年の温 暖化ガスの排出量を九〇年比で六% 削減するという目標を掲げている。
今 後、排出量削減の取り組みが強化さ れるのは必至で、なかでも日本全体 の排出量の約二割を占める運輸部門 は重点分野になる。
営業用貨物車が運輸部門に占める 構成比は一五%程度に過ぎないが、東 京都が九九年から進めてきた「ディー ゼルNO作戦」でも明らかな通り、物 流業者への世間の目は厳しい。
佐川 の積極的な低公害車導入には、こう した世論に応える狙いもあるようだ。
配送品質の向上にも注力 「さいたま店」では配送品質の向上 にも注力している。
延べ床面積一四 〇八二平メートルの施設内は、スペ ースの八割方をサンドビック社のト レイ式自動仕分け機「スコーピオン」 が占めている。
全六四五枚のトレイ を備えるこの高速ソーターは、一時 間あたり一万二〇〇〇個の荷物を八 八本のシュートに仕分ける能力を持 つ。
この機械の導入によって従来、南 FOCUS 佐川急便は一〇月二一日、埼玉県さいたま市に新たな営業拠 点を稼働した。
全一九三台の車両でさいたま市、上尾市などをカ バーする。
施設内には同社にとって全国で三カ所目となる天然ガ ス充填設備(CNGスタンド)を設置。
すでに一〇台のCNG車 を導入済みで、これを今年度中に三六台まで増やす。
将来的には さいたま市を担当する集配車両一四一台すべてをCNG車に切り 替えていく計画だ。
佐川急便が埼玉県に新センター稼働 スタンド併設し低公害車を本格導入 KEY WORD 企業戦略 写真1 佐川急便のさいたま店 (延べ床面積14,082m2、車両台数193台、1日あたり 集荷、配達、経由の荷物を約16万個処理する) 写真2 新拠点の稼働にさきがけて10月17日 にCNGスタンドの開所式を実施した(右から4 人目が真鍋邦夫佐川急便社長) 写真3 CNGスタンドで集配車に燃料を充填す る。
同時に2台の充填が可能で1時間あたり24 台の2トン車をまかなえる 69 NOVEMBER 2002 埼玉支店では手作業だった仕分け業 務を大幅に自動化した(写真4、5)。
さいたま店で取り扱う荷物の個数 は、集荷、配達、経由のトータルで 一日約一六万個。
これを自動仕分け 機と人手で仕分ける。
外部から持ち 込んだ荷物を、ドライバーがトレイ に乗る上限の五〇センチ四方のサイ ズと、それより大型のサイズに区分 しながら搬送コンベヤへと投入していく。
大型荷物については、まず一階を 回転寿司のコンベヤのように循環し ているメーンコンベヤ上に流す。
そ して、ここから分岐している八八本 の支線に、作業者が目視で伝票の行 き先(着店コード)を確認しながら 仕分けていく(写真6)。
一方、五〇センチ四方以内の荷物 については、中二階にあるトレイ式 自動仕分け機を使う。
注目すべきは、 仕分けシュートを中二階から滑り落 ちる荷物が衝突し、破損するのを防 ぐ仕組みだ。
トレイ式ソーターに荷 物を投入する際、センサーで荷物サ イズを測って荷物の大小を判断して、 自動で仕分ける荷物のなかでも大き なものはシュートの手前沿いに、小 さいものは奥沿いに落ちるように振 り分けていく。
トレイを傾けるタイミングを、各 シュートごとに二回ずつ設定するこ とで、微妙に山なりに傾斜している シュート手前とシュート奥に流し分 けている(写真7)。
これによって大 型荷物の落下圧力で、先に流れてい た小さな荷物が破損するのを防ごう という狙いだ。
佐川としても初めて 導入するマテハンだけに現実にどれ だけ効果を発揮するかは未知数だが、 興味深い取り組みと言えるだろう。
(岡山宏之) 写真4 トレイ式自動仕分け機の投入口は5 カ所。
それぞれに荷物サイズを測るセンサー が付いていて瞬時に大小を判別する 写真5 サンドビック社のトレイ式自動仕分 け機。
トレイ645枚、シュート数88本を備 え、処理能力は1時間あたり12000個 写真6 大型荷物は1階のコンベヤに流す。
こ こから分岐して88本のシュート下に合流する コンベヤへは人力で荷物を移す 写真7 シュートへの放出タイミングをずらす ことで荷物を左右に振り分ける。
シュート端 末のローラーがわずかに右側に傾斜している

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